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甘美な食事処

● レストラン
「で、どこいくの?」
 繁華街の裏、寂れた道を進むのは二つの影。
 一人は今時らしい若人の少女だ。ダークブラウンのブレザー服、ミニスカートから伸びる脚線美に少し背伸びしたメイクと、可愛らしく纏められている。
「お昼まだでしょ? この先に、行きつけのレストランがあるんだよ。 そこに招待しようと思ってね?」
 傍にいたのは同じく若き青年。
 背も高く、カジュアルに着飾った姿に甘いマスクと……声を掛けられ、着いてきた少女の気持ちも分からなくは無い。
(「わざわざそんなところに?……適当に遊び相手って、感じではないのかな?」)
 少し時は坂戻り、30分程前。
 唐突に友達のお出掛けがキャンセルになり、帰路に着いた少女へこの青年が声を掛けてきたのだ。
 所謂ナンパではあるが、ルックスも喋り方から感じる雰囲気も悪くはない、寧ろ好み。
 自分を言い聞かせるな口実、ドタキャンで暇になったからと本心は伏せながら……今に至る。
「じゃあ期待してようかな~」
 今日ばかりは友達に感謝しておかなければならない、これがきっかけにお近づきになれたら一つ奢らないといけなさそう。
 等と、まだ見ぬ先の事を浮かべる少女の頬は緩んでいく。
 その様子に微笑む青年だが、何処となく笑みが喜びとは違う様にも見えるだろう。
 だが、少女に気付く余裕などない。
「そこを曲がったら、見えるかな?」
 入り組んだ裏路地を近道と案内され、曲がった先に期待を寄せる。
「どれど……ぇ……?」
 見えたのは赤い壁だった。
 所々黒く変色し、咽返る生臭い匂いに少女の表情が凍り付いていた。
 壁周辺には赤と白の混じった人骨が無数に転がっていたのだから。
「な、何……これ」
 血の気が引いていき、青ざめた表情で振り返る少女。
 その目に飛び込んだのは、異形の姿。
 青年だった殻を破り、無数に飛び出す赤黒い触手の群れ。そして中央からは、どうやって入っていたか分からない大きな巾着状の本体が姿を現し蠢いていた。
「キャァァァァッ!!」
 悲鳴と共に逃げ出そうとする少女だが、素早く伸びてきた触手達が彼女を捕らえる。
 四肢を縛り上げ、骨を砕くかの様に締め上げていけば木を踏みしめる様な音が体から響き渡った。
「うっ、ぐぅぁぁぁっ…!?」
 痛みと軋みに一気に体力を奪われ、体の力が抜けていく。
 抵抗できぬと見れば細い体躯へ触手が伸び、粘液と共に絡みつくと白い煙が上がった。
「な、何……?」
 何事かと思ったが、その理由は直ぐに知れる事。
 徐々に制服が解けていき、少女の白い肌とパステルピンクの下着を露にしていたのだから。
「や、やだっ……やめて……」
 触手の動きは止まらず、殻を剥くように少女の体を撫で回す。
 ぬるぬると這いずるその動きは、双丘を滑り、股座をすり抜けて太腿まで至り、臀部も余す事無く制覇していく。
 こそばゆい刺激と、皮膚に感じる静電気の様な淡く鋭い刺激に喉を仰け反らして、紅潮した頬と潤んだ瞳が空を見上げていた。
 ボトボトと落ちる衣類の残骸、そして少女の殻を剥き終えた触手は彼女を本体の方へと導く。
「……」
 巾着状の本体が口を開き、ゆっくりとその中に引きずり込まれる少女に抵抗の様子はない。
 全て収まりきると共に更に強い溶解液と細い少女を撫で繰り回すのだ。
 ぼやけきった意識のまま獲物を食らい、溶かし、咀嚼する。
 ここは、化け物のレストラン。

● 招かざる客
「見ての通り、このままでは無数の女の子が奴の餌食になるわ」
 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は映像を終了させていく。
 咀嚼される全容が映っていなかったのは、幼い彼女にとってある意味不幸中の幸いか。
「フェーズは2、戦士級のエリューションね。 心の中に女性に対する未練でも残ってたのかわからないけど、狙っているのは女性だけ」
 眉を歪ませながら端末の操作をするイヴ、理由は出てきた画面と彼女の言葉にある。
「人に擬態したまま近づくことが出来るみたい、それも自由自在に姿を変えてね。 だから、事前にどれがエリューションかってわからないの」
 画面に映っていたのは、先程映っていた青年の他に、スーツの似合うビジネスマンや、黒いロングコートがスタイリッシュなパンクスタイルの青年と3人。
「恐らく、擬態してくるのはこのうちのどれか。 一人ずつ確かめる様に囮でみつけるのもいいけど、それだと時間が掛かるから他の犠牲者がでるかもしれないわ。 逆に3人同時に手を出すと……戦力が分散して、危険ね」
 囮作戦にしても、一筋縄では行かなさそうだ。
「逆に囮を出さず3人を監視するのもありね。 但し、一般人を巻き込みかねないし、守りながら戦うようになったらそれだけ大変ね」
 どの選択肢にしても危険は着いて回る、底をカバーするだけのチームワークは欠かせないだろう。
「厄介な事ばかりお願いする事になるけど、引き受けてくれるかしら?」
 成さねば成らない戦いに、退路はない。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:常陸岐路  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年11月27日(日)19:20
 初めましての方が多いかと思います、ストーリーテラーの常陸岐路と申します。
 今回の依頼は、所謂お色気モノと言うやつです。そういう雰囲気やギャグっぽいノリを楽しまれたい方にとってもオススメです。
 敵についてですが、イヴの話通り女性の囮が必要ですが……万が一、女性がいなかったらそう見える何かを準備するのも手でしょう。
 戦闘に入ると攻撃手段は二つです。
 一つは触手による攻撃、絡み付こうとする攻撃だったり、叩き付けてくる攻撃だったりしますが、攻撃を受けると捕獲された状態になります。
 捕獲している間は特にダメージを追加で与えたり、バッドステータスを与える事がありませんが……服が解かされたりしますので、対策が必要でしょう。
 更に、捕獲の状態が続くと二つ目の攻撃手段、捕食攻撃をしてきます。
 巾着状の本体の中へ引きずり込まれ、更に高いダメージを受けてしまい、出血を伴うでしょう。
 捕獲状態を解除するには一定ダメージを、対象を掴まえている触手へ与える事で解除できます。
 万が一、捕食攻撃を受けてしまった場合は巾着状の本体を攻撃し、一定ダメージを与える事で吐き出させることが可能です。
 捕まっている間、捕食されている間も、されている側は移動は出来ませんが攻撃等は出来ます。
 ちなみに……エリューションが攻撃を受けると粘液を飛び散らせます、これが掛ると服が融けますのでご注意を。
 ではでは、皆様の参加を心よりお待ちしています。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ナイトクリーク
神無月・優花(BNE000520)
クロスイージス
春津見・小梢(BNE000805)
ホーリーメイガス
ルーメリア・ブラン・リュミエール(BNE001611)
プロアデプト
氷守・孝文(BNE002005)
インヤンマスター
イルゼ・ユングフラウ(BNE002261)
インヤンマスター
渡・アプリコット・鈴(BNE002310)
スターサジタリー
エルフリーデ・ヴォルフ(BNE002334)
マグメイガス
ティオ・ココナ(BNE002829)

●準備は念入りに
「はい、ルメちゃん、ちょっとじっとしといてねぇ」
 出発前、意気揚々と準備を始める『十徳彼女』渡・アプリコット・鈴(BNE002310)は、『なのなのお嬢様なの』ルーメリア・ブラン・リュミエールへのメイクに燃えていた。
 その昔、モデルを目指していた頃の自身を思い出しつつも、それ以上に目の前の逸材を美しくする事へ余念がない。
 『まだ本気を出す時じゃない』春津見・小梢(BNE000805)は、そんな光景をウキウキとした様子で見守りつつ、背伸びしたメイクで飾られていく様を楽しんでいた。
(「凄いなぁ、ドキッとくる可愛さになってる」)
 腕を組み、その様子を感心して眺める『照れ屋な守護者』氷守・孝文(BNE002005)であるが、自身の危機が直ぐそこまで迫っている等と思いもしなかった。
「よし、完成!」
 渡の言葉に、改めてルーメリアが鏡を覗き込む。
 いつもより背伸びした自身、色気と幼さが交じり合った程よい整いに見ている本人すら心音が高鳴ってしまう。
「さて……次は孝文ちゃんやなぁ」
「ぇ?」
 当の本人から間髪入れず、疑問の声が零れるが満面の笑みを浮かべる渡にそれ以上の言葉を紡げない。
「逃げたらくらぁすけんね?」
 おかしい、敵はこの先に居るはずだ。
 何故今ここで身の危険を感じるのか、何故その笑みが冷たく感じるのか。
 分かる事は唯一つ、もし一歩でも退こうものならば、自身が無事に帰れないという事だろう。
 
 繁華街へと姿を現したリベリスタ達は班に別れ行動を開始する。
 サラリーマン風の男を狙うのは『月光花』イルゼ・ユングフラウ(BNE002261)と、『エーデルワイス』エルフリーデ・ヴォルフ(BNE002334)である。
(「そう易々と狙いだけが釣れる、とは行かないか」)
 少々離れた場所からエルフリーデはイルゼを見守り、視野外に行かぬ様気を配る。
「少々よろしいでしょうか?」
 スクリーンに映っていた人物と同じ男性がイルゼへと声を掛ける。
(「幻視が効いてないのかしら、つまり当たり……」)
 2人に緊張が走るが。
「あっ、やはり女性の方でしたか。 いやはや、これで男性だったら世も末だと思うところでした」
 外見とは裏腹に明朗に語り続ける男性、だが言葉の節にある証拠を2人は逃さない。
「私、こういう者でして」
 差し出された名刺には事務所と彼の名前、所謂モデルのスカウトだろう。
(「違う、彼はイルゼ君を男性かもと疑っていた。」)
 イルゼも同じ事に気付いていた。
 
 同時刻、こちらはルーメリア、春津見、渡の班。
 ルーメリアと春津身の囮は、大盛況の嵐といっても過言ではない。
 ルーメリアのテンプーションが拍車をかけ、数歩歩けばナンパを受ける始末だ。
(「こ、こんなに声掛けられるなんて……」)
 先程まではどうなるか期待と不安で胸いっぱいだったが、何度もナンパを断った今となっては効力の強さに顔が火照ってきてしまう。
「いやー、大人気ですね、ルーメリアさん」
 ニヤッと笑いかける春津身、言い表しようのない気恥ずかしさを感じるルーメリアはもじもじとしながら視線を反らす。
 誘われる言葉よりも、春津見からすればルーメリアのこんな恥らう仕草の方がお気に召すようで相変わらず悪戯っぽい笑みを浮かべたままだ。
「なぁ! 今暇かい!?」
 ターゲットの青年から声を掛けられる二人、だがそのテンションは異様に高い。
 イヴに見せられた映像では、もう少し大人しいイメージだが……ここに居る彼は、まるで運命の出会いでもしたかの様に、勢い任せのお誘いを掛けてきていた。
(「この感じだと、外れっぽいですね」)
 熱烈な猛アタックを受けるルーメリアを眺めながら、冷静に判断しているのだが。
「えっ、えぇっと……」
 予想以上の勢いに慌てふためく少女の様子を、もう少し眺めたいとも思うところであった。
 
●空回り
 同時刻、パンクスタイルの青年へと接触する班。
 『ものまね大好きっ娘』ティオ・ココナ(BNE002829)が囮となり、街の中を進むと、それほど時間も掛からずしてターゲットと接触する事となった。
「もしもし? うん、ボクだよ。 ごめんね、ちょっと急用が出来たんだー。 だからこの後のお買い物いけないかも」
 取り留めのない話を混ぜつつ、しっかりと暗号を伝えると彼に案内されるがまま移動開始である。
 そんな連絡を受け、他のメンバーへ連絡を入れる氷守だが、釈然としない何かが心にある。
「……どうかしましたか?」
 携帯電話を見つめる彼に、同じく別の班へ連絡を入れていた『追憶の蜃気楼』神無月・優花(BNE000520)が怪訝な表情を浮かべて問う。
「えっと、なんでもないです」
 とは言ったものの、考えていたのはこの格好について。
(「……どうして、私がこんな格好を……とほほ」)
 妹系の可愛らしいメイクとドレスに身を包まされ、ティオを追跡する彼の心は複雑な思いで満たされていた。
 食事場所は変わらず、路地裏。入り組んだ道程を進む敵とティオを、見失わない様に静かながら素早く、見つからない様に後を追う。
「さぁ、着いたぜ?」
 ライブハウスにお誘いする等と嘘をのたまう敵に従い、たどり着いた先は袋小路。
 ティオが振り向いた先には、予想通りの光景が広がる。
 着ぐるみを剥いだかの様に、青年の外装と皮が滑り落ち、イソギンチャクのような本体と無数の触手がずるりと這い出てきたのだ。
(「ワザと中に入って大ダメージを与えるんだから!」)
 身体の内側からの攻撃はさぞダメージが大きそうだと、捨て身の一撃を狙う。
 結界を展開しようとした神無月の手も思わず止まり、触手に絡まれ抗うことなく本体へ放りこまれるティオに唖然としていた。
「なっ……!?」
「攻撃して吐き出させましょう!」
 悠長に結界を張っている猶予はない、二人は戦闘体制をとると同時にエリューションへと攻撃を開始。
 神無月の全身から溢れるオーラが糸となり、触手へと包囲攻撃を仕掛ける。だが、俊敏な身のこなしでその一撃を避けてしまったのだ。
「くっ……!」
 氷守もティオの危険にすぐさま攻撃を仕掛けたいところだが、今しがた見た光景もあり、決めていたとおりまずは集中力を高めていく。
「うぁぁっ!?」
 本体の中で細い触手に絡まれ、肌を融解、引き裂かれ、全身を襲う痛みにティオの悲鳴が響く。
「んんっ、ネチョネチョしてて気持ち悪いよ……っ」
 オーバーオールを襤褸切れに変えつつ、ドロドロの溶解液が細い触手で塗りたくられ、柔肌を蹂躙する。
 痛みと共にくすぐったいような刺激が全身を包み、咀嚼する様にグチャッ、グチャッと内壁がティオを捏ね回す。
「でも、ここなら大ダメージだよ!」
 スタッフを構え、魔曲・四重奏を放つ。
 複数の属性が違う光を放ちながら入り混じる姿は、四重奏の言葉にふさわしい。
 ヌルヌルとした内壁を穿ち、焦げる様な音が響くが、彼女の思うようなダメージは与えられていない。
 それもそのはず、ここの内側に弱点などないのだから。

●とてもみせられない
 ティオがまだ開放されないまま、他のメンバーが到着し、渡が結界を展開。
 戦闘準備を整え到着した面々は、ティオが居ない事に何が起きているのか直ぐに察したようだ。
「本体に集中攻撃だ、ティオ君を吐き出させる!」
 エルフリーデがライフルを構え、素早いサイティングで吐き出された光弾が本体へと飛んでいくも、触手を盾にされてしまう。
「とりあえず、吐き出せ」
「今度こそっ!」
 その攻撃に意識が向いているところへ春津身のブロードソードと、神無月の黒いオーラの刃が交差し、同時に本体に直撃する。
 本体の口が開き、傷らだけとなったティオが吐き出されるわけだが。
 いらぬ事に粘液もたっぷり吐き出し、至近距離に入った二人にぶちまけられてしまう。
「きゃー!」
「んぅっ……やだっ……」
 方や少々棒読み、方や艶っぽさ混じる悲鳴。
 同じ目にあったとは思えない声が響いた。
 二人とも粘液を払い落とそうとするのだが、粘りがあることが厄介この上ない。
 こそぎ落とそうとも張り付いた少量の液体がじわじわと服を破壊し、胸元が大きく開かれ、腹部は完全に見えてしまう。
 腰元もべっとりと汚されてしまい、直撃を避けられた下着も染み込むそれに侵食される一方だ。
「うわぁ、スゴイことに……い、今助けるの!」
 片手で自身の視野を閉ざしつつ、ルーメリアはティオの傷を癒す。
 癒しの風が緩やかに流れ、弱った身体を癒すが出血は止まらない。
「許さんっちゃんね、手加減せんよ!」
 赤ずきんをモデルにした狩猟着に、蔦の絡まる弓。
 ファンシーな整いに身を包んだ渡が弓を引き絞り、弦と弓の間に紫色の矢が生成される。
 弦を離せば、矢と化した毒の魔弾がエリューションへと風切る音と共に飛んでいく。
 同時に、狙いを定めた氷守の射撃と、ティオの反撃の魔法が重なり、直撃したエリューションの触手が蠢く。
「これはどうかしら?」
 回復が必要な要員ゼロ、ならばとイルゼが術を放ち、追撃を続ける。
 紡がれた呪いの言葉が鎖の様に連なり、触手を捕縛していく。
 ティオの魔法と、イルゼの術。これでエリューションは自由に動き回れないだろう。
 
 だが、敵も負けじと反撃に打って出る。
 触手が荒波の如くうねり、不規則な動きでリベリスタを襲う。
 「な、なんでルメを狙うの……いやぁー!?」
 ルーメリアが魔の手、否、触手に掛かってしまった。
 粘着質な音を響かせ、幼い身体を撫ぜる触手は不必要な殻を剥く様に、少女の衣類を剥がしてしまう。
 眼下に広がる光景に、ルーメリアは先程以上に頬を紅潮させ、振り払おうと身を捩る。
「うにゃぁっ!? そ、そんなところ触っちゃ駄目ぇっ」
 うなじや脇腹、内腿と神経が敏感なラインを擽る様に這いずる触手に瞳が潤む。
「ルーメリアさんっ!」
「離してよっ」
 直ぐに神無月の刃と、ティオの魔法が触手へと放たれ、開放しようとするが後一つ足りない。
「私が!」
 再びライフルを構えるエルフリーデが、瞬時に触手を狙い撃つ。
 光の弾丸が触手を引きちぎり、ルーメリアを開放するが。
「しまったっ」
 千切れた箇所から盛大に粘液が噴出されていた。
 至近距離に居たエルフリーデや、神無月、開放されたルーメリアは迷惑なシャワーを浴びてしまう。
 グズグズと朽ち果てる衣類、これだけ盛大に浴びてしまえば布地が残るところがあるほうが奇跡だ。
「孝文君、見ちゃ駄目よ?」
 隠して戦えなくなるわけにも行かず、頬を高潮させながらもぐっと堪えるエルフリーデは、釘さすように告げる。
 見られていると思えば、恥ずかしさに手元が狂いそう。自然と息が荒くなり、心音が高鳴る。
(「そういわれましても……」)
 見ようという邪な気持ちはない、だが、目の前にいられては見えてしまいそうだ。
(「とても眼福でした」)
 出血治療にティオへ光を浴びせる春津見は、遠慮なくルーメリアの可愛がられる様子を眺めてたのだろう。
 続けて渡の毒弾が放たれ、攻撃を繋ぐが再び触手の盾が防ぐ。
「そこだっ!」
「がら空きね」
 ガードの緩んだ一部分を氷守とイルゼは逃さず狙う。
 放たれた弾丸と鴉の式神がピンポイントに撃ち抜き、多大なダメージを与えるも倒れる様子はない。
 反撃といわんばかりに触手が伸び、後衛へと迫る。
「きゃっ……!?」
 触手が何かを捕らえ、粘液を飛び散らす。
「イルゼちゃん、大丈夫?」
 渡の言葉にイルゼも大丈夫と言葉を返そうと、視線を合わせ……二人でキョトンとしてしまう。
 今の攻撃、誰がやられたのか? と。
「ど、どうして私がぁぁぁっ!?」
 やられたのは氷守。
 例外なく服を解かされ、体中を撫で回されていた。
 誰もが思っただろう、このエリューションは女性となれば誰でも良いのかと。
 それとも、氷守が女性にしか見えないほど渡の技術が素晴らしかったのかと。
 
 とにかく、今は目の前のことに専念。
 エルフリーデと春津見が直ぐに攻撃をしかけ、氷守を解放させる。
 残りの面々も一斉攻撃を仕掛け、大ダメージが叩き込まれるがもう少しというところか。
「は、離して……んぁっ……ぁ……」
 今度は神無月が触手に捕獲され、残る服も削ぎ落とそうと絡みつかれる。
 谷間を滑る触手が首筋を這い上がり、水音が直ぐ傍に響くとゾクリと震えてしまう。
「離せっ!」
 エルフリーデが触手に一撃を撃ちこみ、動きが止まった瞬間に春津見がそこを切り落とす。
 開放された神無月は地面を転がり、受身を取れば直ぐに攻撃へ入る。
「これでトドメです!」
 羞恥に力の篭った刃は剣山の様に無数に生まれ、本体をザクリと貫くと、エリューションの動きが止まった。
 最後に盛大に溶解液を飛び散らせて。
 
●これほど酷い帰り道はない
「さて、帰りたいところですが……どうしましょうか」
 イルゼは仲間達の様子を見て、苦笑いを浮かべる。
 全員、服らしい服を纏っているとは言いがたい。寧ろ、この粘っこい感触に気持ち悪さを感じて脱ぎ捨てたいぐらいだろう。
 だが、その場合、一糸纏わぬ格好で帰れということだ。
 彼女も例外なく同じ状態だ、上半分は辛うじて胸元を隠すばかりで、何処かに服が引っかかれば、綺麗にほどけていくことだろう。
 丸みを帯びた胸元も、大半が見えてしまい、下手な水着より扇情的である。
「幻視でごまかして帰るしか……ないか」
 胸元を隠すように腕を寄せつつ、エルフリーデが呟く。
「ルメは替えの服が……」
 だが、彼女の目に飛び込んだのは、鞄ごと溶けてなくなった布切れの残骸である。
 思わず地面に崩れ、愕然。
 唯一、無事に替えの服があったのは神無月だけだ。
 氷守も服を持ってこようとしていたが、男物の服を準備する最中、妙に刺さる視線を感じ断念したのが仇となっていた。
「皆のスキルで上手くカバーしあいながら、一旦ここから離れるのはどうやろ? ここにいて見つかっても色々面倒やしねぇ」
 
 戦い終わって、数分後。リベリスタ達は渡の作戦で裏路地から別の裏路地へと抜ける様に移動していた。
「誰も見てないみたいやね」
 渡が超直感で探り、一般人の視線を確かめた後、移動を開始。
 替えの服に身を包んだ神無月を筆頭に、幻視を持った面々が姿をごまかしながら続き、その陰に隠れる様にルーメリアや氷守、渡が移動。
 裏路地に入れば直感のレーダーを頼りに、人を避けながら進み続ける。
(「こんな恰好、幻視のきかない人に見られたらどうしたら……」)
 茹で上がったように赤くなったエルフリーデは、こんな恥ずかしくてたまらない帰り道に不安で仕方ない。
 特に別のリベリスタ達に見られたらアウトだ。
 いつ見つかるかも解らない恥ずかしい帰り道を進む彼女達と男一人。
 次にイヴに会ったときは悪態の一つや二つ、ついても文句は言われないだろう。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
予想以上に女性の数が多かったので、驚きました。
 プレイング内容と、状況の変化に合わせて調整した流れにしましたが、満足頂ければと思います。
 替えの服を持ってくるといった方が3人いましたが、結果としてあんなオチとなりました。
 氷守様は持ってこれればということでしたので、あの状態で普通の服を持っていこうものなら顰蹙買いそう……ではないかと思いまして、この結果です。
 多分、表現しきれないものや、至らないところなどがあると思いますが、こうして経験することで楽しみつつも勉強になり、大変感謝しております。
 この後も、お色気ものは続けていくつもりです。書き手としてテンションが乗りやすいので、楽しいです。
 ではでは、ご参加ありがとうございました!