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【LKK団】吸血少女はお病み頃

●主張静かに
「イエス・アリス・ノーロリータ。パニッシュメント・イン・ロリババア。今更語るまでもないだろう。だが、今だからこそ語らねばならない。私達は一個の保護欲だ。全体が一体として須らくアリスの保護に貢献しなければならない」
 男の語り口は、静かだった。下衆な感情など垣間見せず、淡々と幼女愛を語り続ける。モノホンの大変なヘンタイとはこいつのことを言うのだろう。……だってほら、この男の後ろの壁見てくださいよ。チラリズムになるやならざるや、ギリッギリのアングルの幼女写真ばっかですよ。ひっでぇ、これひっでぇ。
「出来ることならイエスシャッター・ノータッチ程度で済ませたいと思っている。しかし我々は困っている幼女がいれば手をとって導くことも吝かではないと思っている。あわよくば……いや、これ以上は無粋だな諸君」
 男の話を聞いていたのは、三角座りで首にカメラを下げた男たち。何というか色々と酷い。だが、全員適度にイケメンだったりする。残念イケメンの巣窟である。輪をかけてひでぇ。
「そして、諸君。夜の街に現れる幼女といえば、ロリババアを拾うリスクより、素晴らしい偶然が転がっている可能性を求めたい。――行こう、夢はすぐそこにある」
 静かに突き上げた拳に、周囲の熱狂が応じる。しかし、それも静かに。
 ……まあほら、安アパートじゃそんなもんでしょ。

●嫌なビジョンだったね
「LKK団なるフィクサード集団をご存知でしょうか。割と何度もアークのリベリスタに打倒されているようなのですが、彼らは中々根が深い。今回は、どうやら『急進派』と呼ばれる方々の討伐依頼になりそうです」
「……撮影主体なんだな」
 背後に大写しにされた残念きわまりない男たちの光景にかぶせるように、『無貌の予見士』月ヶ瀬 夜倉(nBNE000201)は依頼の概要を話し始めた。
「フィクサード『疋田 映介(ひきた えいすけ)』。今回の件での実質的なリーダーですが、アークの平均的リベリスタとほぼ対等。配下の面々も、平均値にやや劣る程度ですから、討伐自体は簡単かと思っています。しかし――彼らがターゲットに選び、篭絡する相手が非ッ常に厄介でして……」
 頬の辺りの包帯を僅かに引っ張り、困ったように言い淀む。篭絡できることが前提なのは、恐らく魔眼か何かを使うのだろう。E能力を持たない一般人やアザーバイドであれば、確かに可能だろう。厄介、というのは後者か。
「なんだよ、その子はいいとこのお嬢様か、それともアザーバイドか? フィクサード倒して終わりなら、簡単じゃないか」
「……そのはず、なんですけどねぇ」
 リベリスタの一人に詰め寄られ、尚も困ったように言い淀む夜倉は、ため息混じりにコンソールを操作する。表示されたターゲットの少女を前に、幾人が驚き、息を呑んだだろうか。ゼロかもしれないし、多かったかもわからない。
 永劫不変の西洋人形。以前よりやや伸びただろうか……? 身長も、そして『牙』も。
「アザーバイド『エレノイア・パラノイア』。以前の識別名称だと『T.V.エレノイア』の方が通りがいいでしょうか? あれから四ヶ月そこそこですか……既に、彼女は吸血種として一応の完成を見ています。『討伐』ではなく『保護』を。無傷では、とは言いませんから」
 呆気にとられるリベリスタ達に、夜倉は静かに言葉を続けるのだった。

●ヤンデレパラノイア
「な、なんという事だ……」
 疋田 映介は戸惑っていた。というか、背後の同志たちも言葉を失っている。当然といえば当然か。先程までは可憐なアリスであったはずの少女が、自分に体を預けたままその体躯を一気に成長させたのだ。解説しただけで頭が痛くなりそうだ。
「ごちそうさま……とても、美味しかったですわ。そういえば、何かご用だったようですけれど。『今の私』なら、何でも出来ますよ? そう、何でも」
 つ、と吸血痕をなぞり、艶然と微笑むその姿は、すでに幼女としてのレベルを大いに逸脱している。だが、その表情は蕩け、すっかり映介にゾッコンLOVEだ。映介にとってはぶっちゃけ地獄だ。
「じゃ、じゃ……あ、塾帰りの女の子とかそんな感じの子達を撮るのを手伝ってもら、おう、かな」
「私じゃ駄目ですの!? 貴方になら、いくらでも……!」
 うっわーこれ厄介だわ-。
 配下、すっかり空気だった。彼らにとっちゃ全然うらやましくねえ。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:風見鶏  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年11月26日(土)23:28
●成功条件
LKK団全員の撃破及びアザーバイド『エレノイア・パラノイア』の送還

●LKK団×6
リーダー『疋田 映介』-ジーニアス×インヤンマスター。レベルはさほど高くありません。Rank1全般、テンプテーション、審美眼を所持。ロリババアに対しては鋭いです。審美眼的に。
 配下5名、平均Lv6。マグメイガス2、ホーリーメイガス2、デュランダル2。実際余り脅威ではありません。

●アザーバイド『エレノイア・パラノイア』
 拙作「Hunt a Vamp」での護衛対象、『T.V.エレノイア』と同一人物。本来の外見は12歳ほど。
 リプレイ開始時の時間軸では外見年齢が20歳前後に上がっています。
 疋田のテンプテーションにメロメロ(死語)にされ、幼女の捕捉に全力を尽くします。
 でも幼女に対して嫉妬メラメラナので、優先攻撃はありえます。ロリババアとか知りません。
 命中が恐ろしいことになってます。
 一般的な会話は可能。ややヤンデレ気味。

・肉体変異:1手番消費し、任意の状態へ肉体を変質させます。
 ├霧:物攻無効。火炎系・氷結系BSに弱い。
 └狼:不意打ち無効。2名ブロック可。
・吸血成長:『吸血』を用いた場合、3ターン『外見年齢20歳』が持続。開戦時は経過ターン0、持続3ターン。
・吸血:ヴァンパイアと同質の能力ながら、HP/EP回復は倍です。
※『外見年齢20歳』状態が解除された場合、性格も大人しい少女に戻り、疋田のテンプテーションから解除されます。

●コメント
 ごめん、色々混ぜたらこんなことになった。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ナイトクリーク
瀬伊庭 玲(BNE000094)
ソードミラージュ
葛葉・颯(BNE000843)
デュランダル
鯨塚 モヨタ(BNE000872)
クロスイージス
カイ・ル・リース(BNE002059)
デュランダル
ドラマ・エルツェーラー(BNE002175)
インヤンマスター
石 瑛(BNE002528)
マグメイガス
ラヴィアン・リファール(BNE002787)
覇界闘士
石蕗 温子(BNE003161)

●残念イケメン大合唱
「「「イエス・アリス、ノーロリータ、パニッシュメント・イン・ロリババア」」」
「……ノータッチ、と言いたいところだがね。我々六名で一つの保護欲として君達アリスを保護する。保護『しなければならない』。アークに与することは残念だが、だからこそここで救う余地がぐぇっ」
 ちぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ、すぽん。
 リベリスタ達が自らの矜持を言葉に乗せ、LKK団の愚行を止めんと言葉を紡ぐ前に、映介へ覆いかぶさる金の影。明らかにオトナのオンナ。明らかに吸血。んでもって明らかに、映介の目が死んでいる。冷凍イカの目ってこんなんだよね。俗に言う『レイプ目』ってやつだ。周囲もだ。
「ン、もぅ……余所見だなんていけませんわ。貴方の手を煩わせるくらいなら、私がそれをやりますわ。……尤も、少し痛くしても怒らないでくださいましね?」
「や、やめなさ、アリスに危害はあまりくわえ、」
「お・こ・ら・な・い・で・下さいましね?」
 うわこのヤンデレ吸血鬼こええ。上位世界本当にパねぇ。片言だった君はどこへ行ってしまったんだ。

「まーたーへーんーたーいーがーでーたー!」
『緋月の幻影』瀬伊庭 玲(BNE000094)、アリスその一。LKK団も本当にポンポン出るものです。ポンポン。ポンポンとか言っても、残念ながら運動会のチアガールはでてこない。
「…………」
 ぴこぴこぴこぴこぴ(略)。
 アリスその二、『あかはなおおかみ』石蕗 温子(BNE003161)、眼前の残念イケメン共を相手にして目を瞠ってその挙動を見逃すまいと必死である。決してイケメンだからってかぶりついて見てるわけではない。尻尾? 気のせいだろ。
「勘違いしないで、わたしはお安くないのよ。私を撮りたいなら……あなたなら、いいわ」
 高嶺の花アピールここに極まれり。温子が指名したのは、他でもない映介その人だった。周囲から落胆の声が上がるが、正直勘弁して欲しい。映介、カメラ構えンの早い。「いい」まで聞こえてからコンマ五秒。
 
「そこのお兄さん、今アークに寝返ったら超大サービス! 俺が1日デートしてやるぜ!」
 唐突に声を掛けに行ったのは、『突撃だぜ子ちゃん』ラヴィアン・リファール(BNE002787)。っていうかこの子とんでもねえな。あざとい。最近のロリベリスタ(ロリ+リベリスタ)あざとい。っていうか映介、人生最大の分岐を迫られてる。
「……No thank you」
 すごい考えた。超間があった。それでもノーサンキュー。どうしたこのヘンタイ。
「それじゃあ、俺が代わりに……」
「坂下ァ!」
 その隙を衝いてラヴィアンに向けて自己アピールしようとしたイケメンに対し、映介はしかし、それまでの優しい表情を削ぎ落したような形相と咆哮でその男を制止した。あ、血の涙。
「保護欲ってのはそうじゃねえっつったろーがテメェ! ホイホイアリスに手をだそうとしてんじゃねえぞドクズが!」
「す、すいませんリーダー! ナマ言ってました!」
 ……なんだこのクリミナルスタアみたいなテンション。アザーバイドのアリスにテンプテーションしたお前はクズじゃないのか。どうなのエレノイア。
「こんなワイルドなところも素敵ですわ……☆」
 恋は盲目だった。
「バカダー!? 変態だコイツラー!?」
「黙ってろロリババア!」
「……ぶ ち こ ろ す ぞ」
 咄嗟に驚愕の叫びを上げた『盆栽マスター』葛葉・颯(BNE000843)、秒を待たず返されたロリババア扱いにブチギレである。目の端に涙が溜まってるのはアレだ、煙草の煙だよ。

「人様の子供隠し撮りにするなんて許さないのダ。愛情込めて世話して育ててる娘を、変態のオカズにされたら堪らんのダ」
 その惨状を見て尚、善意の怒りを燃やすのは『夢に見る鳥』カイ・ル・リース(BNE002059)。こんなナリだが、立派な三児の父である。そりゃ怒っても仕方ない。その苦労をして、カイは彼らの幻想を真正面から打ち砕きに来たのだ。
 ……いやまあ、あんなリアクションされるとは思ってなかったろうなあ。

「全てのおっぱ……女を愛せてこそ、男だろう?」
「…………」
 ぽろっと本音が出そうになりながらも、LKK団に愛を語る『語り手を騙りて』ドラマ・エルツェーラー(BNE002175)。だが、当の面々は手を広げて「やれやれ」の仕草。これは苛立つ。「わかっちゃいねぇな」と言外に言う辺り、本当に苛立つ。

「しっかしその子も災難だよなぁ……」
「確かに小さい女の子はかわいいですけどね」
 同上の目線をエレノイアに向けるのは、『鉄腕ガキ大将』鯨塚 モヨタ(BNE000872)と『蒼輝翠月』石 瑛(BNE002528)の二人だ。映介へ向けて歩き出した温子に残念そうな視線を向けるイケメン共と、それを守るように前進するエレノイアの姿は、うん、なんというか残念だ。それでも、今の彼女は彼らにとって強力な敵であることには変わりない。アリス達が上手くやってくれることを期待するしかあるまい、が……いきなり暗雲立ち込めてんなあ。

●病んでてもデレデレなの
「あの方が私を見てくれるまで、私は戦う、戦える――!」
 ざわ、とエレノイアの存在感が膨張し、黒化する。両腕を地に這わせ、顎を強靭なものへ挿げ替え、その質量が数倍に比したサイズへと変化する。吸血鬼たる異質の変化。吸血を可とする牙すら持ち合わせた巨狼が、リベリスタ達を前に顕現した。
「はっはっはっじゃっじめんとたーいむサロリコン共」
「ぐぅっ!?」
「くそ、ロリババア相手じゃ気合が、気合が足りない……!」
「小生がばばぁ? ばばぁと罵るカネ? 三倍本気で殴るゾ幼児愛好家の群れメ」
 初っ端、エレノイアが変身してる間に前に出て残りのアリス2名を掻っ攫おうとした戦士二人は、揃って颯の斬撃に吹っ飛ばされた。といっても、流石に一発ダウンするほどの雑魚ではない。が、余計な一言で彼女を苛立たせていることだけは確かだ。

「いいねー! 視線は向けなくていい、さりげなくていいんだ、いいよいいよー!」
 こいつはひどい(総意)。
 狼化したエレノイアが一瞬すげぇ視線を向けた気がしたので、尻尾が思わず恐怖で太くなったりするが、それもまた映介の保護欲を刺激する。ひでぇ。
「ほらほラ、これちょっと見てみないカ? ウチの娘たちなのダ」
 そんな映介に、一気に距離を詰めて訥々と語りかけるのはカイだ。既に超幻視状態と化し、ナイスミドルな外見(つーか声も)へと変化した彼の娘とあれば、一般論で言えば確かに麗しいものなのだろう。撮りたてホヤホヤ、しかも父直々の撮影。これは惹かれる。
「……ぬぅ」
「り、リーダー! シャッター切る手をとめちゃ駄目ッス、写真は逃げないけど被写体は逃げるッスよ!」
 パシャパシャ。
「撮る前に逃げられてるっていうか変化しちゃったっていうか、そういうケースは無視しよう、な!」
 パシャパシャ。
「我輩に似て美少女揃いなのダ、いいのカ?」
 ……グッダグダじゃねえか。

「俺のターン!」
 高々と拳を掲げ、呪いの旋律を引き寄せるラヴィアン。その矛先はエレノイアへと向けられ、一瞬にしてその動きを縛り上げ、毒を与え、運を汚して血を溢れさせた。何という一気呵成。マグメイガスの本領発揮である。
「痛いですわね、貴女から牙にかかりたいですの!?」
 咆哮混じりに叫ぶ辺り、気合入ってるなエレノイアさん。

「ホリメを優先したいけど、ここは手近な奴を優先して倒すぜ……!」
 モヨタの構えた剣が、輝きを増して掲げられる。本来なら神聖術師を優先して倒せれば上出来だったろうが、距離を詰める関係上、手近な敵から距離を詰めつつ倒していくしかない。どっちにせよ、LKK団のメンバーなど彼らにとって物の数ではない。颯に受けたダメージ、それの回復後の値を差し引いても、モヨタの一閃で戦士の体が大きくぐらついたことに変わりはない。
「さて、今宵騙るは気毒に侵された血姫を救う物語。開幕だぜハッハー!」
「アリスの美学を理解できない相手には鉄槌を!」
 倒れるに至らなかったとはいえ、満身創痍の男が振り下ろした一撃は、ドラマの脇を僅かに掠めて着弾した。僅かに飛沫く雷撃の余波が、彼にとっての脅威を知らしめるが、それでも彼は男の前から引かず、背後に控える女性たちを守らんと必死だった。
「世の中には二種類の女性しかいねーのさ……そう、抱き付きてぇ女と、抱き付かれてぇ女だけだぜ!」
 言ってることは本当に教育に悪いんだけどね。働きは立派なんだよねこの人。
「では、後は任せて貰おうかのう」
「来た、アリス来た! コレで勝て……ぐぇっ」
「シャッターチャーンすごべぶっ!?」
 滑りこむように戦士二人の間合いに入った玲の銃が狂ったように火を吹いて二人を次々と昏倒させた。大丈夫、革醒者はちょっとやそっとで死なない。持ってたデジカメは吹き飛んでますけどね。

「愛でるだけの二次元とは違うのダ! ノータッチとは何ぞヤ! 小さい子はナ~! こーゆーのを始末してナンボなのダ!」
 カイの全力の一撃が、話半分に聞き流していた映介を強く打ち据えようとする。だが、指が動かない。敵陣に(温子を除き)単独で飛び込んだカイの意思は立派であり、その作戦は「一般的な」LKK団にはかなり強力な作戦だったに違いない。だが、忘れてはならない。映介とて呪術に長けた革醒者。そして彼らは、LKK団『急進派』。
「その意気やよし、その努力やよし、その言葉の重みは買おう、ハトのビーストハーフ!」
「何処をどうしたらハトだったのダ!? 我輩、インコなのダ!」
 シャッターを切る手を止めて、ゆるりと立ち上がる映介。そこには、先ほどまで温子にメロメロドッキュンな目ではなく、配下を叱り飛ばした時の業火のように燃える眼球が2つ、嵌まっている。
「だが分かっちゃいない。手を取ったらおうちまで導くだろうが! 別れ際に笑顔を撮影して終わりだろうが! 汗が排泄物と同じ臭い?! 言われずとも成分表示が九割九分同じなのだから仕方なかろうよ! フィギュアなど語るまでもなし! つまり――」
 左手を大きく掲げたその動作に、魔術師二人が慌てるように術式を組み上げる。狙いはカイではなく、背後に控える瑛、そしてその他メンバー。

「撮影された幻想の欠片(にーてんごじげん)こそ至高なのだッ!」
 ……いや本当、何この戦闘。報告書読み上げるだけで疲れる。

●常識が来い
「映介様に手を上げた狼藉は黙ってはいられませんけれど、他のオンナに懸想するのも許せませんけれど……それでも、私には使命がありますから! 見てて下さいましね☆」
 エレノイア、その格好(巨狼)でカワイコぶったら軽く数人卒倒するぞ。眼力で。
「ねぇねぇどんな気持ち、メロメロにされたのに成長したら肝心の相手にはうざがらレるってどんな気持ちカナエレノイア嬢?」
「残念だなー遊園地行きたかったなー。デートだから、手を繋ぐまでオッケーするつもりだったんだけどなー(チラッ)」
「……ッ、無駄なことを、しないで下さいませ……!」
 オオ、と咆哮一つで呪力を吹き飛ばし、正面から切り込んできた颯の攻撃を受けきり、ラヴィアンの二度目の魔曲を一足のもとに回避するエレノイア。回復の準備に入った瑛へ勢い良く飛びかかると、巨大な牙をしてその血液を吸い上げ、再び咆哮。
「あのままじゃまずい、けど……!」
 モヨタは逡巡する。
 エレノイアの実力は、自分達数人がかりで何とか対応出来るレベルだ。打って変わって、LKK団は正面から切り込んでも倒す分には全く問題がない。未だ神聖術師も魔術師も健在な中、やることは何か、と。決断は、当然のものだった。
 にや、と口元を歪ませると、彼は神聖術師を自らの間合いへと捉え、口を開く。
「女子ってそんなにいいもんか? オイラのクラスのは遊んでると静かにしろとか掃除サボるなとかうるさいんだよ」
「そんなもの、役割を果たせばいいことだろう少年! 気持ちはわからんでもないが……!」
 精神的ゆさぶりをかけるモヨタに、しかし神聖術師は冷静に言葉を返す。が、それでも勢いを増した彼の一撃を受け止めきれるほど、成長途上の彼らは堅牢ではない。
「エレノイアさん、気持ちは分かるけど……疋田は少女好きなのよ! 私達を倒して疋田達にいいようにさせて嫉妬するより、自分から戻ったほうが手っ取り早いのよ!」
 ややアーク優勢ながら、エレノイアの戦力に戸惑う状況を打開しうるのは、そんな温子の一言だった。
「ただそこで微笑んでいるだけで励みになる、嬉しくって勇気が湧いてくる! そんな花にあなたはなれるのに、何を躊躇う必要がある! そうでしょう、惚れたのはあの子が少女だったからでしょう、疋田さん!」
「そ、そうなんですの……?」
 ウルル、と小さく唸り声を上げ、エレノイアは映介へと視線を向ける。アリスと元アリス、二名の視線に押されるように疋田は数度頷くが、それがどういう結果を及ぼすか、までは彼は理解していない。

 世界に光が迸る。
 唖然とする全員を尻目に、瑛に馬乗りになった状態で少女の姿が顕現した。
 少女エレノイア、周囲を数度見渡す。残念ながら、彼女の知るリベリスタの姿はない。だが、彼らが『リベリスタ』であることは理解できる。状況を数秒かけて飲み込んだ彼女は、顔を見る間に赤面させる。
「オレサマなら、どんなお前でも愛してやるぜ?なあ、オレサマのモン、に゛っ!?」
「……はず、かしい」
 ドラマ、君の勇気は忘れない。でも、デリカシーって大事だぜ?

「シャッターチャンスから逃げる? 逃げられる?」
「ずっと! 俺の! ターンだーっ!」
「愚かな奴らよー、妾にひれ伏すが良いわー!」
「ぐっ、これはチャンずべごっ!?」
「これは逃れら、れぅッ」
 アリス達の全力ターン。温子の斬風脚にいたってはあざとさが先立ってLKK団にはガードなどできはしない。結果、デジカメごと吹っ飛ばされるわけだが。

「素敵に愉快に狩り倒すゾー」
「現実(さんじげん)から逃げる輩なド、許すわけにはいかないのダ!」
「最近はギャル系の格好どころか化粧までしてるのも増えてるから、お前たちの好きそうなタイプは減ってんだぜ?」
「そんなもの、時代の流れだ! 現実を愛さないという選択肢もあって然るべ……」
 都合三名の集中攻撃を前にして、映介は虫の息だった。それでも、彼は戦おうと必死だった。躍起だった。しかし、その背後を御覧下さい。
「弄ばれた、嫌。あなた、キライ」
「え、ちょっと待っ」
 左腕を霧に変化させ、次いで水のハンマーへと変化させたエレノイアの渾身の一撃が、映介へと振り下ろされる。地面にめりこんだ彼だったが、まあ、そこは革醒者(以下略)。

「荒っぽい真似してごめんな、痛かったろ?」
「こっちはコワイおじさんがたくさんいるかラ、もう来ちゃダメなのダ」
「ん、わかった。残念、だけどこない、約束」
 モヨタとカイによって説得されたエレノイアは、一応、便宜上は無事に元の世界へと帰っていった。
 映介を始めとしたLKK団の面々は、その後アークに搬送されることとなった……が、微妙にノリ気だったラヴィアンと映介の交遊について、果たされることがあるかについては定かではない。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
急進(アイツら未来に生きてんな)派。