●正義の戦士、ソニックサンダー! 三田音速(さんだ・じぇっと)、11歳。 割とどこにでもいる小学6年生だ。ちょっと親に挑戦的な名前を与えられたが、その割にまっすぐ育ってくれた。 そんな音速君も今日からは一味違う! 何故なら正義のヒーローとしての力を手に入れたからだ! 音速君がやって来たのはいつも遊び場にしていた公園。最近、素行の悪い中学生達がやって来たせいで、みんな遊べなくて困っている。そんな奴らは許せない! 案の定、中学生はいた。コンビニで買ったカップ麺を食いながら、2人で何かを楽しげに話している。 「そこまでだ、お前達!」 「あん? 何、お前?」 中学生達は普通に聞き返してくが、音速君はそれを無視して腕輪をかざすようなポーズを取る。 「弱いものをいじめるお前達をゆるさないぞ! ソニックチェンジ!」 その叫び声と共に、音速君の姿は光に包まれ、正義の戦士ソニックサンダーに姿を変える。不思議なことに、体格も成長し大人のものになった。 ソニックサンダーはここで中学生が恐れをなして頭を下げると思っていたが、彼らの反応は思っていたよりもぬるかった。 「え? マジ? これコスプレ?」 「すげぇな。どうやったの? 手品だろ?」 ソニックサンダーはちゃんとお仕置きしないと中学生達は反省しないのだと判断した。そこで、なれなれしく肩をかけてきた1人にアッパーを見舞った。 「ソニックアッパー!」 「げぶら!?」 顎を殴られた中学生は3mほど宙に浮き、頭から地面に叩き付けられる。ぐしゃっと嫌な音がした。 「え?」 「ソニックパンチ!」 あまりの出来事に動けないでいるもう1人に、ソニックサンダーは強烈なボディブローを見舞う。その威力に耐え切れず、中学生は膝をついて血を吐く。 「ごぼっごぼっ」 中学生が土下座して謝っているものと思い、ソニックサンダーはこれ以上のお仕置きは必要ないと判断する。反省した相手に必要以上の攻撃を行うのは、正義のヒーローの行いでは無い。 「反省したようだな、お前達。いいか、今後もまた弱いものいじめをするようなら、ソニックサンダーが許さないからな!」 そう言ってソニックサンダーは颯爽と去って行く。 この後、中学生の1人は内臓出血が原因で死亡し、もう1人はものを噛む事も喋ることも考えることも出来ない身体になるのだが、ソニックサンダーはそんなことは知らない。 ソニックサンダーの戦いはまだ始まったばかりだ! ●ゾルダート・リング 「始めさせちゃいけません!」 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)は、力強くリベリスタ達に宣言した。 「コホン、今回皆さんにお願いしたいのはアーティファクトの回収です」 居住まいを正すと、和泉は説明を始める。 「現れたアーティファクトは、『ゾルダート・リング』と呼ばれています。使用したものの肉体を戦いに適した年齢に変え、さらに戦うための鎧を与えるそうです」 子供が装備したら大人に、年寄りが装備したら若者に姿を変える様だ。 「これを偶然手に入れてしまったのが、三田音速君という小学生の男の子です。元々、正義感の強い子のようですが、彼はこの腕輪を『正義のヒーローに変身するアイテム』と思っています」 あながち間違いでは無いのかもしれないが、少なくとも子供の身近にある「正義」を行うのには、あまりに強力すぎる力だ。 「くわえて、『ゾルダート・リング』は使用する人間の寿命を代償として力を発揮するという特性があります。このままでは、先に待つのは……悲劇だけです」 このままでは誰一人幸せになれない結末が待っている。和泉は止めるためのさらに詳しい説明に入った。 「音速君は『ゾルダート・リング』で変わった姿を『ソニックサンダー』と呼んでいます。『ソニックサンダー』の戦闘力は、標準的なリベリスタと同じです」 力で抑えようとするなら、数の差で簡単に行えるだろう。だが、周辺に被害が出る可能性もあるし、人に見られる危険性もある。 「ただ、話して分からない子でもないと思います。説得で『ゾルダート・リング』を渡してもらうことも出来るかもしれません」 音速君は単純な正義感で動いているだけだ。力の意味などを説けば分かってもらえるかもしれない。もっとも、頭ごなしに叱り付けるだけでは反発を招くだけだろうが。年頃の男の子ですから、と和泉はクスリと笑う。 「どちらの方法を取るかは皆さんにお任せします。それでは皆さん、気をつけて行ってきてください」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:KSK | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年12月03日(土)23:20 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 8人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
● 今日もあいつらが公園にいた。怖いからみんな、別の場所に行こうと言う。だけど、そんなこと許される筈が無い。 そんなことを思って、何となく学校帰りに拾った腕輪をベッドの上で弄っていた。何となく、気になって家に持って帰ってしまったものだ。 金属で出来ているようだが、よく分からない紋様が刻まれている。ふと、腕に付けてみようと思った。意味は無い。何故か、そうしなくてはいけないような気がしたのだ。 そして、腕輪を着けた瞬間、光が広がって……。 ● 「正義に憧れる心、それは誰しも持つものです! 私もそうです!」 『Holy Order』アルティ・グラント(BNE002505)はポーズを決めながら、叫んでいる。幸い、奇異の目で見られることは無いが、そもそもファッションも得意なので、目立つことに違いは無い。 「正義が心にあるのは悪い事じゃありません。それを実行しようとするのも悪いことではありませんが、それが力を持ち過ぎるのは感心しません」 それを気にせず、『絶対鉄壁』ヘクス・ピヨン(BNE002689)も説得は得意では無いが、出来れば平和裏に止めたいというのが、彼女の本音だ。 「やり過ぎは何事もいけないよな、って話だよね。自分が持つ力の大きさに気づけないままに力を振るうのは不幸を呼ぶしね。あぁ、こっちの話。そっちも頑張って」 『どちらかと言えば、一般的な正義の対極に位置する私が正義について語るというのも妙な話だ。……まあ、これも仕事だ、仕方あるまい。私なりに語らせてもらうさ。そちらもよろしく頼む』 電話の向こうからハスキーな声が聞こえてくる。別行動している仲間のものだ。『さまようよろい』鎧・盾(BNE003210)と話していた『原初の混沌』結城・竜一(BNE000210)は携帯電話を切る。盾も既に結論は出ているのだろう。 アーティファクト『ゾルダート・リング』は強い代償を秘めている。使うものから全てを奪ってしまう、恐ろしいものだ。だが、竜一は動じない。 「決めるのは、音速自身だ。子供とはいえ、一度でも何かに立ち向かおうとしたのなら、一人の男としてみてやるべきだからね」 知らずに使っているのはフェアでは無い。だが、知った上で受け入れる覚悟があるのなら、それは認めるべき。これが竜一なりの正義なのだろう。 その内に、情報通りに1人の少年が姿を現す。三田・音速だ。確認したヘクスが、どう話そうかと考えながら前に出ようとすると、それよりも一手早く動く影があった。 「少し話があるのです。同じ志を持つ者として私の名はアルティ・グラント! 正義の代行者です!」 太陽を背に、手を差し出すようなポーズを決めるアルティ。 一瞬の間が空く。 音速はスッと目をそらし、そのまま足早に立ち去ろうとする。意外と感性はまともだったらしい。そこで竜一が割って入り、立ち去る音速を止める。 「まぁまぁ、待ってくれ。君も、あの中学生の事が気になっていたんだろ? 一人で立ち向かおうとする君は勇敢ではある。が、まだ足りないものがある」 「足りないもの? 何だよ、それ!」 竜一の言葉に思わず反応する音速。口調からすると、自尊心を傷つけられたようにも聞こえる。たしかに、「ゾルダート・リング」を持っているのなら、そのように感じるのも仕方が無い。だが、むしろ竜一は我が意を得たりとばかりに笑みを浮かべて言葉を続ける。 「どうだい? 興味があるなら、少し話をしないかい?」 興味を引くようにやや挑発的に話しかける竜一。音速は他のメンバーをチラッと見る。 ゴスロリに身を包んだ年下っぽいヘクス。 ポーズを決めて目を輝かせるアルティ。 一瞬逡巡する音速。だが、少なくとも悪人では無さそうだと判断したようだ。あるいは、変身すればどうとでもなるという自信だろうか。最終的に好奇心が勝った。 「分かったよ。じゃあ、何が足りないのか教えてもらおうじゃん!」 「まぁ、ここだと人も来るし、ちょっと場所変えよっか」 ちょっと生意気な口調で挑みかかってくる音速。竜一は苦笑を浮かべると、工場へと誘導する。まずは第一段階、といった所だ。 ● 『ごく普通の文学少女』井上・良子(BNE002771)は、タイ留めの椿紋に触れると、眼鏡を押し上げる。それは、彼女にとってはフェイトそのものであり、誇りだ。 「紅椿の者として、示すべき仁義は心得ているつもりです。この椿紋(フェイト)に賭け、最善の結末を」 良子の強い決意の一方で、『1年3組26番』山科・圭介(BNE002774)は、対応を決めきれない様子だ。 「俺の場合、ぶっちゃけ音速君レベルの正義感しか持ってないからなぁ」 その言葉へ、奇抜な衣装に身を包んだ『ヴァイオレット・クラウン』烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)は安心させるかのように答える。 「正義と力、私自身まだまだ考えさせられるテーマですね。ですが、私達が見つけた答えで喜んでくれると嬉しいですね」 集まったメンバーの中では年長に属する烏頭森としては、ちょっとお姉さんぶれるのも嬉しいのかもしれない。そこにさっきまで音速と接触しているメンバーに連絡を入れていた盾が声を掛ける。 「向こうはそろそろ、少年と接触するタイミングだ。こっちも行こう」 「『確たる意思と心の無く振われる力は、等しく暴である』……だっけ? アタシもまだまだだけど、正義のヒーローって結構難しいんだよね。ま、いっちょ、やってみますか!」 『歩く劇物指定』嶺・繧花(BNE003180)はポニーテールを揺らすと、愛嬌のある笑みを浮かべて、拳を打ち鳴らす。 ● 音速を連れたリベリスタ達は、廃工場にやって来た。ここならば、仮に戦うことになったとしても、周りに被害が出ることは無いだろう。そして、奇しくも「正義のヒーローが戦う場所」としてはふさわしいと言えなくもない。 「で、オレに足りないものって何なんだよ」 音速の質問を受けると、ヘクスがおもむろに切り出した。多少悩んだが、遠まわしに言っても意味は無い。 「さて、早速ですがヘクス達が話したいのは、アナタの持っている腕輪についてです。アナタはそれで変身しましたね?」 「な、何でそれを!? ひょっとして、これを取る気なのかよ!」 ヘクスの言葉に音速は身構える。言葉遣いが粗暴になっているのは、力が自信を過剰にさせているのか、不安を塗り潰すためか。 だが、アルティはそれに構わず、いや、だからこそあえていつもの語調で語る。 「リングは力を与えるです。その力、正義の為に振るいたいでしょう。誰でもそうする、当然私もそうするです。ですが、その類の力には代償が必要なのはわかるですよね? お約束ですから」 「それってどういう……」 アルティの言葉は少なからず音速に安心を与える。自分と同じものがいると分かれば、人は安心するものだ。代償、という言葉の重みが音速に圧し掛かる。 「その腕輪は、貴方の命を大きく奪う代償があるです」 アルティははっきりと『ゾルダート・リング』の代償を告げた。アークで説明を受けた通りに。まっすぐに貫く、それが彼女のやり方だ。そして、告げられた事実に音速は驚きを隠そうともしない。能力を理解出来ていても、代償までは理解出来ていなかったようだ。 リベリスタ達はそこで一旦言葉を切る。彼らが選んだのは、力で解決する安易な道ではなく、音速自身に選択させる困難な道。必要なのは音速自身の納得だ。 しばらく、目を泳がせた後、音速はぼそっぼそっと、呟く。 「でも……これがあれば、オレはあいつらをやっつけられるんだ! ちょっと位だったら……!」 音速の口調から感じ取れるのは、恐怖、戸惑い、それと少しの正義感。 近道したくない人はいない。近道で辿り着けるものならば、近道をしたい。近道が怖かったとしても、遠回りして届かないよりかは……そんなことを思うのは当然だ。 「全てを失っても為す正義、そういうのって正直格好いいです」 アルティはその思いを否定しない。その思いは自分にもあるからだ。 「ただ、力を振るい貴方が死んだ時に泣くのは誰です? 貴方の両親じゃないです? それは正義です?」 だが、正義とは何かを知るが故に、アルティは問う。正義も人の弱さも、共に彼女の内側にある。 「減った寿命はひょっとすると、誰かを救うために使う数年かもしれません。音速の寿命ですしヘクスは自由だと思います。ただ、ずるい力を使って、中学生をぶっ叩いて浪費していい時間には到底思えません」 ヘクスは伝える。『ゾルダート・リング』を使うことで失うものの価値を。幼いが故に音速は、まだ失うものの価値を理解していない。そして、それを伝える彼女の瞳は、何故か大人びて見える。 「……う、うん」 再び音速は黙りこくってしまう。彼も理解したのだ。この腕輪に頼っては「正義」が為せないことを。この腕輪が奪ってしまうものの重さを。ただ、わずかな意地が邪魔をしてしまう。まだ一歩踏み出せない。 そして、痛々しい沈黙が場を包んでいると、それを破るかのように工場に足音が入ってくる。 「遅くなって申し訳ありません。そちらは如何でしょうか?」 竜一は入ってきた仲間の声に笑顔で手を振った。 ● 時はしばし戻る。 「お楽しみのようですね。随分と声が大きい」 公園に向かったメンバーは、中学生達と相対していた。声をかけたのは、メンバーを代表して良子だ。 「え? 何々?」 「キミ、どこ中? ……って、何? マジで」 同い年の良子が話し掛けてきたことで、中学生達は気安く応対、しようとした。だが、後ろに無言で控える鎧姿が、彼らに言い知れぬ威圧感を与える。 「この公園を平和にするために訪れました。ここは皆の憩いの場、専有は失礼ですよ」 凛とした態度で良子は中学生達に語りかける。武器は持たない。今日ここに来たのは誰も殺さないためだ。彼女の発する静かな迫力には、有無を言わせぬ空気がある。 「え……でも、そんなこと俺らしてないし……ですよ」 慌てて言い直す中学生。微妙に語尾がおかしくなってしまう。2人の様子を見て、繧花が思いついたように質問する。 「ねぇねぇ、最近キミ達の事がおっかなくて、近所の小学生の子達がここで遊べなくなっちゃっているのだってよ? 分かっていて意地悪しているワケじゃないよね? そこがまず知りたいな」 ひょっとしたら、悪意の無い、すれ違いが全ての始まりなのかもしれない。繧花の願いを託した推測を持っていた。だからこそ、良子同様あえて武器は外している。 そして、中学生達の返事は……。 ● 「力を翳せばいずれ力で返される。力ある正義は戦いを呼び、周りの人々を巻き込んでしまうわ。力を持つ者はその責任を負わないといけない。力ある正義は諸刃の刃なの。そして、今は明らかに力を振るうべき時ではないですね」 入ってきた烏頭森は中学生との会話を要約して伝えると、音速に話しかけていた。ちょっとお姉さんぶっているようにも見える。 中学生達は自分達が「力を持っている」ということに対して無自覚だっただけ。小学生にしてみると、自分達よりも大きく、そして怖い雰囲気の少年達がいたのだ。それだけで近寄り難い雰囲気を感じるには十分だ。 「彼らにも伝えました。齢13も過ぎれば、かつてならば大人としての自覚を促される頃。自分勝手と思い遣り、どちらが良い男に見えるかを。あなたはどうです?」 良子の言葉は、彼女が組を継いだ時に受け取った言葉。彼女にとっては、リベリスタとして守るべき矜持でもある。それだけに、上滑りな言葉などでは無い。音速もそれを感じて黙り込む。 「結局アタシ達だけであれこれ言って収めた所で、表面上の解決でしかないんだよね。相手より強い力を振るって解決したら、立場が逆になっただけで何も変わらない。でも、音速君が信じている正義は、そんなのじゃないでしょ?」 繧花の考えは『甘い』かも知れない。だが、安易に力に頼る決断よりも、困難な道を選んだ覚悟は、決して甘いものでは無い。 「少年、正義と悪の違いを知っているか? 一つは力を適切な場面で適切に使えるかどうか」 盾は優しい声で諭す。音速は威圧感を与える鎧姿の者から、そんなことを言われて戸惑いの表情を浮かべる。 「弱者を圧倒的な力でいたぶる悪と、自分より遥かに劣る悪を全力で叩き潰す正義、その二つは違うと言い切れるか? その辺りの事を良く考えるといい」 盾は元々、金のために戦うフィクサードだ。リベリスタになっているのも、アークと契約したから、というだけの理由に過ぎない。だが、そんな彼だからこそ伝えられる言葉もある。 「オレは……ボクは……」 音速は強がりの仮面を捨てると、腕につけた『正義のヒーローに変身するアイテム』に触れる。 リベリスタ達は固唾を呑んで見守る。 そして、音速は自らの手で、腕輪を外した。 自分自身の正義のために……。 ● 「少々喋り過ぎて疲れてしまったようだ、そろそろ帰るとしよう」 廃工場から帰る中、盾は独りごちる。似合わないことをしたと思っているのだ。 あの後、音速は中学生達と話し合いに行った。力で相手の主張を捻じ伏せるのではなく、自分の主張を伝えるために。 「力の無い正義に価値は無い。ただ、彼はちゃんと選んだってことだよね」 竜一はどこか嬉しそうだ。それは力を振るわずに済んだからか、それとも音速に思いが通じたからか。 「うん、これで音速君は本当の『正義のヒーロー』だよね」 この結末に持っていけたのは、繧花の力だ。彼女が人を信じたからこそ、誰も傷つかない結末に辿り着けた。 「反省する機会は褒美です。何もせずに良い子ぶるよりも強くなれる」 良子の言葉は誰に向けられたのだろう。少なくともこの事件に関わったもの達は、反省の機会を得ることが出来たのだから。 「彼ならちゃんと自分に合った力を身に付けることが出来そうで良かったわ。アーティファクトに頼るよりも、彼を成長させるし、何よりカッコいいもの」 烏頭森は茶目っ気たっぷりにウインクをする。彼女もまだ答えを見出せているわけでは無い。だが、そんな自分でも力になれたのだと、自信を持って思える。 「ヘクスも地上最硬を目指していますから分かります。努力すればこんなおもちゃに頼らなくても自分の理想に近づけるはずです」 ヘクスも音速と同じだ。自分の理想を持ち、それに向かって突き進んでいる。だから、どんなものであれショートカットを選んでしまうものを見逃せなかったのかも知れない。 ヘクスの視線の先にある『こんなおもちゃ』である『ゾルダート・リング』を持っているのはアルティだ。受け取る時に彼女は約束をした。 『私に任せるです。いつか貴方が正義を執行する力と心、体が備わる時まで私が貴方の代わりに』 1つ、これでアルティが正義を行う理由が増えた。それでも、彼女は正義を続けるだろう。正義とは貫くものだと信じるが故に。 『ゾルダート・リング』、これが『正義のヒーローに変身するアイテム』だというのは、音速の勘違いによるものだ。 だが、本当に『正義のヒーロー』を生み出したのかも知れない。 |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|