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エロティカ・スピードスター

●彼等の遊び方
『どこまで一緒に遊べるだろうな?』
 クレーンの先端に腰を下ろした少年が一人。
 今の声は言葉と響かず、彼の中でだけ聞こえた声だ。
「どこまでもさ、どうせ俺達の世界じゃないんだ。 限界まで楽しもうぜ?」
 独り言のように呟いた彼の姿は、人のようで人でなかった。
 右目はカメラアイの様に変化しており、足はローラーブレードと一体化したようなメカニカルな作り。
 背中には機械の翼を連想させる二門のブースターを兼ね備えている。
 他にもいたるところに機械化した部分があり、サイボーグという言葉が丁度な格好だ。
「アレを集めりゃ、どうにかなる。 それなら集めながら楽しみゃいいんだよ。」
 悪戯っぽい笑みを浮かべながら、立ち上がればナイフを片手にクレーンから飛び降りると、背中の翼から青白い光と共にその姿は着地寸前に減速していく。
『ここで真面目に生きるのもつまらないしな』
 そこにいたのは偶然通りがかったリベリスタの少女。
 制服姿に身を包んだところを見るに、同じ年頃だろう。
 異形の彼を見た瞬間身構えるも、既に遅い。煌々とラインを引きながら地面を滑るその姿は、一瞬にして彼女の傍を通り過ぎた。
「一枚目!」
 シャリンとナイフの音が響く。瞬間、爆ぜるように上着が飛散し、一気に上半身はブラ一枚にされてしまったのだ。
「なっ……!?」
 唐突の事に理解しきれぬ女性は、獲物の刀を構え戦闘体制を取るも彼の攻撃は止まらない。
「そらっ!」
 肩についていたハッチが開き、何かが飛び出すと上に向かって飛翔。
 そのまま弧を描く軌道で彼女の周辺へ着弾した。
 爆発を危惧した少女は咄嗟に防御体勢を取るも、撒き散らされたのは煙だ。
「どこ見てんだ?」
 煙幕を巻き込む様な猛スピードで迫る少年は、片手に握ったマシンピストルの弾丸を撒き散らしながら通り抜けていく。
 咄嗟のステップで弾丸を回避するが、待ってましたと言わんばかりに追撃の手が襲い掛かる。
「きゃぁっ!?」
 巨大なシャボン玉の様な浮遊物にぶつかり、はじけると共に中に詰まった液体が彼女へ降り注ぐ。
 酸の様なものらしいが、破壊したのは彼女の衣類ばかり。柔肌を溶かす事無く、少女を羞恥で甚振り続けていた。
「ほぉ~……いい体付きしてるじゃん。 目的抜きにしても、最高の眺めだな」
 煙が晴れる頃には、その体が晒されそうになり、体を隠すことしか出来ない。
 顔を真っ赤にしながらも、涙目になった憤りの鋭い視線が向けられている。
「こうなったらっ!!」
 このまま体を隠し続けても嬲り殺しにされるだけだ、こうなればと彼女も覚悟を決める。
(「耐えろ、耐えるのっ……。 恥ずかしいけど……忘れるぐらいブッ叩いて、斬りつけてやるんだからっ!!」)
 獲物を握り締め、一世一代の覚悟を決める。
 一糸纏わぬ姿を隠すのを止め、短期決戦でラッシュを掛けようとする少女だったが……地面を蹴ると共に、その首筋に何かが突き刺さってしまった。
「うぁっ……!?」
 目の前の景色がマーブリングされるかの様に歪み、意識が混濁していく。
 不時着した飛行機の如く地面を滑る少女は、起き上がることもままならず、出来る事は首を動かす程度だ。
「流石は相棒、いい狙いだぜ」
 先程の少年とは別に、建築途中のビルから飛び降り、姿を現した存在。
 似た様な外見をした少年だが、持っている獲物はライフルだ。
「これで暫く動けない。 さっさとする事終えてずらかるとしよう」
 ライフルをベルトで肩から提げると、二人は少女の方へと歩み寄る。
「アレはお前がやれよ、この間俺がやったし」
「あぁ、そうしよう。 ……それとは別に、違う形で獲物を楽しまないとな?」
 街灯から掛る逆光で、少女からは彼等の表情が伺えず、自分の未来を決めていく姿に体が小さく震えていた。
「や、やだ……っ。 やめてよ……」
 ガシッと肩をつかまれると、涙が零れ、ビクリと恐怖の震えが波を打つ。
「やめてもらえると思うか?」
 薬が回りきり、少女の意識は沈む。
 この先の未来、その恐怖に押し潰されるかのように……。
 
●お仕置きタイムの始まり
「この後、この娘がどうなったかって? 大丈夫よ、貴方達が想像するような酷い目にあわされてはないわ」
 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)はジト目で質問してきたリベリスタ達を睨む。
「彼等も鬼畜の一線は越える気がないみたい。 セクハラはされまくったみたいだけど、そこまで。 変なポリシーもあったものね」
 よく分からないが、そういう事らしい。狡猾な割には随分と手緩い様だ。
「今回の依頼は見ての通り、あの2人のアザーバイドを倒して欲しいの。 それも殺さないかたちでね?」
 不殺のオーダーに訝しげに首を傾げる面々を尻目に、イヴは言葉を続ける。
「彼等はこの世界に長く留まれない。 放っておいてもいいのだけど、元の世界に帰る為にフェイトを集めて回っているわ……リベリスタ達から吸い取る能力で」
 その言葉にゾッとした表情で凍りつつリベリスタ達、それでもイヴは坦々と言葉を綴る。
「あの後の未来でも、彼等も彼女が危険に陥るような奪い方はしなかったわ。 必要最低限、悪意や殺意もないみたい」
 それであればあの戦いも納得いくだろう。彼女を瀕死に追いやり、吸い尽くしてしまえばいいものを、自身の楽しみ有りとは言えど回りくどい事をしていたのだから。
「楽しみながら目的達成のみを求めている。 だけど、皆のフェイトを吸われてしまうのは困るし、彼等を帰す事も出来るの」
 言葉を続けながら、イヴは端末を操作し、その異世界と繋がる渦の映像をスクリーンへ投射する。
「だけど自棄になって言葉を聞き入れてくれなさそうだから、一度行動不能に陥らせて回収、送還するって訳ね」
 ここまでの話に、居合わせた面々も納得するような様子もあるが……腑に落ちない点もある。
 それは回りくど過ぎる事、いっその事始末してしまうのも手ではないかという事だろう。
 この世界に居ることが害悪なのだから。
「……まぁ、あんな映像見た後だから分からないと思うけど、彼等は一度死にそうだったリベリスタを助けている事実もあるの。 恩を仇で返す事はしたくないわ」
 イヴも幼き頃に母親を失っている。
 他人ではあるが、殺す必要がないかもしれない者を殺せとはいえないのだろう。
 曇った表情に自身で気付けば、俯き隠そうとする。
「それに今ならフェイトを奪う力を生み出せてないわ。 また面倒なお願いになるけど、引き受けてくれるかしら?」
 グレた全うな少年にお灸を添える、それが今回の作戦目標だ。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:常陸岐路  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年12月07日(水)23:19
 大体の方が初めましてになると思います、ストーリーテラーの常陸岐路で御座います。
 さて、今回もお色気とお笑いと、少々背景はお真面目にまとめてみました。
 お色気具合に関しては、どれぐらいほしいか一言添えていただけると合わせやすくてとても助かります。
 また、これ! といったご要望あれば添える範囲で頑張りたいと思います!
 
 戦場はビル建設現場となります。
 北に殆ど骨組みだけの建設中のビル、南に大通りに面した大きな入り口、東に現場の人が休むプレハブ小屋、西に資材と建設車両等が並んでいます。
 中央は開けた平らな砂地となっています。
 敵2人は1人で居る女性のリベリスタを狙う為、そういった囮を準備する必要があるでしょう。
 まぁ……もし、女性が居なかった場合は、そう見える工夫が必要です。
 
 敵についてはハンターとシューターと呼称しておきます。
 ハンターは最初に攻撃を嗾けた少年、シューターは最後に狙撃をした少年です。
 ターゲットを見つけるとハンターはビルから飛び降りて姿を現します。シューターはビルのどこかに潜んで攻撃しようとしているので、見つけ出して接近するか、攻撃を受けない限り移動しません。
 
 ハンターは持ち前の速度を活かし、地面を滑って移動する事で高機動と高い回避能力を備えています。
 耐久力はそれほど高くありませんが、とにかく攻撃を与える事が難しいです。
 また、攻撃は一度に2回行います。
 攻撃手段は以下の通り。
 ・ハイスピードアタック:攻撃と移動を同時に行ってきます。ナイフによる服を剥ぐ攻撃か、マシンピストルによる近接射撃になります。ピンチになると、ナイフでも普通の攻撃をするようになります。
 ・スモークミサイル:周辺にリベリスタにも害を及ぼす煙幕弾をばら撒きます、発射後、次にハンターが行動するまでの間、リベリスタの命中率と回避率を下げてしまいます。
 ・アシッドバルーン:ぶつかると弾ける巨大シャボン玉を通り抜けると同時に設置します。中に詰まった酸は服だけを溶かしますが、ダメージの代わり麻痺かショックを与えます。
 ・セクハラ攻撃:何かしらの手段で他者から視線を遮った後、ルールに抵触しない程度にエッチな事をしてきます。 コッソリと体にダメージを与えつつ、バッドステータスの麻痺かショックを与えてきます。
 
 シューターは速度もありますが、高い射撃能力を活かして攻撃してきます。
 こちらも耐久力は低いですが、回避能力が高いので命中させる事に苦労するでしょう。
 こちらも攻撃は2回仕掛けてきます。
 攻撃手段は以下の通り。
 ・スナイプ:移動せず、高い命中率の射撃攻撃を行います。ダメージはそれほど高くないですが、バッドステータスの麻痺かショックを与えます。
 ・インファイトアサルト:サブ武器の二丁拳銃と手榴弾で攻撃を行います。ダメージと共に、場合によっては服が溶けます。
 ・耳打ち攻撃:何処で覚えたか分からない様なエッチな事を、その人にだけ聞こえる様に囁いてきます。コッソリと体にダメージを与えつつ、バッドステータスの麻痺かショックを与えてきます。
 ・トラップ:罠を仕掛けて攻撃します。『戦闘中』に設置することはありませんが……。攻撃を受けると、ダメージと共に服が溶かされます。
 
 2人はどんな攻撃を受けて倒されても死亡する事はありません、よく分かりませんが妙に頑丈らしいです。
 ではでは、皆様の参加、心よりお待ちしています。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
プロアデプト
老神・綾香(BNE000022)
覇界闘士
大御堂 彩花(BNE000609)
スターサジタリー
エルフリーデ・ヴォルフ(BNE002334)
マグメイガス
ティオ・ココナ(BNE002829)
ホーリーメイガス
ティアリア・フォン・シュッツヒェン(BNE003064)
クロスイージス
黒金 豪蔵(BNE003106)
クリミナルスタア
細・遥香奈(BNE003184)
スターサジタリー
堀・静瑠(BNE003216)

●ハンティング
『いい獲物が来たぞ』
 風変わりな照準が映るスコープを覗きながら、一人の少年が頭の中でつぶやく。
『どっちの意味で?』
 自分とは別の声色で問いが響けば、緩やかに口角が上がる。
『両方だ、恐らくお前好み』
 もう一人の声で短い笑い声が聞こえた。
『最高だ、んじゃ行きますかっ!』
 
 シューターのレンズに映っていたのは、『鉄拳令嬢』大御堂 彩花(BNE000609)である。
 いつもと違い、気配が弱弱しく、しおらしいのは特殊な力で自身すら欺いているからだ。
 その甲斐あって、彼等にめでたく獲物認定。ハンターが青白い光のラインを描き、彼女の直ぐ傍に降り立つ。
「きゃっ……!?」
 か細い悲鳴に、ハンターの背筋にゾクッと電気が走る。
「こんなところに一人で何しに来たのかな? 危ないぜ?」
 嗚呼、戻れたらこんな娘をナンパしたい。
 諦めず何度もアプローチして、不屈の精神でモノにしたい。
 等と、勝手に考えていたりする。
『馬鹿な事考えてないで集中しろ。 まだ捕獲したわけじゃない』
 考えは筒抜けの様で、へいへいと生返事と行動を返した。
「な、何なのっ……?」
 異形の姿を見て、恐れ戦き逃げる少女を演じる彩花。
 全力で資材等が詰まれた西側へと走るも、シューターの弾丸とハンターのミサイルが襲い来る。
「んぐっ……!」
 放たれた弾丸は肩を掠め、更にもう一発が太腿に着弾してしまう。
 体の動きが鈍り、痺れて動けなくなりそうな最中、必死に西の方面へと逃げ続ける。
 周辺に着弾する煙幕弾に目もくれず、只管走り、煙の折を突破した先に……ハンターが待ち構えていた。
「逃がさねぇって」
 シースから刃のすべる音が響き、走る彩花とすれ違う。
 瞬間、独特な金属音が響き、上着が爆ぜる様に飛び散っていく。
 ぶつからない様に身を捩ったお陰で微妙に残ったブラウスが下着姿を辛うじて隠している状態だ。
「い、嫌ぁっ……!」
 彩花もそれらしい悲鳴を零しつつ、演技を重ねる。
 到着まで、あともう少し。

●狩り時
『どうにかこっちに来てるよ、シューターはやっぱりビルにいるみたい。 トラップもこの辺りには見当たらないし、別のところかな?』
 全員の頭の中へ語りかけるのは『ものまね大好きっ娘』ティオ・ココナ(BNE002829)。
 事前に話していた通り、戦闘には直接参加せず、ハイテレパスを駆使した情報戦で皆の援護に回る。
 戦闘に参加しない分、相手を観察する余裕は十分にある。他の仲間たちにもう一つの脳を与えているようなものだ。
『ビルで何か動いたよ、気をつけて!』
 彩花にテレパシーを送り、回避を促す。
 すぐさま飛来する弾丸を一発はガントレットで受け流し、二発目は掠める程度に抑える。
 アッシドバルーンをばら撒いたハンターが、マシンピストルで追撃を掛けるも防御体勢を崩さず凌ぎ、移動を続け……。
「……もう、演技する必要はないですわね」
 資材置き場の前まで到着すると、ハンターの方へと彩花が振り返った。
 それと同時に既に準備を終えた『エーデルワイス』エルフリーデ・ヴォルフ(BNE002334)が反撃の硝煙を噴かす。
「おっと」
 ライフルから吐き出された弾丸は、真っ直ぐにハンターを狙うも、機敏な身のこなしで直撃には至らない。
「観念しな!」
 その背後を狙い、東側から一気に詰め寄った『ウィクトーリア』老神・綾香(BNE000022)が光の糸を放つ。
 背中のブースターを吹かし、回避を試みるハンターを捕らえ、強靭な糸が体を締め付ける。
「ぐぅっ!?」
 苦悶の声を零しつつ、ナイフで糸を切り払うも、元々耐久力の低い体には結構なダメージが入ったらしく、息が荒い。
 その手応えは、綾香自身も感じていた。
「ジャァァスティスシャァァァァインッッッ!!」
 野太い声と共に作業員らしき男が資材を足場に宙を舞う。
 そして、街灯と重なる様に戦闘衣装へと変わる瞬間、眩い光が零れ、ハンターの視野を白く焼き付けた。
「魔法少女ジャスティスレイン……推・参!!」
 筋肉美溢れる体、そしてフリル満載の戦闘衣装。全てがミスマッチした存在、『超重型魔法少女』黒金 豪蔵(BNE003106)である。
「……ふ、ふざんけんな! 魔法少女ってのが何かしらねぇけど、それ名乗る奴に謝れオッサン! 気持ち悪いわっ!」
 至極当然の反応だ。年頃の少年二人にとってあまりにも目の毒、シューターもレンズ越しの光景の気色悪さに口に手を当てる始末だった。
「隙だらけね」
 ツッコミを入れるところすら容赦なく攻撃したのは、細・遥香奈(BNE003184)である。
 早撃ちで放たれた弾丸はブースター部分に被弾するも、ハンターの回避は素早く、掠めた程度だ。
「この隙に治療をしませんとな!」
 ブレイクフィアー、それは神聖な光を放ち、体に篭った状態異常を払う少しばかり神々しい技だ。
 それを放つ為に黒金はその筋骨隆々の体を生かしたポーズで光を放つ。
「いい援護ですわ、豪蔵」
 治療が終わった後、『嗜虐の殺戮天使』ティアリア・フォン・シュッツヒェン(BNE003064)が、彩花に光を浴びせる。
 浄化の鎧という術だが、僅かながら攻撃を跳ね返す力を持つ。避けるなら、しっぺ返しで弱って頂こうという……可愛い顔をしながら相手に自滅を強いる考えだ。
 そんな心模様はおくびにも見せないが。
(「サプライズプレゼントよ」)
 プレハブ小屋から狙撃銃を構える堀・静瑠(BNE003216)は引き金を絞り、不意打ちを狙う。
 しかし、飛翔する弾丸をクイッと体を傾けるだけで避けてしまう。
「こりゃあ……」
 気付けば7対2、正確に言えば8対2だ。
 苦笑いを浮かべる彼の頬を冷や汗が伝った。

●奇襲
 ハンターは相方と直ぐに次の手を打ち出し、行動を開始する。
「うらっ!」
 放たれたスモークミサイルを綾香の糸と静瑠の弾丸が迎撃を試みるが、全てを撃ち落すのは難しい。
 残ったミサイルが周辺に飛散し、辺りを煙で多い尽くす。
「いくぜぇっ!」
 青白い筋を描きながら、ローラーを滑らせるハンターはリベリスタの脇を擦り抜け、東へと向かう。
『静瑠さんの方に行ったよ!』
 ティオは煙幕で視野を塞がれた仲間に、危機を知らせる。
 プレハブ小屋から一方的に狙撃するプランは間違いではなかったが、孤立するというデメリットもある。
 2人はそこを狙い、まずは彼女から潰そうという事だろう。
「えっ? こっち……っ!?」
 窓ガラスをぶち破り、突撃してきたハンターは横っ飛びに回避する静瑠を攻撃。
 シャリンと響く刃の音に、吹き飛ぶ衣類の断片。彩花同様、ショーツやブラが見え隠れする艶やかな姿を晒された。
 
『エルフリーデさん、狙撃が来るよ!』
「わかった!」
 ティオの助言に答え、エルフリーデはシューターの狙撃を回避しつつ移動する。
 所々に掠める程度に済んだのも、彼女の助言あっての事だ。
 振り切られたメンバーがプレハブ小屋に駆けつけると、小屋の中から特殊な酸が詰まったシャボン玉が割れた窓が無数に吹き零れていく。
 それと共に飛び出した静瑠。追い掛けるハンターの攻撃を避けようとするも、マシンピストルを回避しきれず痛手を負いながら地面を転がる。
『エルフリーデさん、豪蔵さん!狙撃っ!』
「っ!? そういう事かっ」
「ぬおっ!?」
 シューターの攻撃自体は掠める程度に回避できた2人だが、狙いはバルーンに接触させる事だったようだ。
 直撃してしまった為、二人の服は見るも無残な姿になってしまう。
「この筋肉の体、如何ですかな?」
 早速豪蔵はポーズをとり、裸に近い格好でのブレイクフィアーで状態異常の治療に掛る。
 ……シューターが口から胃液を吐き捨てたのは見えなかっただろう。
「触ってもいいのよ……? 触れるものならね」
 ちょっとでも服が剥がれたら大変な事になりそうな状態で、エルフリーデがハンターに挑発を掛ける。
 本能に踊らされ、鈍った瞬間を迎撃。恥ずかしいが我慢しての捨て身戦法だ。
「んじゃ遠慮なく!」
 全力疾走で近づく姿にライフルを構え、素早いサイティングで合わせ、発射。
 ライフル弾は回避先も考えた狙い先に進み、ハンターもそこへ飛び込んでいく。
 だが、戦闘機のバレルロールの如く回転すれば弾丸を回避しつつ、砂を巻き上げ煙幕を張って彼女の背後を取ってしまった。
「へへっ、触ってほしかったとか?」
 背後から回した手が首筋に刃を突きつけ、抗えない状態にしたまま、片手が遠慮なく熟れた乳房を鷲掴みにする。
 反論の言葉を防ぐ様に、遠慮なく触り続ける手の感触に羞恥と擽ったさが込み上げ、身を捩るのが精一杯。
 顔を真っ赤にしながら、耐えるエルフリーデ。緩んだ表情で楽しむハンターの脇腹に鈍い音が響いた。
「いい加減にしなさいっ!」
 砂煙の中、彩花が炎を纏った拳を直撃させたのだ。
 メキィッと軋む音と焼ける嫌な香りが広がり、振りぬかれた拳に流されるように地面を転がる。
 そこへ、綾香、静瑠、遥香奈の追撃が吹き荒れるも、転がりながらブースターを吹かし、回避するハンター。
「災難ですわね?」
 微笑みながら浄化の鎧を掛けるティアリアだが、何処となくその様子を楽しんでいる様子が見える。
 次の狙いは綾香に向かったらしい、ハンターは全速力で彼女に駆け寄るとナイフを振るう。
「くっ……変態共めっ」
 金属のぶつかり合う音、そして胸元は肌蹴掛けるも、下半身はスカートの硬さで全て剥かれる事はなかった。
「どっちがだよ、はいてないみたいだけど?」
 スカートは無数のスリットが入り、股座こそ見えないものの、サイドから見ればショーツの端らしきもの見えず、それは明らか。
「それは……お前に関係ないだろっ!」
 振り返るより早く背後に取り付くと、先程同じくナイフを突きつけられてしまう。
 鉄のスカートの下を覗かれないという絶対的自信、そしてそれを裏付ける為に穿かぬスタンス。
 逆にその下に触れられ、弄ばれたり見られたりは彼女にとって敗北を意味するのだろう。
「なくても楽しまれるぜ? それとも誘ってる?」
 気付かれぬ様大声で反論する事が、彼の心を擽る結果となっていた。
「くっ、変態が……少しは恥を知れっ」
 その手がゆっくりと鉄壁を誇ったスカートの下へと手が伸びる。
 死か辱めか、迫る最悪の選択肢にギュッと目を瞑る綾香。だが、その手が伸びることはなかった。
 リベンジと素早く狙ったエルフリーデの弾丸が彼の肩を穿ち、直撃のダメージに失神させていたからだ。
 
●狐狩り
『次のトラップは……階段の右手側だよ』
 倒されたハンターは遥香奈の手で目と口を塞がれ、簀巻き状態でティオの傍に転がされていた。
 残るはシューター。トラップを確実に回避しつつ、建設途中のビルを進んでいく。
『……っ! 皆、上っ!』
 開けた場所に到着すると、ティオの声が再び響く。
 天井に張り付いて待機していたシューターが手榴弾を投下、真下にいたティアリアが回避を試みるも特殊酸をばら撒く爆風を受け、服をズタボロにされつつダメージを追ってしまう。
 その後を追う様に落下するシューターは彼女の背後に降り立つと、掌から電気を放ち、痺れさせた後に拳銃を突きつける。
「……」
 まじまじと露になった彼女の体を眺めると、ぼそっと耳元に囁く。
 だが、臆する事無く彼女は笑みを浮かべながら体を押し付け返す。
「そうかもしれないわね。 それと、どうせ触れるならちゃんと触れなくてはダメよ?」
 囁いた内容はなんだったのか? 逸れは彼女のみぞ知ること。
 唐突に振り返えると彼の手を掴み、胸元に押し付けてしまう。
 浮かべる笑みと行動の噛みあわなさに、大人びた色気を当てられ、相手のペースを崩すどころか自分が崩されているようだ。
(「今だっ!」)
 格好のチャンスを逃さず、エルフリーデがライフルを撃つ。
 シューターの腕に直撃し、ぐらっと体が離れると共にティアリアは自身に浄化の鎧を纏う。
 豪蔵がサイドチェストポーズで浄化の光を放ち、状態異常を解除と連携は崩れない。
「本当に女の敵ですわね」
 彩花の拳を避け。
「おしおきしてあげるわね~」
 静瑠のライフルをいなし。
「このマセガキがぁっ!」
 逃げ場を塞ぐような綾香の糸にダメージを蓄積されつつ、回避を続けるシューターだが、それでも限界が訪れる。
「遊びの時間はもう終わりよ」
 フィンガーバレットから瞬時に放たれた無数の弾丸が、シューターの体に吸い込まれていく。
 散々回避を強いられ、逃げ道を失ったところにこの攻撃は致命的だ。
 ガクッと膝から崩れかかるシューターだが、ぐっと堪えると共に背中のブースターが火を噴く。
「なら、限界まで遊ぶまでだっ」
 シューターは追撃の弾丸を掻い潜り、側転しつつ拳銃を連射し、反撃を試みる。
 柱の影に滑り込み、弾丸を回避する遥香奈の目の前へ先程の手榴弾が転がった。
「っ……!」
 狡い反撃に顔を顰めつつ、爆風に半脱ぎ状態にされてしまう。
 スカートは股座を辛うじて隠す程度、程よい丸みを帯びた体が晒され、更に追撃が掛る。
「大人しい顔して、何で穿いてないんだ? 趣味か?」
 彼女の片手を捻りながら電気を放ち、際どい格好になった遥香奈に耳打ち。
 羞恥を煽り、平常心を崩してペースを崩そうとしているのだが……先程から相手が悪い。
「それで?だから何?」
 捻られた片手を体ごと回転させて捻りを解く。角度的に、皆には見えないが彼には楽園が見えたことだろう。
「見たければ見ればいい、その間に攻撃させてもらうだけだわ」
 呆気に取られている間に、全力の篭った拳が鳩尾に迫る。
 腕を放し、バックステップをするも狙いを叩く拳が横隔膜を痺れさせ、強い鈍痛を催す。
 後ろによろめく彼をエルフリーデと静瑠の狙撃が狙うも、必死に体を捩り、回避されてしまう。
「逃がさねぇ!」
 再び綾香の糸が、回避の隙を突いて囲い込む様に襲い掛かる。
 横っ飛びにブーストを噴かすシューターの足を絡めとり、僅かなダメージを与えながらも次に繋ぐ。
「そこっ!」
 糸を振り払う一瞬の静止、そこを逃さず彩花の正拳突きが貫く。
 回避しきれないと判断するや、片腕を盾に直撃だけは避けると反撃に入る。
「お返しだ」
 拳を掴み、片手で拳銃の連射で制圧射撃を浴びせていく。
 ハイキックで掴む手を振り払い、バック転で回避。だが右腕に被弾してしまい、赤いラインが地面を彩る。
「オマケだ、受け取れ」
 追撃に手榴弾を投げつけ、すぐさま拳銃で打ち抜き爆破。
 シューターの爆撃をモロに浴びてしまい、ボロボロだった服は更に酷くなり、胸元を覆う手を退かすと大変な事になりそうだ。
 更に正面から一気に詰め寄ると肩に掌底を放ち、電気を浴びせ痺れさせると共に壁へと押し付けて行く。
「それだけいい体付きだと……」
 Fカップの胸元や、くびれた腰元を舐める様に眺める視線に羞恥を知覚するより先に、囁きが鼓膜を擽る。
「何を……っ! や、やめなさいっ!」
 男女の営みを問う様な内容に、瞳が潤み、頬が高潮していく。
 頭を振るが、今の格好を理解するや顔は……怒りに染まった。
「大概にしなさいこの変態っ!!」
 全身全霊の力が篭った炎の拳、反応に気を許した一瞬に容赦のない怒りが業炎となって彼に迫っていた。
 辞世の句を紡ぐまもなく、顔面に直撃。顎にヒットした拳が振りぬかれ、脳震盪を起こした彼は勢いに流されるまま錐揉んで柱へと激突だ。
 お仕置き完了である。

●踏んだり蹴ったり
「皆すごい格好だね」
 シューターを引きずってきたメンバーの様子を見て、ティオがのんびりと感想を零す。
 一人、戦線に混じっていなかったため、被害ゼロ。最初に着てきた服が綺麗に残っている。
「もう二度と女性方を狙う等という不届きな考えが生まれませぬよう、お仕置きをしなければいけませんな」
 普段着に戻った豪蔵が呟くと、いきなり上着を脱ぎ始めた。
 目隠しと猿轡を手にした遥香奈だったが、丁度いいお仕置きと一旦その手を止める。
「おいおい、捕虜ってのは、もっと丁重に扱うもんだぜ? オッサン」
「……そもそも、この世界に捕虜に対する条約があるかどうかがわからないんだが」
「覚悟はよろしいか?」
 よろしくない、勿論よろしくない。
 だがそんな言葉は届かず、豪蔵のプロレス技が炸裂するのだった。
 筋肉溢れる彼の体に包まれ、寝技に沈められる少年二人の表情を例えるならば苦悶という言葉がこれほど似合うものはない。
 
「さて、皆さん帰りましょうか」
 いつの間にか着替え終えたティアリアが促すと、ティオが元気よく返事を返す。
「お疲れ様でした、この馬鹿二人は私が引きずっていきますね」
 命枯れる手前まで絞られた二人を簀巻きにし、しっかりと目も口も塞いだ遥香奈がロープを引く。
「でも、他の皆……あの格好で大丈夫かな?」
 ティオは他の女性陣を見やり、ティアリアへ問う。
 着替えを持って着ていない女性陣の格好は、とても街中を歩ける格好ではない。
 色んなところが見え隠れする彼女達の方へと振り返るティアリア、だが笑顔のまま何も言わず背を向けた。
「あまりここにいて、この騒ぎが見つかるのは面倒ですわ。 早く行きましょう?」
 笑みの裏に隠れた黒い性格に、一同息を呑む。
「ほのほねえはん、ぼずぶろづぎばろ」
 このお姉ちゃん、ドス黒過ぎだろといっているのだが、猿轡をかまされてはしっかりと紡げない。
「うるさい」
 ゴスッと遥香奈の鉄拳制裁が降り注ぐ、小悪党でも容赦ない。
 最後の彼の言葉に賛同したのはどれだけ居るかは分からない。
 だがこの羞恥の中帰るのは、この依頼最大の難所となっただろう。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 如何でしたでしょうか? スピーディな戦いを描写したかったのですが、そのように楽しめていただけていれば幸いです。
 今回も私自身楽しませていただきつつ、色々と学ぶ事がありまして、皆様には感謝感謝です。
 ミサイル迎撃に関してはあまり考えていなかったところではありましたが、無数の動体を複数壊さなければならないという事になるので判定はシビアに見ています。
 また、●奇襲 で、ハンターが東に移動したのに関しては、シューターから見れば孤立しているように見えて、尚且つインファイトには弱いだろうと客観的に見た行動を反映させています。
 結果として少々ピンチにもなりましたが、順当に事が進んでしまいそうだったので良い感じに山場になったのではないかと思います。
 ティオ様のプレイングに関しては、どう受け止めるか少々悩んだのですがああいう形になりました。
 以上です、ではではご参加有難う御座いました!