●依頼 アーク本部――ブリフィングルーム。 『リング・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、リベリスタたちが着席してから話を切り出す。 「アーティファクト『魂の帰還』を破壊してきて。場所は埼玉県の郊外にある廃病院の中」 数年前まで総合病院として機能していたが、病院自体が移転してそのまま遺棄されていた。 カルテや書類、高価な医療器具以外の設備は、割と手付かずのままで残っている。 その中にあった聴診器のひとつが革醒し、アーティファクトへと変化したらしい。 「『魂の帰還』は周囲に存在する残留思念を、エリューションフォースに変える力を持っているの。凄い勢いで」 まるで肉体を持たずに魂だけが帰還してきた様に見えることから、この名が付いたらしい。 「生み出されるエリューションフォース達はフェーズ1。一体一体はそんなに脅威ではないけど、数が……」 『魂の帰還』が存在している限り、延々とエリューションフォースは増え続ける。 「タイムリミットは夜明けまで。明るくなればエリューションフォースたちの姿が人目に触れてしまう」 そうなれば病院のある街全体が、パニックに陥る可能性があるだろう。 話が大事になる前に解決しなくてはならない。 「それとは別に『魂の帰還』の回収を狙うフィクサード達が現れる。数は10人程度」 フィクサード達が何処の組織に属している連中かは今のところ不明だ。 だがリーダーの中国人、張・威超(ちょう・いちょう)は割と名の知れたフィクサードである。 彼等は廃墟の裏口から侵入し、エリューションフォースを退治しながら最上階を目指してやってくる。 「威超は実力のあるフィクサードだけど、それよりも卑怯な戦術を駆使して来るので有名。だから油断は禁物」 ●承前 埼玉県、某廃病院――真夜中。 裏口から建物に進入したフィクサード達は、階段を上へと進む。 その行く手には、青白い亡霊のような塊が次々と浮かび上がり、彼等へと向かってきた。 後ろで尊大に胸を張った威超が、片言で配下に指示している。 ……戦いに参加する気はない様子だ。 「雑魚ハ蹴散セェ! 俺様ノ手ヲ煩ワセルナョ!!」 前線の配下たちは、各々の武器を手に亡霊の塊へと立ち向かってゆく。 彼等の必死な活躍で亡霊達は追い払われ、集団は上の階へ進んでいった。 「隅々マデ探セェ! 開カナイ扉ハ破壊シロォ!」 威超が筋肉隆々な腕で近くの壁を叩きつける。 彼が壁を叩いた音で恐怖を感じ、配下の一人が慌てた様にエリューションフォースを銃で乱射し、壁へめり込ませた。 亡霊といえどもエリューションフォースは壁をすり抜ける事はないらしい。 集団が遺棄されたままのベッドや戸棚、机を乱暴に開けては『魂の帰還』を探し回る。 「この階にも例の遺物は発見できませんでした」 配下の一人が報告をすると、威超はスキンヘッドの頭を一撫でし、顎先だけで階段の上を指し示す。 それに敬礼を取った配下達はまた集まって、亡霊が増え続ける上の階へと更に歩を進めるのだった。 尊大な威超はグッと握った拳を突き上げる。 「邪魔ナ亡霊ェ、コノ俺様ガ粉砕シテ殺ルゥ!」 ……いや。あんた、何もしてないだろう。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ADM | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年11月24日(木)23:20 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●侵入 埼玉県、廃病院――。 真夜中に革醒するアーティファクト『魂の帰還』を破壊するべく、8人のリベリスタが院内へと訪れていた。 「廃病院に残る思念っすか…いかにも肝試しって感じっすねー」 『新米倉庫管理人』ジェスター・ラスール(BNE000355)は呟きながら、正面に見える気味の悪い塔を見やる。 ジェスターの言葉に同調した『輝く蜜色の毛並』虎牙緑(BNE002333)が頷きを返した。 「まるで心霊スポットだな。いまに好奇心いっぱいの若者が探検しに来ちゃうぞ」 牙緑は冗談めかした口調で言いつつ、正面の入口を確かめている。 遺棄された後に鍵も壊された様で、出入りは容易にできそうに見えた。 それを片手で制止したのは、『毒絶彼女』源兵島こじり(BNE000630)だ。 正面には罠が仕掛けられている可能性を考え、窓からの侵入を彼女は提案する。 先導するこじりに続いて、リベリスタ達は順に窓から院内へと侵入していく。 院内へと入って周囲を警戒しつつ、『斬人斬魔』蜂須賀冴(BNE002536)はふと疑問に思ったことを尋ねた。 「このようなアーティファクトに、使い道があるのでしょうか?」 冴が内容を聞く限りは、エリューションフォースを生み出すだけ。それでは有効的な使い道がなさそうに感じたからだ。 問いに答えるわけでもなく、『回復狂』メアリ・ラングストン(BNE000075)は関係ないとばかりに言い放つ。 「アーティファクトはすべてアークが接収する!」 来るべきバロックナイツとの戦いに備える。それで充分だ、とばかりの口調だ。 目的はアーティファクトの破壊だとちゃんと理解しているだろうか。冴はメアリを見て少し不安に思う。 最後に踏み込んだ『кулак』仁義・宵子(BNE003094)は窓を閉め、一行の先頭へと回った。 「うっし今日も世の為人の為よいこちゃん働くぞ! って言うか、殴るよ!」 殺しちゃっても良いよね? 仕方ないよね? と近くにいる『第5話:あんにゅい』宮部・香夏子(BNE003035)に賛同を求める。 香夏子は曖昧な返答をしつつ、牙緑が聞き耳を立てて周囲を窺い始めたのを見て口を紡ぐ。 「聞こえづらそうなので、香夏子静かにしてます」 その言葉に一同も話し声を止め、牙緑の反応を待とうとしたその時――。 「雑魚ハ蹴散セェ! 俺様ノ手ヲ煩ワセルナョ!!」 ドカッ! バキッ! バンバンバンッ! 「隅々マデ探セェ! 開カナイ扉ハ破壊シロォ!」 ガンッ! 派手な戦闘音と命令口調が、静かな院内に騒がしく響き渡る。 どうやらフィクサード達は通路のずっと前方、それも牙緑の聞き耳の限りは上の階にいるようだ。 「……探す手間、完全に省けちゃいましたね」 溜息を吐いた香夏子が口を開き、一同はやれやれと被りを振って移動を始めた。 ふと通りかかりに正面の広場を見ると、熱心に何も移ってないテレビを食い入るようにして見つめる青年。 誰もいない受付で熱心に無人の席へと話しかける老人。 繋がっていない公衆電話を上げたり下げたりしている入院患者らしき女性……。 何れも青白く光る霊の様な姿をしていて、普通の人間が見れば幽霊が大量に発生したと思わせる様な光景だ。 横目にエリューションフォース達を眺めながら、廊下を進むこじりが口を開いた。 「『魂の帰還』……要するに、幽霊でしょう? これが出てきたのが廃病院で良かったわね」 もし、大切な人を失った人の下に現れたとしたら、相手にとって残酷な結末が待っているだけだ。 『背任者』駒井・淳(BNE002912)はふと、言葉に引っかかりを感じたように言葉を返す。 「魂か。そんなものがあるなら、死にゆく者にもいくらかは救いがあるな」 最も思念だけが残るというなら、行き着く先はやはり無かもしれないが。と、続きは口にせず心の中だけで呟く。 廃病院、3階廊下――。 一行は慎重にフィクサード達への追跡を続け、階段から廊下を覗いて彼等が次々に病室へ踏み込み、エリューションフォースを片付けていく様子を窺っていた。 後方では数人の配下に護られるようにして、ふんぞり返って指揮をするスキンヘッドの張威超(ちょう・いちょう)が見える。 現在彼等は階段を上がって直ぐにあった306号室の探索を終え、次の部屋――307号室へと入っていく。 その姿を見たメアリがポツリとこぼす。 「ハゲゆえに激しく戦わねばならんのう」 一瞬、誰もが無言になりなんとも言えない空気を漂わせた。 「行こう」 「行きましょう」 リベリスタ達はメアリの発言を華麗にスルーし、307号室へと奇襲をかける事を選んだ。 ●卑怯 廃病院、315号室――。 部屋の中ではエリューションフォースを手早く倒し、フィクサード達が棚やベッド等を滅茶苦茶にしながら『魂の帰還』を捜索していた。 完全に不意を突かれた格好だったが、牙緑の下げた明かりに素早く気づいた配下が反応し、警告を発する。 「敵襲!」 威超は振り返ってリベリスタ達の姿を視認し、そして牙緑のポケットからぶら下がる聴診器を指差す。 牙緑から奪い取る無言のジェスチャーで指示すると、自分は配下を盾にして後衛へと素早く回った。 フィクサードの対応は思ったよりも早く、それなりの手練である事を感じさせる。 前に出て来たリベリスタ達にそれぞれ接近戦を挑みながら、丁度中央にいる威超の周辺に固まった後衛達が援護する隊形が展開された。 しかしその隊形が整った時点で、メアリが敵全体へと光を投げかける。 「奸智練る暇なんぞ与えん!」 言い切る彼女の光がフィクサード達を焼き、動きを怯ませる。 香夏子は集中を始め、自身の速度を最大限に高めていく。 「こっそり後をつけたスパイ大作戦。成功です」 彼女は一旦前へと出ようとするが、威超を護るようにしてフィクサード達が壁となって阻む。 淳は素早く前進すると式符で創り出した鴉を飛ばし、下がった威超を射抜いた。 「好き勝手にはやらせない……」 淳が言い放った言葉を、黙殺したまま威超は配下を盾にするようにして無言で下がる。 冴はその対応にムッとした表情で前衛へと回った。 「こそこそと後ろに隠れるとは情けないですね……」 全身の闘気を爆発させた彼女は、鬼丸を抜いて上段に構える。 そこへ押し寄せた相手に対し、牙緑は電撃を纏わせた一撃を見舞った。 「さっさと(アーティファクト)壊してかえろうぜ」 構えなおした牙緑が小声で告げると、ジェスターは小さく頷く。 ジェスターは壁に足を置くと、まるで壁や天井が床の一部であるかの様に、そこから天井へと駆け上がった。 「向こうの退路を塞いでおくっす」 告げるや否や、敵の頭越しに走り出して脱出路となり得る窓側へと回り込む。 最前列に陣取っていた宵子は、牙緑の攻撃で脆くなった敵へと向かった。 「やぁっと殴れるわぁ、漲ってきたァ!」 その拳に炎を纏わせて前進してくるフィクサードを殴り飛ばし、相手を追い詰める。 相手の出方を見ていたこじりは、淳と入れ替わるようにして前に回り、敵の前線へと電撃を叩き込んだ。 「貴方たちの魂も還しましょう。唯一無二、誰もが還らざるを得ない、無に」 彼女は敵を見透かす様な視線のまま、毅然とした態度で言い放つ。 挟み撃ちにされたフィクサード達は、ジェスターへの対応に2人回り、残りは正面の敵へと集中する。 威超が魔力の塊を淳へ放って手傷を負わせ、実力は劣るが配下達もしっかりリベリスタ達に対応して前線の体力を削っていく。 しかし地力に勝るリベリスタ達は前線の1人ずつを集中攻撃する事で、徐々に壁を引き剥がしにかかっていた。 一方で反対の窓側ではジェスターが2人のフィクサードを相手にし、手一杯の状態となっている。 宵子が炎の拳で3人目の敵を殴り飛ばし、威超へと割って入る隙間を作り出した。 「ウラウラウウラウラウルァ!」 雄叫びを挙げる宵子が作った突破口を、冴が楔の様に斬り込む。 「蜂須賀示現流、蜂須賀冴。参ります!」 冴の攻撃は威超には届かない。だが彼の盾となっていたフィクサードを電撃で打ち払った。 威超への道が開け、牙緑がそこへ真っ直ぐ突撃する。 「きっちり倒してやる。ハゲチャイナ!」 渾身の電撃を威超へと見舞い、手傷を大きく負わせていく。 威超は飛び込んできた牙緑に掴みかかり、ポケットの聴診器を力任せに引き抜こうとした。 だが聴診器は勢い良く威超が引っ張ったことで千切れてしまい、それが彼等の狙うアーティファクトではない事を証明する。 呆然と千切れた聴診器を見やる威超へ、香夏子の黒いオーラが襲う。 「ハゲさん狙いますね」 緊迫感のない口調で放った破滅的なオーラが、自慢のスキンヘッドに炸裂し、声を挙げる間もなく威超は吹き飛んだ。 すると威超の身体が見る見る内に萎み、やがて一枚の紙切れとなって地面に落ちる。 突然の変化に唖然とする一同を他所に、淳は紙切れの正体に気づいていた。 「これは……式符!?」 自分の身代わりの式神を高度な符術で矢面に出していたのだ。 淳はそこで考える。ならば、本体は一体何処にいるのだろう? と。 ジェスターは襲い掛かる2人に対し、高速で残像を創り出して同時に攻撃して迎撃していた。 「簡単にはやらせないっす」 フィクサードの2人は片方が前へ出て壁となり、もう一方が後方へと下がる。 だが残像が織り成す剣撃に抗いきれず、前方のフィクサードが深手を負って崩れた。 すると後方に下がっていたフードを被るフィクサードが突然手を翳し、ジェスターへと式符を飛ばす。 式符は不吉な影でジェスターを覆い、彼の身体を侵食して強烈な一撃を与える。 「んなっ……なんすかこれ?!」 続けざまに印を組んだまま回転すると、フードが外れて先程までの式符と同じスキンヘッドが姿を現した。 途端にリベリスタ達全員へと氷の雨が降り注ぎ、その身体を斬り刻む。 「騙サレタァ、コノ間抜共ォッ!」 嘲笑する威超の氷の雨によってジェスターを始め、何人かがその場に凍り付いて動けなくなった。 オーラを纏ったこじりは氷結から逃れている。 「小賢しい……」 舌打ちすると障害となっていた、目の前のフィクサードを連続攻撃で撃ち倒す。 一方、傷の状態よりも氷結の解除を優先したメアリが、神々しく光を放つ。 「狼藉者に負けるでない!」 メアリによって氷結から解放されたリベリスタ達が、再度態勢を整えて反撃に転じる。 続けてエリューションフォースとの戦闘が控えているにも関わらず、既に双方とも激しい損傷を蒙っていた。 正体を現した威超は、これまで戦闘では殆ど消耗しておらず、次々と全体攻撃と呪縛を繰り返してきた。 重ねてフィクサードの後衛の魔力は、すべて淳とメアリに集中している。 対するリベリスタ達は威超へ攻撃を仕掛けようとするが、配下達に悉く庇われて届かず、更に敵のホーリーメイガスによって優先的に癒されてしまう。 前線の数が減って余裕が出た冴とこじりが協力し、ホーリーメイガスへと狙いを切り替えて倒すも、その時点でかなりの消耗が強いられる。 だが淳が全力で威超の式符の対策に当たったことで、フィクサード側にも決め手を欠いたまま消耗戦を強いられる時間が続いていた。 ●撤退 とうとう淳が式符を広げるよりも速く、威超が式符を広げて氷の雨を投げかけてきた。 「クタバレェェェェェェェッ!!」 氷は雨は槍の様に鋭く、リベリスタ達の身体を貫いていく。 前線での斬り合いによって、既に回復が追いつかなくなっていた前線のリベリスタにとって、致命傷に近い損傷だった。 遂に牙緑、淳、メアリがその場に遂に崩れる。 同じく致命傷を受けていた香夏子だったが、彼女は運命を引き入れて立ち上がろうとした。 「狼の本能を見せる時です!」 何時になく真剣な声で、最後に残っていた前衛をそのオーラで打ち抜く。 宵子は自身がリベリスタ達の中で、経験不足である事を充分に理解していた。 「ハゲチャビン、殴り合おうよ!」 それでも致命傷を負わずに立ち続けていられたのは、威超を挑発しつつ防御に徹していたからである。 威超はその挑発に多少反応はしたものの、攻撃する時は常に全体へダメージが行き渡るよう選択していた。 ジェスターは自分の体力を把握した上で、防御姿勢を事前に取っていた為に致命傷からは逃れている。 「こりゃまずいっすね……」 打開できないか方法を探るが、回復の手段が途絶えてしまってはそれも難しい。 冴もやはり致命傷に近い傷をうけている。だが彼女も運命を味方につけ、その場に崩れることを良しとしなかった。 「そのような刃では、私の正義は折れません!」 香夏子の攻撃で深手を負う敵へと鬼丸を叩き込み、フィクサードの前衛達はすべて倒された。 こじりは持ち前の体力で何とか今までの攻撃を乗り切っている。 「時間は掛けられないわね」 盾として寄り添うマグメイガスに狙いを絞っていた彼女は、闘気を纏った連続攻撃で相手を打ちのめす。 一方、フィクサード側も深刻な事態となっていた。 既に威超を除く大半が倒れ、残る配下は2人。片やリベリスタ達はまだ5人も残っている。 例えどちらかが残るまで戦いを続けたとしても、残った戦力でエリューションフォースを全滅させるのは、互いに不可能な状態だった。 自分の命運を削ってでも阻止しようとするリベリスタ達に、わざわざ付き合う酔狂さは最初から持ち合わせてはいない威超である。 「フンゥ……出直ス他無ィカッ!」 威超はスキンヘッドをぴしゃりと叩き、残った2人の配下を盾に窓を塞ぐジェスターへと向かう。 香夏子、冴、こじりはそれを阻もうとするが、配下達が決死の覚悟で食い止め、先へ行くことを許さない。 やむなく宵子と共に集中して掃討に回るしか出来ずにいた。 ジェスターは威超の撤退を防ごうと残像を伴う高速攻撃を繰り出す。 「簡単には逃がさないっす!」 だが威超はその攻撃を真正面から喰らったまま笑った。まるで利かないとでも言いたげに。 素早く印を組んで式符を飛ばし、黒い影をジェスターへと再度覆わせる。 2回目の黒い不吉な影は彼の身体を内部から破壊し、深刻なダメージを与えた。 耐え切れずにジェスターがその場に沈む。 それを押しのけるようにして、威超は窓へと突進する。 「フハハハハハッ、再見ッ!!」 高笑いをすると威超は窓を突き破り、そのまま地上へと落ちていった。 残る配下達を倒し、窓の下をリベリスタ達が確認した時――。 予想外の高さからの落下で足を挫いてしまった威超が、片足を引きずりつつ必死に病院から遠ざかる様子が見えた。 こじりは思わず失笑し、去ろうとする威超を追おうとする。 「逃げるの? あぁ鬼ごっこね?」 しかしそれは他のリベリスタ達によって止められた。 相手の目的は一応阻止できたし、追撃よりも重症者への対処を優先したかったからだ。 加えてこじりが単独で負って致命傷を負えば、更に一行は窮地に追い込まれることになる。 もうこの戦力と損傷度合いでは、任務の継続も放棄せざる得ない。 「OK」 諦めた様子で肩を竦めると、こじりは仲間達と共に怪我で動けない仲間の運び出しにかかった。 フィクサード達はリベリスタと戦う前にかなりの数のエリューションフォースを駆逐している。 だがしばらくすれば『魂の帰還』の力で、その数は元へと戻り、逆に増え続けるだろう。 廃病院の存在を知った街の人々が、徐々に幽霊病院の噂を広め運命が変わらぬ姿を見せる事になるのは、時間の問題である……。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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