●かくて怪談は現実となる 黄昏時の冥府坂に近寄っちゃあいけない。 あそこはこの世とあの世の境界線。 入ってしまうと、首吊りの木が首を締め上げて、地獄に連れて行ってしまうのだから。 「ねぇ、止めようよぉ。ぜったい祟りが起こるからぁ」 「ばーか、ユーレイなんているはずないだろ」 2人の少年が薄暗い坂道を登っている。ダイスケとアユムは仲の良いクラスメイトだ。 昼間、学校で「首吊りの木」の怪談で盛り上がった時に、ダイスケが「ユーレイなんているはずない」と言ってしまった。そこで、怪談が嘘だと証明するために、「首吊りの木」の枝を取ってくる約束になったのだ。 アユムは強引なダイスケに付き合わされる形で一緒にいる。「1人だと怖いだろ」とはダイスケの弁。 「さぁって、こいつが首吊りの木だな」 怪談の主である「首吊りの木」は立派な枝振りの木だ。だが、日が落ちるのが早いこの季節。大きな影を作るので結構怖い。さらに街灯が壊れている他、道が狭いという理由で人通りも少ないのだ。必要が無ければ、あまり立ち寄りたい場所ではない。 「良いか、そこで人が来ないかちゃんと見張っていろよ」 「どうせ、誰も来ないよ……」 こういう時のダイスケは何を言っても聞かないので、アユムは諦め気味に見張りに付く。 見張りを立てたダイスケは、するすると「首吊りの木」を登る。そして、ざわざわっと枝が不吉な音を鳴らす中で、枝をポキッと折ってしまった。 「へへ、何が『首吊りの木』だよ。ちょろいちょろい。アユム! 今、降りるから待ってろよ」 いつもの様に友人に声をかけるダイスケ。だが、返事は無い。いつもなら、どんな時でも声を返してくれるのがアユムという少年だ。 「おい、アユム! どうしたんだよ!」 大声で友人の名を呼ぶダイスケ。声が大きいのは不安の裏返しか。 すると、がさっと音がして、人の影が現れる。 「アユム!? 見張ってろって言っただろ? アユム? う、うわぁぁぁぁぁッ!?」 ダイスケは悲鳴を上げて、危うく木から落ちそうになる。その人影はアユムだった。だが、ぐったりとして動かない友人の首には、木の枝がしっかりと巻きついていた。 そして、恐怖のあまり逃げ出そうとするダイスケの後ろから、そっと枝が忍び寄って……。 ●怪談の真実 「みんな、集まってくれたわね? それでは、説明を始めるわ」 リベリスタが集まったことを確認すると、『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)はおもむろに説明を始めた。 「今回、現れたのはフェイズ2、戦士級のエリューション・ビースト。元になったのは街路樹よ。単体だけどエリューション化はそれなりに進んでいるから、手強い相手かも」 イヴの言葉にリベリスタ達は身を引き締める。 エリューション・ビーストが得意とするのは、枝を伸ばしての格闘攻撃。敵対する相手の首を締め付けに掛かってくるらしい。幸い、それによって動きを阻害されるようなことはないが、近接戦闘を行える距離にいる相手ならば全て対象にすることが出来るようだ。また、枝を伸ばして遠距離攻撃も行える。 「加えて、自分の根を動かして足場を悪くすることが出来るわ。これは常に行っているから、足場に対して何らかの対策は必要ね」 周辺の街灯は壊れているし、戦いの場は薄暗い夕方になる。そのために、事前にある程度の準備をしておかないと厄介なことになるだろう。 相手は植物が元になったエリューション・ビーストであり、その場を動こうとはしない。故に、文字通り地の利を握っているのだ。 「この木は地元の子供たちの間で、『冥府坂の首吊りの木』と呼ばれているの。今回、犠牲者になるのは、そんな噂を確かめようとした子供たちよ」 元々、この坂道は薄暗く、子供たちが近寄らないように「あの世への抜け道がある」という噂を大人たちが流したのだ。それに尾ひれが付き、人のことを捕まえそうな枝が首吊りを連想させたのだという。結果生まれたのが、都市伝説「冥府坂の首吊りの木」だ。 そんな木が実際に怪物になってしまったのだから、皮肉なものだとしか言い様が無い。 「目立つ木が消えたことで後々騒ぎが起きるかもしれないけど、それはアークが処理するから安心して。でも、無事に戦いを終えたなら、やって来る子供たちに一言二言注意なんかをする時間はあるかもしれないわ」 説明を終えたイヴは、質問が無いことを確認し、リベリスタ達を見渡す」 「……あなた達なら大丈夫だとは思うけど……一応。気を、付けてね」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:KSK | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年11月29日(火)23:23 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●冥府へと至る道で ざわっと木々がざわめく。 リベリスタ達は思わず身構えてしまう。それはただ秋の木枯らしが、木を揺らしただけ。まだあの場所には至っていない。階層という名の境界線を越えて、文字通りの異界の存在と化してしまった木のある場所はこの坂を登った先だ。分かっていても、この薄暗い道は不要な不安を与えてくる。 「本当男子ってどうしようもないけど、怪談なんか流した大人も大人なのよ」 不安を押さえ込むかのように、『あかはなおおかみ』石蕗・温子(BNE003161)は鼻をすすりながら力説している。 「ちゃんと根気よくお話ししてくれれば、わたし達だって聞く耳持たないこともないのよ」 子供としての素直な気持ちを隠そうともしない。温子の意見は世界の一面として間違っていない。そして、気持ちを隠そうとしないが故に、膝も少々震えている。 「これこそ嘘から出た真ですね~。怪談の存続は脇に置いておいても、エリューション・ビーストはきっちり退治ですよ~」 間延びした口調でユーフォリア・エアリテーゼ(BNE002672)は宥めるよう言う。彼女に恐れている様子は無い。もっとも、あまり気にしていないだけなのかもしれないが。 「動かないものが動くのって不条理よね。だから、ルカがめいっぱい、思う存分に理不尽を殺すわ」 歌うように『シュレディンガーの羊』ルカルカ・アンダーテイカー(BNE002495)は呟く。彼女の真意は分からない。だが、これから起ころうとしている理不尽に対して戦う気持ちがあるのは疑いようもない。 そして、そんなルカルカの言葉を受けて、『残念な』山田・珍粘(BNE002078)が唐突にみんなに向かって言い出した。 「自ら動くことが可能とは、なんとも不思議な木です。なんとも不思議な木ですから、人間とかがなるんですね」 再び木枯らしが吹き抜ける。みんなの心の中に吹いた木枯らしなのかも知れない。一瞬、凍りかけた場の空気を戻すように、蘭堂・かるた(BNE001675)は大きく咳払いをする。 「与えられた伝承が、能力にも繋がっているようです。迅速に対応し、子供たちへの被害を未然に防ぎましょう」 「現れた敵を倒す。ただそれだけ」 細・遥香奈(BNE003184)は淡々と答える。戦うことに深い感慨を抱かない彼女にしてみれば、与えられた任務を確実にこなすことが最優先。相手が何者だろうと、重要なのは倒すことだ。 「好奇心はなんとやらってヤツか。ま、ぼちぼち頑張るとすっかね」 巫女装束を纏った『捻くれ巫女』土森・美峰(BNE002404)は、口でそのように言いながら結界の準備をしている。犠牲者が少なくて済むのなら、それに越したことは無い。 「さてさて、首を吊るのは人生に絶望した人間デスガ。それをお手伝いしてくれる木とか、なんて親切なのデショウネ」 坂の終わりが見えた時、あえて感情の篭らない声で『飛常識』歪崎・行方(BNE001422)が呟く。状況からしたらいくらなんでも、非常識な発言だ。だがしかし。 「って、んなわけあるかーい。さあ、迷惑な木はばっさりすっぱりやってしまうデス」 それが行方の流儀。すっと、肉斬りと骨断チ、二刀の肉斬り包丁を構える。ゴシック衣装に身を包み、肉斬り包丁を構える彼女の姿は、都市伝説に数えられても不思議は無い。 仲間達も行方が後半に発した言葉に頷くと、一斉に動き出した。 ●冥府への案内人 ざわっざわわ。 今度は風の音などではなかった。間違い無く、本当に木が蠢いているのだ。 どうやら、相手も敵の存在を察知していたようだ。枝を四方へ不気味に伸ばし、一層おどろおどろしい雰囲気を漂わせている。まさしく、冥府に繋がる場所の木、それに与えられた怪談にふさわしい姿だ。 しかし、ルカルカは動じない。 「黄昏時の怪異なんて、素敵よ。幽霊の正体みたり枯れ尾花。正体なんて知らないほうがいいのよ」 ルカルカは知っている。怪談の真相は作り話、そしてそこにエリューションという正体があるということを。素早く飛び出すと、首吊りの木までの距離を詰め、一気に切り刻む。 「例え壁でも立てますよ、私」 続けざまに珍粘が動く。身体能力のギアを引き上げると、壁を駆け抜ける。首吊りの木は複数の相手と同時に戦うことを得意としている。それ故に、遠くから距離を取ってのヒット&アウェイ。 「あんまり長い時間戦ってられませんからね~」 ユーフォリアは軽く宙に舞うと、まるでそこに見えない足場があるかのように飛び回る。のんびりした動きからは想像もつかない機敏な動きで、首吊りの木へチャクラムを放つ。 さらに、行方も大地を駆けて、首吊りの木へと接敵する。 「逢魔が時には首吊りの木。ああ、ならば。ボクは代わりに吊られる首を落とすとするデス。吊ろうとする存在も一まとめに」 自身の肉体の制限を外し、力を二振りの肉切り包丁へと溜め込む。そして! 「さあさあ街路樹の矜持は立ち木であること、その矜持をその幹ごとへし折ってあげるデス。アハハ」 笑い声を上げながら、渾身の力で幹に刃を叩き込んだ。切られた場所から吹き出る樹液がまるで血のようだ。 しかし、やはりそれは血ではない。木が傷ついたから樹液が出た、ただそれだけの話。首吊りの木が動き始めたのだ。傷を受けて恐れをなしたからではない。傷を受けて、怒り、猛っているのだ。 首吊りの木が根を動かすと、それに応じて大地が揺れ始める。この力は紛れも無く、首吊りの木が強力なエリューションとして成長している証に相違無い。そして、リベリスタ達の動きに隙が出来た所を、枝を伸ばして行方とルカルカの首を締め上げる。 「歪崎さん、アンダーテイカーさん、こちらです!」 距離を取って首吊りの木を牽制していたかるたが、傷ついた仲間に声をかける。本来であれば、剣士である彼女も前線で戦いたかったのだろう。だが、相手の能力を考えれば、集団で囲むのは逆に危険を招く。重要なのは確実に勝利し、犠牲者が出ないようにすることだ。 「敵は巨体、ちょっと不安なのよ……。木なんかに負ける気は無いけど!」 戦いになると、気が引き締まったのか温子の顔から恐怖が消えている。加えて、鼻炎も収まっている。温子は足を取られながらも集中すると、鋭い蹴りを放つ。 「さっさと終わらせましょう」 戦場を照らしていた遥香奈は啖呵を切ると、フィンガーバレットの早撃ちで仲間の首を絞めていた枝を撃ち落していく。足元は揺らぐが、それでも強く大地を踏みしめて抗う。別に倒れたくない、という程でもない。この程度で倒れるほど、やわでは無い。 その隙に後退したルカルカに、美峰が癒しの札を貼り付ける。すると、みるみるルカルカの傷は癒えていく。 「この程度の傷、どうってことないよな。まだまだ勝負は始まったばかりだぜ!」 再び首吊りの木へ向かうルカルカを、美峰は笑顔で見送った。 ●怪談の主は焼けて倒れる ざざざ。 首吊りの木が音を立てる。もはや、これは気のせいなどではない。そして、接近する敵に対する威嚇でもない。脅威に対して全力で排除しようとしているのだ。 本気を出した首吊りの木はとても強敵だった。元々、エリューション・ビーストとしての高い耐久力に加えて、集団に対して高い攻撃力を有しているのだ。皮肉にも、怪談が望んだ、いやそれ以上の怪物と化してしまっている。 だが、リベリスタ達も負けていなかった。首吊りの木が集団を相手に出来る範囲は、近接範囲に限られる。それを利用して、一部のメンバーが壁となり、射撃による攻撃を行った。壁役も入れ替わるため、補給を途切れさせることなく戦いを続けることが出来た。この作戦によって、確実に首吊りの木は生命力を削られていったのだ。 「こんなに大きい木でも、麻痺とかってするんですね」 決め付けになったのが、珍粘の攻撃だ。その攻撃によって、首吊りの木は動きを封じられていた。如何に高い攻撃力を持とうとも、攻撃を封じられては意味が無い。 「しっかりと役割を果たすのよ!」 入れ替わって前に出た温子が、炎を纏った拳を繰り出す。拳の当たった場所から、首吊りの木全体に炎が広がっていく。その炎は確実に全体を蝕む。 負けじと首吊りの木は身を震わせて抵抗をする。だが、そこに割って入ったのが美峰だ。ただの回復役として終わるつもりで来た訳では無い。 「私にも仕事、やらせてくれよ」 いざとなったら、自分が盾になってでも仲間を守る、その覚悟が美峰にはある。 美峰を攻撃しようとしたお陰で首吊りの木に隙が生まれる。今度の隙は逃げる隙ではなく、攻撃をする隙。当然、隙を見逃すほど甘いメンバーがいるわけでもない。 「もっともっと、刻み付けてあげるわ、理不尽」 ルカルカは薄く笑みを浮かべて、楽しそうに鉄槌を振るう。決して止まることの無い連続攻撃。うっかりすると、手に握られているのが巨大な鉄槌であることを忘れてしまうほどに美しい。 さらにルカルカの動きを追うように、遥香奈の弾丸が枝を打ち払っていく。その超高速の動きは、計算され尽くしたドミノを連想させる。 「行って」 「今度は私の番ですね~」 遥香奈が促すと、空を舞うユーフォリアが急降下をしてチャクラムで切り付ける。如何に人間以上の視界を有し、人間以上の手を振るう首吊りの木と言えど、反応しきれない速さだ。とうとう、エリューション・ビーストにも限界が近づく。先ほどまでの動きはすっかりと精細を欠いている。 「隙を作ります。終わらせて下さい」 かるたが式神の鴉を飛ばし首吊りの木を襲わせると、木は残り少ない枝で式神を追い払おうとする。だが、それは最早抵抗とも言えない代物だ。 肉切り包丁の仕事としては不適切かもしれない。だが、行方の手に握られた獲物の重量は、大きな木を伐るのには、何よりもふさわしい。光が閃くように、肉切り包丁は幹に吸い込まれていく。 そして、その後にゆっくりと首吊りの木と呼ばれたものは倒れていく。 「台風一過災害一過。そして怪異もまた一過、というやつデスネ」 行方はこともなげに呟く。 もう、木々のざわめきは聴こえない。 ●消える怪談、そして…… 「ねぇ、止めようよぉ。ぜったい祟りが起こるからぁ」 「ばーか、ユーレイなんているはずないだろ……って、アレ?」 ダイスケとアユムが、『冥府坂』という不名誉な名前を与えられた坂を登ろうとすると、そこには先客がいた。普段だったら、人がいることなど珍しい道なのに。 「ここは危険だから近寄ってはいけない、そう言った筈です」 そこには先客がいた。『叱られている女の子』と『心配してやって来た姉』だ。もちろん、温子とかるただ。年の差はあるが、十分に姉妹として通用する範囲だ。初対面の少年達が見抜けよう筈も無い。 『叱られている女の子』は、少年達を見かけると胸を張って『心配してやって来た姉』に答える。 「あの子達も同士なのよ! みんな、『冥府坂の首吊りの木』の真実が知りたいのよ。ねぇ?」 同意を求められた少年達は思わず首をこくこくと動かす。ちなみに、先に反応したのがダイスケで、「あちゃー」という顔をしたのがアユムだ。 だが、そんな少年達の反応も『心配してやって来た姉』にとっては逆効果だ。 「幽霊がどうこうなど問題ではなく、大怪我をしてからでは取り返しがつきません。皆がどれだけ心配したか分かっているんですか!」 『心配してやって来た姉』は語調を強める。その剣幕にその場にいた温子含めた子供達全員がびくっとなる。並のチンピラなら泣いて逃げ出すレベルだ。 と、その時だった。少年達の後ろにふっと何者かが立つ。 今まで誰もいなかったのに。 いくら暗い場所だからと言っても、人が来たなら誰か気付くはずなのに。 「曰くのある場所には常に異界の存在がいるものなのデス。例えばそう、ボクのようなのが、ね?」 少年達が振り返ると、赤く濡れる肉切り包丁を握ったゴシック衣装の少女がいた。少女の姿は、何者かに傷つけられたかのように怪我だらけだ。 「う、うわぁぁぁ!? 出たぁぁぁぁッ!?」 「ま、待ってよ! ダイスケ!!」 少女――もちろん、正体は行方だ――の姿を見て、2人は一目散に逃げ出す。ダイスケがやや先行しているのは運動神経の高さが理由だと思いたい。 そして、逃げ出しこそしないものの、温子の膝も震えていた。少年達は去ったから演技の必要も無いのだが……そこには深く突っ込まないのが優しさだろうか。 首吊りの木が倒れた場所にいたリベリスタ達は、少年達のフォローに向かっていた仲間を迎える。もっとも、かるたが震える温子にひたすら謝っている、というよく分からない事態になっているのだが。 その様子を見て、珍粘が苦笑を浮かべる。 「子供って理屈でなく感情で動きますから、口で言っても中々分かってくれないんですよね」 「私がお説教しても聴いて聞いてくれなさそうですし~」 ユーフォリアは笑いながらそれに答える。確かにみんなで一斉に囲い込んで説教するよりはこの形が正解かもしれない。笑いながらこんなことを話せるのは、無事に事件を解決することが出来たからだ。 「本当の不条理は存在するものなのよ。今回は無事だっただけ。深淵を覗き込めば深淵にも覗き込まれる。好奇心は羊をも殺すのよ」 ルカルカは倒れた首吊りの木に座って、不思議な歌を歌っている。彼女も世界の真実を知るだけに、深淵の脅威をよく理解しているのだ。 そんな仲間達を眺めていた遥香奈は、美峰が何か熱心にメモを取っているのに気付く。子供達のことには興味を持っていなかった彼女だが、なんとなくその姿に興味を覚える。 「何をやっているのかしら?」 「あぁ、がきんちょ共の世話も終わったみたいだし、この辺の危ない所をアークに報告しておこうと思ってさ。そうすりゃ後はアークが働きかけるなりなんなりすんだろ」 美峰の言葉に目を丸くする遥香奈。美峰はまた別の場所が崩れているのを見つけて、メモに書き込む。 こうして、『冥府坂の首吊りの木』は永遠に姿を消すことになった。 その後、「事故で街路樹が倒れた」ことで、この坂道で工事が行われることになった。工事の後には見通しの良い坂道に変わったという。 また、時を同じくして子供達の間に新たな怪談が出回ることになる。冥府へ帰る道を失ったあの世の住人がさ迷い歩いている、というものだ。 真実は、リベリスタ達の胸の奥にだけ存在する。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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