●奉仕活動中。 「イエス・アリス・ノーロリータ。パニッシュメント・イン・ロリババア――。 なんて言ってた頃が昔のようだ」 ドブさらいをしつつポツリと呟いたこの男は、かつてLKK団の一員として小学校低学年の少年少女を陰ながら見守り続けるだけの活動を行っていたが為にお縄についた典型的な変質漢。 奉仕活動の一貫としてこの巨大排水口のドブさらいをする羽目となったが、ひどい匂いに鼻がネジ曲がりそうになる。 「ただ見ていただけなのに捕まるとはなんと非情な現代社会」 おのれおのれと愚痴をこぼしながらドロを掻き出していると、彼は不自然に積み上げられたヘドロの山を見つけた。 誰かがサボった成れの果てか。男はスコップ片手にこの山を掻き出そうと歩み寄ると―― 「――!」 突如、ドロ山から顔が飛び出したのは紛れも無く幼女フェイス! 顔も髪も泥まみれだが、紛れも無い小学生低学年女子のあどけなさ残るフェイスに間違いない。 「イエス・アリス! フェイトは我を見放してなかった!!」 積年の鬱憤が爆発したかのようにヘドロ山へと足を速める。 (これはレスキュー、ノータッチではピュア・ライフを救えないエマージェンシーなんだ)そして、スコップを振り上げた瞬間――男の体が何者かによってヘドロ山へと引っ張りこまれた。 「今助ける――ぶっ!?」 ヘドロに体ごと突っ込んだ彼は、何が起こったのかとばかりに必死にもがく。 だが、もがけばもがくほどヘドロは彼を包み、取り込んでいく。 ふと、彼が顔を上げるとそこに見えるのは幼女の顔。 何故幼女か? そんな事はもはやどうでもいい。 男は本能で自らの死を悟り、その思考を放棄してしまったのだから。 「アリスの血肉となる。こんな最後も、悪くない」 そして、男の体は呆気無くヘドロの中へと飲み込まれてしまうのだった。 ……ゴチソウサマ。 ●騙してないよほんとだよ 「まぁこんな感じだけどホント頭いいよね、エリューション」 騙された! そこに集まったリベリスタ達の誰もがそう思ったことだろう。 なにせ『泥んこまみれの女の子とキャッキャウフフする簡単な依頼です。ちょっとした清掃活動あり』との案内を見れば好きな人は食いつかなければ男がすたるというもの。 そう仕向けるように案内を打った張本人こと『首を突っ込みたがる幼き賢者』ミカ・ワイナミョイネン(nBNE000212)はしてやったり顔をしている。 まさかこれでヘドロ浚いとは思うまい、ファック。 ともあれ、このままでは社会復帰を目指すべく汗を流す青年の生命が失われる事となる。 ――失ってもいいよな、なんて言ってはいけない。 「そんな訳で今回はドブ掃除もやってほしいなーってところだね。一石二鳥?」 今回の目的地は某所から流れる巨大な排水口。 数人並んで入れるほどの横幅があり、昨日降った雨により汚泥などが多く溜まっていた。 これを奉仕活動の一環として掻きだす羽目になった拘束中のLKK団員が見つけ、あれよという間にエリューション・エレメントのごちそうとなってしまう未来を防ぐのが今回の任務となる。 ――防がなくてもいいよな、なんて言ってはいけない。 「このエリューション・エレメント……便宜上ヘド子って呼ぶね。 このヘド子は基本形態から捕食対象の興味の行く姿に変わることも出来るんだ」 その言葉に周辺がどよめき、がたつく。 画面に映し出されているのは基本形態である泥まみれのスッパ幼女。ここから捕食対象のピンポイントな姿に変わるというのだからガタつきたくもなる。 逆を言えば、捕食対象の性癖がバッチリ他の人に把握されてしまうことにも繋がる。高すぎる欲は社会的なダメージも比例して大きくなる。 「他にもヘドロを飛ばしたり、ヘドロを取り込んで傷を直したりするから周辺のヘドロは掻きとったほうがいいかも」 あと滑りやすいから気をつけてね――という声は届いただろうか。 リベリスタ達はこのヘドロ少女をどうするべきか、そちらに神経を尖らせるのだった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:カッツェ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年12月10日(土)23:30 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●この想い、泥仕合 「そういえば昔、ヘドロに命が宿って大怪獣になる映画あったわねぇ」 かなり古い映画を思い出しつつ、『虚実の車輪』シルフィア・イアリティッケ・カレード(BNE001082)は光の羽根を広げ、低空飛行を維持しつつ進む。 「それぐらい大きかったら、ボクたちの手じゃ負えないかも」 その言葉に山のように大きな姿を想起し、うなずくのは『angel's knight』ヴァージニア・ガウェイン(BNE002682)、この巨大用水路に入る前に泥除けにと翼の加護を与えたのも彼女だ。 その映画の中では大きな被害をもたらし、技術の発展に一石を投じたヘドロ怪獣だったが、それと比べれば今回は生やさしい。 外からの光が微かに零れ、戦闘には支障がない明るさを確認し、奥でヘドロを掻いている人影を見る。 今回の犠牲者は救いようのない変態だが、それでも救ってこそのリベリスタである。 「どうも、イエス・アリス、ノー・ロリババア……でしたっけ」 「違う違う。イエス・アリス。ノー・ロリータ。パニッシュメント・イン・ロリババア。 ロリババアはパニッシュするものだが及第点だ。君とは馬が合う気がする」 掴みはよし、『弓引く者』桐月院・七海(BNE001250)が話を切り出す。 「それで、この前出たひなちゃんが可愛くて本命な感じで――」 「あぁ君もかい、あの子は見守りたいタイプだね」 「ですね、やっぱり葵ちゃんかな。 完成度がやたら高くてしかもクーデレ、評価も高いからとりあえず買った程」 「買った……だと……!?」 意外にも和気藹々と話が弾む2人。 誤解のないように注釈しておくと、七海は4日前に全ルート攻略した学園ものゲームのキャラクターのことであり、LKK団員は実際に視た子を語っている。 そんな話もいいが、まずはこのLKK団を何とかしなければ――七海がふと告げる。 「ならお逃げなさい、あなたにはまだ見ぬアリスがいるのだから!」 「そうだ私の戦いはこれからだ、サラバ!」 「逃がすなぁー!!!」 全力で去ろうとするLKK団員の頭をシルフィアのフライングキックが容赦なく揺らす。 「げふぁ!」 同時にスカートも揺れ、明らかにはいてない部分が七海の目に飛び込む。 「!!!」 そのまま2人の男はよろめき、そのまま泥の中に体を埋める。 「み、見え た」 「見えたじゃないわよ! 更正途中のフィクサード逃してどうするのよ」 若干動揺しつつもシルフィアに揺さぶられてハッとする七海。 そもそもまだ戦いすら始まってないぞ! 「さて、あとは――」 気を取り直して、LKK団員を逃げないようにシルフィアが簀巻きにし、不法投棄されていたドラム缶の中に叩き込んだ所で『テクノパティシエ』如月・達哉(BNE001662)がヘドロの山を見据える。 その目は尋常ならざる気が漂っているが、その正体はまだ明らかではない。 ヘドロの山は気づかれたと思ったのか、徐々に揺れ始め――。 「来たか」 揺れが一際大きくなり、頂上から何者かが飛び出す! ●泥(こひじ)はつらいよ。 目の前に居たのはヘドロで構成された、まごう事無き幼女だった。 下半身は山積みされたヘドロによって隠れているが、胸のぺたん具合やイカ腹な幼い容姿は間違いなく一桁幼女。 「でも、所詮はドロリでござるよな」 「ロリと言うよりペドの域ね」 人によってはこれを幼すぎると言うだろう。『自称・雷音の夫』鬼蔭 虎鐵(BNE000034)の言葉が物語る。 そんな彼女が『獲物を見つけた』とばかりにすかさずヘドロをぶつけてくる。 「ヘド子だかペド子だかなんだか知らないけど、アタシの銃で吹っ飛ばしてやるわ!」 久嶺の展開したライフルが火を噴くも、あまり効いているようには見えず、掌から射出されるヘドロに圧倒されながら各自準備を済ませて攻撃へと移る。 「でも、これはこれで眼福にござぁ――!」 虎鐵がそう告げた瞬間、どろりと崩れるヘド子。情報によれば好みの姿に変わるというが、果たしてどのような姿に変わるというのだろうか。 「皆離れて、ぶっ放すわ!」 こちらも黙って見ている訳にはいかない。銃弾が駄目なら業火でこんがり焼くまでと、シルフィアが前に飛び出て詠唱を始める。 その間にもヘド子は変化を終え、その新たな姿は――。 「……」 その姿を見た瞬間、虎鐵がたじろいだ。 おかっぱツインテ胸はなし。やや凛とした身姿のまま、ヘド子は虎鐵を見つめる。 どうも彼の関係者に酷似している様なのか、隙はあるのに手が出せない。 「これは、手が出しにくいでござ……」 「…………」 「!!!」 あぁこれは駄目だ、避けられるわけがない。 確かに言った、言葉は聞こえないがあの口の開きはもう『パパ』としか取ることができない。 「灼かれるもまた本望、でござる」 「え、ちょっと!?」 シルフィアの手から現れる朱。 すごい勢いで前に躍り出る虎鐵。 「(あぁ、これはきゃっきゃうふふ出来そうにないでござるなぁ……)」 荒ぶる業火をモロに受けた虎徹の顔は驚くほど満足そうでもあり、ちょっと悔しさが滲んだ顔をしていた。 「ちょっと、あっさり騙されてるんじゃないわよ!」 思った以上の大火力に真っ黒焦げになった虎鐵を引き剥がそうとする『ただのシスコン幼女』宮代・久嶺(BNE002940)。 シルフィアのフレアバーストがヘド子を焼きのめした後、さらなる追い打ちをかけようとした彼女だったが、思わぬ妨害に思わず駆け寄る。 久嶺のフォローもあって捕食とまで行かず、ヘド子は改めてその身を融解させる。 「無駄よ、アタシの大好きなお姉さまにでもならない限り攻撃は緩めないわ!」 すかさず狙って一発、ヘドロが周囲に飛び散るも再構成は尚も続く。 そして――。 「あ……」 予定調和とはまさにこの事か。 変態したその姿は、久嶺を弱々しくした様な少女。久嶺の姉と瓜二つ。 「こんなのに変わられたらアタシ、アタシ……」 銃を持つ手が震え、我慢――。 「お姉さまああぁー!?」 出来なかった。おぉシスコンよ、たえられないとはなにごとか。 掘り出した虎鐵をポイとヘドロの上に放り出すと、久嶺は有無をいわさずヘド子に向かってダイブインし、周囲に泥が激しく飛び散る。 「あああー!?」 当然、ヘド子はそのまま身体を柔らかくし、あっという間に久嶺を取り込んでしまう。 このままではLKK団員に代わって捕食されるも時間の問題だろう。 「まったく……」 このままでは久嶺がヘドロにまみれて見せてはいけないような姿になってしまう。 『絶対鉄壁』ヘクス・ピヨン(BNE002689)は呆れながらも接近し、ミイラになった久嶺を引き剥がしにかかる。 「マキシマムにむかつきますね、そんな姿をされると」 ヘド子に密着した形で胴体部にヘビースマッシュを叩き込み、中に埋もれた久嶺の腕を掴む。 「……」 そんな2人をヘド子は纏めて取り込もうと覆い被さる、状況はよろしくない。 「あれれ、ヘクスちゃんも魅了されちゃってる?」 「そんな訳ないじゃないですか、誰かが落として拾いそこねただろうお金があるぐらいで魅了される人が居ますか」 そういう事らしい。深く腕を突っ込もうとすると余計にヘド子が覆いかぶさり、2人を飲み込み、取り込もうとする。 「もう少し!」 「もうちょっと優しく引っ張りなさいよ!」 引きずりだそうとするヘクスごと捕食しようと急ぐヘド子。 「もう一度行きますよ!」 今度は妨げられないのを確認すると、シルフィアはもう一度フレアバーストを叩きこむ。 蒸気と共にヘクスと久嶺の姿になりかけた表面のヘドロが乾いて落ち、激しく蠢く。 「取れた!」 ヘクスが久嶺を引き剥がし、怒りを込めて再び重たい一撃を叩きこむ。 「!!!」 ヘド子の体に大穴が開き、取り繕おうと新たな形態を取っていく。 「……はぁ」 一息つき、ヘクスは感じたもう一つの手応えを確かめるべく手を開く。 握られていたのは銀のメダル。ゲームセンターで使うような貨幣価値がほぼ皆無なメダルだった。 「……」 その変貌の過程を見るや、ようやく達哉が一歩動き出す。 その第一声を、厳かに、高らかに言い放つ。 諸君、僕は巨乳バニーが好きだ。 ● 諸君、僕は巨乳バニーが好きだ。 諸君、僕は巨乳バニーが好きだ。 諸君、僕は巨乳バニーが大好きだ。 平原で 街道で 塹壕で 草原で 凍土で 砂漠で 海上で 空中で 泥中で 湿原で。 この地上で生まれたありとあらゆる巨乳バニーが大好きだ。 高らかに、万全たる自信を以て歩み寄る達哉。 攻撃できるものか、食われてもなお構わん。 巨乳バニーの操るH&KMP5が敵性存在を撃破するのが好きだ。 恐慌状態の巨乳バニーが既に息絶えた敵性存在を何度も何度も刺突している様など感動すら覚える。 更に前へ、ヘド子の袂へ。 諸君、私は巨乳バニーを天国の様な巨乳バニーを望んでいる。 諸君、私に付き従う大隊戦友諸君 君達は一体何を望んでいる? 巨乳バニー!巨乳バニー!巨乳バニー! 妄想かもしれない。 だが確かに聞こえた、その喚声――。 よろしい、ならば巨乳バニーだ。 ●泥を吐く 状況は確かにこちらを向いているも、一部はもうボロボロだった。 「この幼女は拙者が守る!! 絶対守るでござる!!」 「遺伝子改造で自分好みに作った娘、攻撃は断じて通させない。絶対に、絶対に、絶対に!」 サラっととんでもない事が聞こえたが主にこの二人がヘド子への攻撃を妨げていた。 「纏めて攻撃してもいいのかのぅ?」 「被害が大きくならない程度なら構わないよ」 2人まとめて焼き払うのは被害が大きくなると判断し、ヘビーボウで狙いを定めてはヘド子の胴体を穿つ。 たまに虎鐵が飛び出して当たるももはや気にすることはなくなった。 そんな今のヘド子の姿を具体的に表現すれば、トランジスタグラマーなロリ巨乳体型にバニー姿、オマケに眼鏡という具合。 それでも惹きつけられているということは、もしかするとエリューションの持つ進行性革醒現象により徐々に知識を身につけ、成長している証左なのかもしれない。 「…………」 いよいよ戦況が怪しくなったか、後方で攻撃をしかけていた『不誉れの弓』那須野・与市(BNE002759)もぽつぽつ不安の声を漏らし出す。 近くにはシルフィアらの手によって簀巻きにされ、ドラム缶に叩きこまれたLKK団員の姿もあり、敵ながら思わず声をかけてみる。 「あっちで、何が起こってるのかのぅ……?」 見るかぎりは巨乳でバニーっぽいものをめぐって仲間割れをしているようにも見える。 「ふっふ、戯れ、かな。こういうのを見るのもいいね」 「いいのかのぅ?」 チラチラとこちらを向く視線はあまりいいものではない。どこか邪なものを感じる。 「身につけている物が透視の効かないアーティファクトでなければ、今頃生まれた姿のまま戦い戯れてるなんて素晴らしいじゃないか。でも男のも見えるなそういう趣味はないぞ」 「やっぱり、その様に見ていたのかぇ」 「純然たる幼き肢体に汚れなく触れる事はLKK団の意に反する。 清い体と相応の口調はいいものだ、故にこの戦いは実に惜しい」 話すごとに目がやばくなってくるLKK団。 「も、もどってくるのじゃっ。なんかだらしない顔になっておるのじゃが!」 「だが君はどちらかと言うとロリババアだ。ここから離してくれ非性的なパニッシュをしてこれオゴォ!?」 「いいから黙ってなさいこの変態!」 すっかり泥まみれな久嶺はそのままドラム缶を蹴り転がす。 「ばばっ!?」 「ヘド子の方は任せたわよ」 「やめろー、はなせー! せめて視させ続けろ―!!」 ゴロゴロと転がされながら退場していく二人。 「……LKK団の人も、色々と難儀じゃの」 そう考えながら与一は巨乳バニーと化したヘド子に狙いを定め、魔を秘めた矢を放つ。 「あれは……山本葵ちゃん!?」 「姿が変わったのなら問題はない」 「ひどい!」 達哉のアデプトアクションが山本葵ちゃんそっくりになったヘド子に決まる。早い、転換が早すぎるよこの人。 彼女の体を構成するヘドロの大半は用水路のあちこちに四散し、山も前と比べて大分小さくなっている。 「男の人ばっかり引っかかるってことは、きっとこの国にはエッチな男の子が多いんだね!」 言葉と共に十字架の一撃を撃ち放つヴァージニア。それがヘド子の胸に喰い込むとぶるんと大きく揺れ、嫌そうな顔をヴァージニアに向ける。 一方、その言葉に魔落の鉄槌を叩きこまれたかのようなショックを受ける男性二人。 うち一人は前かがみ。 変化を繰り返すヘド子はそのままヘドロ山に潜り、出てこなくなる。 (丸々としたモルだと可愛いけど、倒しにくいかも) (巨乳バニー、巨乳バニー、巨乳バニー……) ヴァージニアも達哉もアレコレ思いつつ、攻撃に備えて武器を構える。 次が最後の時か。泥をかき分け、人型がヘドロ山から飛び出す! 「出てきた!」 「巨乳バニーか!?」 現れたその姿は――。 頭は丸々としたモルそのもの。 体はバインバイングラマラス。 そんな奇怪な姿をしたヘド子が、リベリスタの視線を釘付けにした。 『うわあぁぁ――!?!?』 思わぬ合体事故に戦慄し、すかさず叩き込んだヴァージニアの鉄槌がヘド子を叩き潰したのだった。 ●泥のようにわび続けろ 「すまなかったでござる」 「ケダモノね」 汚泥の上でひたすら土下座する虎鐵、仕方ないね。 「モルなら可愛いし悪い事しなくなると思って、つい」 あの姿にショックが抜けないヴァージニア。ヘド子だったヘドロの山は崩れ、辺りにその残骸が散乱している。 「巨乳モル、モル巨乳……」 それは達哉も同じだった。 「ま、まぁほら。女の人ならヘドロじゃなくっても沢山いるから大丈夫だよ!」 「……そうだな、娘にバニースーツを着せて諌めよう」 その言葉に『?』が浮かぶヴァージニア。心の傷は天使の息でも直せないが、別の方法で治るものと判るのは、もうちょっと先の事かもしれない。 「うぅー、泥まみれだわ。早く着替えたい……」 「なんですか久嶺その目は。あぁ、脱がせてあげましょうか。今ここでかなり迅速なスピードで」 「まさか売ってお金に――」 「はいはい、帰りますよ」 お説教も終わり、もみくちゃな事になりそうな2人を諌めてシルフィアがその場を去ろうとした、その時だった。 「きゃっ」 四散したヘドロが一歩踏み出した足を滑らせ、彼女が前のめりに転倒する。 「!!!!!!」 一部男子は知っているが、彼女の履いているミニスカートの下は『はいてない』。 「いたた……あら?」 顔を抑えつつヘドロを払うシルフィア 前かがみになったり目を覆ったりする男ども。 「み、見え――」 青空の下、シルフィアの悲鳴が一際響いた、ちょっと嬉しい珍事であった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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