●幼女も、熟女も、あるんだよ 「イエス・アリス! ノー・ロリータ! バニッシュメント・イン・ロリババア!」 突き上げる二十の拳。一つになる二十の心。 彼らこそLKK団(ロリババアコノヤロコノヤロ団)――幼女を愛で、見守り、その純真さを崇拝する一方で、『少女の肉体には少女の精神こそ相応しい』という信念の下ロリババアを駆逐せんとするフィクサード集団である。 「万歳、熟女! マジェスティー、熟女! ロリ熟女には鉄槌を!」 突き上げる二十の拳。一つになる二十の心。 彼らこそJMM団(熟女マジマジェスティー団)――熟女を愛で、見守り、その成熟した艶っぽさや包容力を崇拝する一方で、『熟女の肉体には熟女の精神こそ相応しい』という信念の下ロリ熟女を駆逐せんとするフィクサード集団である。 彼らは睨み合っていた。 互いに睨み合っていた。 「ロリにハァハァするなんて犯罪だろ」 「人妻にハァハァするのもどーかと思うぜ」 「幼女体型こそ至高」 「熟女体型こそ完璧」 「ロリの無垢さとその中にある純真故の残酷さがだな」 「熟女の人生経験があるからこその優しさとその裏に潜む切なさがだな」 「公園で遊んでる幼女萌え」 「公園で談笑してる熟女萌え」 「幼女のつるぺたちっぱい」 「熟女の豊満おっぱい」 「ロリ巨乳」 「つるぺた熟女」 「幼女だろ」 「熟女だろ」 「幼女だ」 「熟女だ」 「幼女こそ」 「熟女こそ」 「俺の」 「俺達の」 「「正義なんだッッ!!!」」 一斉に、吶喊。 互いの正義を示す為に。 ●もう折衷案でいいよ 「……あ~……、……。」 こちらに背を向け、モニターを見る『歪曲芸師』名古屋・T・メルクリィ(nBNE000209)は何とも微妙な声を吐いた。 「……いや、我ながらアレなのを見たなァ、って……」 フォーチュナ歴はそれなりですがここまで奇ッ怪なモノはそうそう無い、肩を竦めて事務椅子をくるんと回しこっちを向いた。 「そんな訳でしてこんにちは皆々様、ミドルネームはティヴァストロフなメルクリィですぞ。 サテ、皆々様はLKK団をご存知ですかな? 詳しくは過去の任務報告書にもちょくちょくありますが……まァ、見た目も中身も幼い少女万歳~なフィクサード集団でございます。 ……で、今回、彼らが別のフィクサード集団とドンパチするようでしてな」 これです。メルクリィが指差した先には、モニターに映る集団――LKK団と睨み合い、熟女熟女言ってた連中だ。 「JMM団。熟女・マジ・マジェスティー団の事でございます。 最近、勢力を増してきたフィクサード集団のようでして……LKK団の熟女版ですな。 熟女こそ神秘、心身共に完成された完璧な女性、優しさと厳しさとその裏に潜む切なさ悲しみが堪らなく萌え――と、この資料には書いてありますな」 メルクリィがJMM団についての資料を指先でコツコツと叩く。そのまま続ける。 「どーゆーキッカケでドンパチするようになったかは知ったこっちゃありませんが、取り敢えず『ロリこそ至高』『熟女こそ完璧』と肉体言語で意見をぶつけ合ってるのを――鎮圧して頂きますぞ!」 だろうな、と思った。溜息。お察ししますとフォーチュナは苦笑を浮かべた。 「カレイド・システムで捉えてしまった以上は……それに、町中で神秘ドンパチされちゃ困りますし、ね。 まァ、どっちも戦闘力はアレなんですけどね! そんな心配する事もないかとは思いますが、数が数。どちらも20、つまり40人ばかし居る訳でして。 ……ですが『ミナゴロシ』とかそんなグロい任務じゃないので。あくまでも『鎮圧』ですので、その辺は宜しく頼みますぞ。 それでは次に場所について」 メルクリィがモニターを手早く操作する。 映し出されたのは夜の景色、郊外の廃ビルだ……人気は無いようだが、街灯りでそれなりに明るい。行動に不便は出ないだろう。 「彼らがドンパチってるのはこの最上階」 機械男の言葉と共に廃ビルの最上階の画像が現れる。ガランとして特に何もなく、広い。が、天井が低めだ。硝子のない窓もチラホラと見受けられる。 「まぁ、大方は皆々様がご覧になってお思いになった通りですぞ。特にコレが、って事項もありませんな。 ――説明は以上です、宜しいですか?」 メルクリィがリベリスタ達をニッコリと見渡した。 「言っときますが私はロリコンとかそういった変態さんではありませんぞ」 フフ。 「女性は皆お姫様なのです。因みに性別不明さんもお姫様ですぞ」 キリッ。 「博愛主義のロマンチストですから」 ドヤァ。 「はいそんな訳で行ってらっ――あぁ! ちょっとなんでもう歩き出してるんですかーッッ!?」 ツッコんだら負けな気がした。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ガンマ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年12月10日(土)23:25 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●レッツゴー 夜。ネオン。12月の外気、吐く息が白い。吸い込むと肺がシンと冷える。 見上げる先には一つの廃ビル。最上階。硝子の無い窓。コンクリートの壁。 「このLKK団って人達、やたらといっぱいいるけど……これだけいるならもっと別のことすればいいのに」 野球チームとかいっぱい作れるの。こっそり野球ファンの少女『なのなのお嬢様なの』ルーメリア・ブラン・リュミエール(BNE001611)は残念そうにあどけない顔立ちの眉根を寄せる。因みに彼女は赤い球団贔屓である。 その横にニュッと現れたのは『第7話:魔女香夏子降臨』宮部・香夏子(BNE003035)、長い紺髪の奥から眠たげな目でルーメリアと同じくビルを見上げる。長い睫毛に縁取られた目をゆっくり瞬かせる。 「今回はLKK団の他にJMM団まで現れたようです。 LKK団が何か分かってない香夏子ですが……ついに動く時がきたようですね」 ゴゴゴゴゴ。無駄に無意味に燃えながら。 一方、『ネガデレ少女』音更 鬱穂(BNE001949)は寒風に狐耳を小さく震わせながら嫌そ~に眉根を寄せた。 「LKK団にJMM団ですか……変態は嫌ですね。わざわざ群れてるところがさらに……」 その表情は呆れと嫌悪。取り敢えず、このまま放っておく訳にもいかないので致し方ないのだが。 「ん、言ってることよくわからないけど、ご近所めーわくだし、何よりけんかはだめーってえらい人言ってたから、冥華がんばってやめさせる」 こちらはウサ耳、『うさぎ型ちっちゃな狙撃主』舞 冥華(BNE000456)は白いお耳をピコピコさせながら自由な足取りでビルの中へ、ホール内を見渡し言う。でも、と続けて曰く、 「言うこときかない悪い子は……風穴あけとく」 そう言う冥華の手には九九式狙撃銃、ちっちゃな身体に無骨な銃、そのアンバランスさが……イイ。 そして今度はウルフ耳。『あかはなおおかみ』石蕗 温子(BNE003161)は長い白マフラーに赤い鼻を埋めて彼方を見据える。鼻炎気味の鼻をスンと啜って目を細める。 「なんてむなしい」 温子の顰めっ面には落莫の色。アイドルグループの誰が一番素敵かで友達と喧嘩した事があるから分かる。分かるのだ、この赤鼻狼には分かるのだ。 「嗜好の押し付け合いに意味は無い。 愛してるなら、その愛を極める方法を模索するべきなのよ。 違う嗜好の人をロンパしても好きって気持ちが泣くだけなのよ」 静かに空気を吸い込む。 「こんな争いやめさせる!」 キッと前方を睨み、マフラーを靡かせ歩き出した。 /ロリっ子ここまで 「彼らが女神を望むなら」 ヒラリ、靡くのは熟女であり団地妻の正装ラブリー団地妻エプロン。 キラリ、薬指に輝くのは揺るがぬ永久の愛を示す結婚指輪。 「――私はそう在るわ」 指輪のある手を握り締め、『サイバー団地妻』深町・由利子(BNE000103)は遥か最上階を見上げる。 力で押さえつけては解決にならない。凛とした空気を吸い込んで、モル柄エプロンを靡かせて歩を進める。 /熟女ここまで 「確かに私は半端者」 Nacht。夜の名を冠した漆黒のマント。凛麗とした銀の佳人。なれど、と『銀の月』アーデルハイト・フォン・シュピーゲル(BNE000497)は凛と声を紡ぎ出す。 「なるがゆえに双方の立場が理解できる。」 言葉と共に、仲間に続く。 /お姉さまお婆ちゃんここまで 「LKK団に加えてJMM団登場ですか。えーと、もしかして、私の奥さんと娘の危機ですか!?」 そう言うのは一見どこにでもいそうな普通のおじさん。奥さんと子供(一男一女)持ちの家庭生活優先派なお父さん。 うかつに公園に遊びに行かす事が出来なくなる人たちですね、と『子煩悩パパ』高木・京一(BNE003179)はトレードマークの柔和な笑顔に不安の影を覗かせた。 「早めに対処しませんと……それにあまり大事にしたくないものです」 さぁ、善は急げ。頑張れパパ。 /おじさんここまで そんなこんなでリベリスタ出撃。 ●俺達の正義 一歩一歩、階段を上る度に聞こえてくるのは怒号、騒音。 「んと、てーせん勧告してだめだったら鎮圧? そんな感じ?」 冥華よくわからないからおまかせ、とウサ耳スナイパーは仲間達へ振り返り、拙い発音で確認を。頷いたのは鬱穂、由利子へ視線を向け……かけて結局俯いたまま、 「あの、停戦勧告のタイミングは由利子さんにお任せ……しますね」 説得とか演説とかごめんなさい……もじもじフェードアウト。説得ぐらいはちょっと手伝うーと冥華が続く。任せて頂戴と由利子が微笑む。 「香夏子は基本的にどちらの陣営にもつかない第三勢力として動きます――いわばKKK団(カレーは辛口で決まり団)の設立です」 キリッ。目的と手段がアレな事になってはいませんか香夏子ちゃん。 「もしかしたら勝手に潰しあう可能性も無きにしも非ず、ですしね」 そう言った京一の視線の先には遂に最上階。 互いに目を合わせた。頷き合った。 直後に跳び出してゆく! 「ストーップなの!」 先ずLKK団の前に立ち、手をぶんぶん振ったのはルーメリア。驚いたLKK団が急ブレーキで彼女に注目する。 「な…… 可愛いッ!!」 「何故アリスがこんな所に……でも可愛いッ!!」 「君、危ないぞっ! ……でも可愛いッ!!」 「少女キターッ! これでかつる! ……そして可愛いッ!!」 驚き、萌え、狼狽、萌え、燃え、萌え、色んな(?)反応。一斉な視線に思わず半歩下がるルーメリア。 「う、うわ、目が怖いの、この人達……!?」 いやいやそれどころじゃなくって。JMM団も思わぬ乱入者に戸惑っている今の内に取り敢えず。 「こんな馬鹿な争い、すぐにやめるの! 熟女だっていないと、幼女が生まれないの!? いいの? この世から幼女が絶滅しても……え、どうやって子供が生まれるかって?」 ぽくぽくぽく。 ティーン。 「それはコウノトリさんがキャベツ畑から……って今は関係ないでしょ! と、とにかく、争いはよくないの!」 顔を真っ赤にルーメリア。 「GOOOOOOOOOOOOD!!」 顔を抑えて悶絶LKK。 それをチャンスと狙うJMM。気糸でLKKを締め付ける。更にそれを狙う破滅のオーラ―― 「これ以上はいけないわ、めっ」 「!!」 癒し系柔和ボイス。ハッとしたJMMの狙いがずれる。結果、外れる。 「まさか――」 JMMの視線の先。 そこにはエプロンを靡かせ、アークLKKJMM全員に十字の加護を施す由利子の姿が。 「じゅじゅじゅ熟女だーーッ!」 「女神だ! 女神が降臨なされたァアア!」 「団地妻! 団地妻!!」 「お美しすぎるウワアアアア」 先のルーメリアを見て『チクショウLKKにだけ』と思った反動か。尋常じゃない喜び方だ。地面をごろんごろん。あらあらまぁまぁ、立たせてあげながらオートキュアー。 そんな様からLKKへ視線を移し、冥華はその顔を覗き込む。 「んと、けんかはだめーだから……けんかやめておとなしく冥華のいうこときくーって子には、いい子いい子ーって頭なでてあげるー。なんだったら、冥華の部下にしてやるー。 それでも止めない悪い子は……冥華、風穴あける。ずがががーってやるー」 「アリス追加キター」 「寧ろご褒美ですッ」 「ぐぅっ……だが、でもね我らがアリス、これはおじさん達のジハードなんだよ」 「戦わなくっちゃいけないんだ……!」 「だ、駄目なの、お兄ちゃん、落ち着いて!」 ルーメリアが後ろからだきゅっとしがみ付く。 「はーいそんな事されたらお兄ちゃん落ち着けませーーーん!!」 「チクショウお兄ちゃん呼びとか羨ましいけど可愛い可愛いよあうああああ」 なんてやっているが戦うのは止めそうにない。 それはJMMでも同じだった。 が――予想内、寧ろ作戦通り。 手筈通りに動き出す。 目標は抗争が延々続くのを避けた上での鎮圧、ある程度彼らのガス抜きが大事であろう。 アーデルハイト、香夏子、京一は第三勢力として。 ルーメリア、冥華、鬱穂のロリっこズはLKKへ。 由利子、そして…… 「その戦い、わたしも参戦するのよ!」 温子がJMMへ。 「えっ……?」 てっきりLKKへ行くのかと。目を丸くするJMMへ、温子はスンと鼻を鳴らし流水の構えを取った。 「アークのロリがこっちに付くのおかしい? わたしのママは熟女ゾーン真っ盛り。ママを大好きっていう皆を応援するのよ」 言葉と共にJMM団員へ飛んで来た弾丸を指先で挟んで止める。 ママ大好きっ子なロリ盾。攻撃したらロリに怪我。 「戦えるもんなら来い……!」 LKKへ、構えた。 「クッ……ロリ盾とは卑怯な」 うろたえるLKK陣、溜息を吐く鬱穂。取り敢えず近くの団員を睨み付け、 「耳さわったら……コロスぞ変態」 キャラ変わってませんか鬱穂ちゃん。 「大丈夫さ! 僕等LKK団はノータッチ主義だからね!」 「消えろ。滅せ」 「ありがとうございまァーす!」 我々の業界ではご褒美です。 「変態さんには言葉も通じないようです。私は意思疎通できない相手を人間と認識できません。滅んでください」 刹那に閃いた雷撃は鬱穂の魔術、重ねて同じ魔法を放つのはアーデルハイト、京一は一先ず様子見を、身体能力のギアを高めた香夏子は柳葉の如くひらひら回避、回避……疲れた。ルーメリアの元へ、回復ぷりーずの舞。 頷いたルーメリアは天使の歌を。勿論LKKのお兄ちゃん達にも。 ならば回復役からと攻撃の矛先がルーメリアへ、気付いた彼女は咄嗟に傍のLKKへ、 「お兄ちゃん、た、助けて!」 上目遣い。 「合点了解ー!」 即答。身を張ってロリを死守。お礼に彼女は天使の歌。和むLKK。 「ん、悪い子にはおしおきしないとだめーだから、冥華……風穴あける」 冥華はスターライトシュートを複数人目掛けて放つ。 直後にまた閃く銀令嬢の雷撃、香夏子のブラックジャック――しかし誰一人倒れて居ないのはLKKについたルーメリアの歌と、そして由利子の支援。 重傷者ナシを第一に考える彼女は天使の歌、オートキュアー、クロスジハードさえ惜しまず誰もに施してゆく。精神力は無限機関で補う。更にJMMが危険な攻撃を行おうとした場合は庇いに入り、JMMを「めっ」と窘める。温子も身を張ってJMMを護る。 そして、幾許かの時間が経ち。 最上階の騒音は小さくなり――やがて、完全に止まった。 倒れ伏して居る者は一人も居なかった。 ただし疲れ切って座り込んでいる者ならごまんと居たが。 ●めっ。 「ちゅもくしろー」 どーん。冥華が地面に打ち込んだ弾丸の音がフロアを揺さぶった。 冥華に集まる視線。彼女はピシッと由利子を指差す。その先の由利子は自分に映った視線にニッコリ一礼すると徐に拡声器を取り出した。 向くのは、疲弊しきったJMM。 「JMMの皆さん、貴方達が私たち『熟女』と呼ばれる年代を愛してくれている事をとても嬉しく思ってるわ。 でも行き過ぎた想いが、今日大きな争いを招いた事。それが私はとても悲しい……。 考えて欲しい、貴方達が拳を振り上げた人達の事。 彼らが愛したのは……それもまた『私たち』だって事を!」 「……!」 ざわっ、目を見開き、互いと由利子を見比べるJMM。ざわつきが収まった所で団地妻は締め括る。柔和な声だが、ハッキリと。 「『幼女』から『熟女』……その正しき成長を、見守って欲しい」 以上です、と礼。それからアーデルハイトに拡声器を手渡した。 「JKK団とLKK団の皆様、こんにちは。私、アークのリベリスタ、アーデルハイト・フォン・シュピーゲルと申します。 愛情表現は様々なれど、貴方々には申しておかなければならない事がございます」 お前は年齢詐欺だろう、とリーディング持ちの視線とヤジが飛んでくる。しかし佳人は冷静に答えた。 「確かに私は半端者。半端者故、双方の立場に立つ事が出来るのです。 ――さて、貴方々は大きな過ちを犯しています。光と闇が表裏一体であるように、幼女と熟女もまた表裏一体」 アーデルハイトがJMMへ向いた。 「子を失った親が、希望を持てるとお思いですか?」 そしてLKKへ向いた。 「親を失った子が、無垢に笑えるとお思いですか?」 答えは静寂、誰もが俯いている。一呼吸の間を置いて、彼女は続ける。 「親と子……母と娘、熟女と幼女は共に在るべきもの。 どちらが優り劣っているかではございません。その本質を忘れて何が正義か。 想像してください。共に手を繋いで歩く母娘の姿を。――それが、貴方々が守るべきものではないのですか? バロックナイツが暗躍し、罪無き母娘の幸せが脅かされている今、このような所で争っている暇など無い筈です」 一礼。次いで拡声器を鬱穂へと。 「あの、その」 恥じらう声が大きく響く。自分の顔が紅潮しているのを感じながら、深呼吸してようやっと声を絞り出す。 「……虚しい戦いは終わりにしませんか? どんな少女でもいつかは年を取る。どんな熟女も昔は少女だった……。 貴方たちが争う理由なんてない筈です……本当に少女を愛するなら。熟女を愛するなら。 他人の趣味趣向なんて障害になる者ではありません。 障害と感じたり認められないのは心が揺らぐ事があるから。 そんな人間は真のロリ好き、真の熟女好きには程遠い存在です。 己の道を貫き、他人の道を認めなさい」 ただ両成敗したのでは争いの芽は消えない。何とか互いに認めさせるか相互不干渉状態にさせておきたい。そう思いながら鬱穂は温子へ拡声器をバトンタッチした。 受け取った温子は鼻を啜り、拡声器を構える。 「どうしてロリと熟女を分けるの? 昼下がりの公園、登下校中の通学路、はたまた買い物帰りに手を繋いで、両者はあらゆるところで一緒に居るのよ。 ……想像するのよ。無垢に甘える少女の信頼、深い包容力で受け止める母の愛を。 完成体と未完の可能性のコラボ。揃えば互いの魅力を引き出し、相乗効果は無限大! その良さはきっと陣営の垣根を越えて伝わるわ。 喧嘩はやめて仲良く一緒に愛でるのよ! 苦難を共にしてこその友よ!」 そして拡声器は――香夏子の手へ。 どこかに置いていた大きなお鍋でカレー&食器一式を用意している香夏子へ。 「皆さんよく聞いてください。この世には幼女や熟女よりもっと大事なものがあります。 それは……カレーです! カレーを食べればどんなに疲れてても元気が出ます。 カレーを食べればどんなに辛いことがあってもきっと乗り越えられます。 皆さんたくさん暴れて疲れたでしょう。 香夏子こんな事もあろうかと疲れた皆さんを元気付ける為にカレーを用意してきました。 コレでも食べて落ち着けば、きっと気持ちも晴れるはずです」 という訳で香夏子はカレーを食べます。スプーンに盛ったカレーを一口、ニッコリ微笑んだ。 LKKが、JMMが、お互いを見遣る。 睨み合うその目は徐々に緩まり…… やがて、苦笑へ。 笑顔へ。 そして互いに歩み寄り、握手するのだった。 ●華麗にカレー 和解した彼らの傷を由利子は精神力の続く限り癒して回った。 「熟女である前に母である私の義務だから」 と。 「マジ女神!!」 「熟女も……素敵だな」 カレーを仲良く食べながら和む紳士達。 そんな食事会の真っ只中、京一によって始められるのは恒例(?)の娘自慢パーティ。(主催・京一 参加者・京一) 四歳の娘の写真をズラッと手に、LKKへ。 「良いでしょう? 可愛いでしょう? この笑顔が素敵でしょう? ……いやぁ、参ったなー、もっと見たいですって? あははは、良いでしょう良いでしょう。ほらほら、これは先日遊園地に行ったときの写真で……」 自慢しまくり。家庭をもつことの素晴らしさもアピール。このリア充! 勿論JMMにも忘れない。ただしこっちは奥さん自慢だが。 惜しみなく奥さんの秘蔵の写真を見せまくり。自慢しまくり。家庭をもつことの素晴らしさもアピール。このリア充! 「やはり素敵な奥さんを持つというのは良いですね」 ニッコリ笑って締め括り、両者へ言う。 「――なにせ、熟女とロリ、共に「合 法 的」に眺め放題ですよ。 どうです? うらやましいでしょう?」 ざわッ……凄まじい食い付きを見せた両者へ、更に。 「家庭を持たなくても保育士や幼稚園の先生になる方法もありますよ?」 と。 一方のルーメリア。 「そんなに熟女がいいのかな……ルメも結構大人の魅力とかあると思うんだけど!」 うっふん♪せくしーポーズ。 LKKにはバカウケ、JMMには…… 「うん、可愛い可愛い」 ナデナデ。何だかアレな気がしたので、ていっと脛を蹴っておいた。 「いい子いい子ー」 ナデナデ。こっちは冥華が希望者の頭を撫でている。約束した事はちゃんとやってあげる。 さてカレーも食べ終わった頃。 由利子は皆へ三高平団地婦人会主催の親子クリスマスパーティのチラシを配っていた。 「男手がたりなくて……お手伝いさんを募集してるのよね。 私と、石蕗さんくらいの女性がいっぱい来るわ。 ちゃんと皆さんが仲良くできるなら……楽しく過ごしたいな?」 優しい笑顔でにっこりと。 「ルメ達と一緒にみんなが幸せになれるように頑張ろうよ!」 ルーメリアも身振り手振りでそれに続く。 「「喜んでーーーーー!!!」」 即答だった。 「よーし、じゃー冥華に続けー。それなりにゆーぐーしてやるー」 そんな彼らを引き連れて、兎少女が歩き出す。 行き先? アークです。 連☆行! (ママにヘンタイを近寄らせるわけないのよ) フッと温子が邪悪に笑う。 「裏切り? わたしが誠実なのは善良なイケメンにだけよ!」 先生、ここにじゃあくロリが。 『了』 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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