● 「あれで懲りると思っちゃ困るなぁ諸君!」 だれにはなしているのだ、とばかりに監視カメラに向かって述べ始める中年男性。 白衣を纏い、眼鏡かけた彼――路傍・誠作は根拠のない自信に満ちあふれたまま、ガレージのブレーカーを引き下ろす。 ガッシャン! という重い音と共に、点灯していく照明によって移し出されるのは―― 「名付けてハイパーマシロンドV1! 苦節3ヶ月、時には横槍も入ったが今度は完璧だ」 全長4m、巨大なリボンとどや顔ウサギ。 オッドアイと白い長髪が特徴的なそれは……紛れもなく巨大な『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)を模しただろうロボだった。 「見よ、この操縦席を! 今度は暴走の無いように私も乗り込んでの万全たる体制! 限界ギリギリまでマイ・イズムを貫きつつも原型を崩さない程度のロリ外見。完璧すぎるなぁ俺! 早速ライドオン!」 警備用の監視カメラに向かってひとしきり騒いだ後、乗り込み始める白衣の男。 そんな男を気にすることもなく、巨大ロボは唸りを上げ初め、そして…… 「ハッハッハ! お茶目さんだ、なぁー!!?」 シャッターを打ち破る轟音と共に、路傍を乗せて外へと飛び出す巨大ロボ。 案の定、また起こってしまったのだった。 ● 「外見は気にせずパパッと倒して」 イヴがそう言うのも無理もない。 その外見はまさしく、彼女とうり二つ……と表現するには余りに大きすぎた。 継ぎ接ぎの接合部はそのままで、足はキャタピラ。 今回は気筒ではなく砲塔が2門伸びる辺りは彼の趣味か、もう頭を抱えるしかない。 砲塔から出るのは砲弾ではなくビーム、おまけに口からはあらゆる物質を凍らせる冷気を放出するという。 工学どころか人知の域さえも超越した『それ』は、彼の発明品と言うよりもエリューションと称した方が的確だと判断できる。 「今回はここに追い込んで倒すと良いと思う」 そう言い、モニタに映しだしたのはガレージ周辺の地図。 巨大ロボ『ハイパーマシロンドV1』は案の定暴走しているものの、現在はこのガレージ周辺をぐるぐると回っているだけに過ぎない。 そこで、巡回ルートの脇にあるビル建設予定地へと誘導し、袋小路になった所を倒すのが今回の仕事だ。 ただし、暴走する巨大ロボをどう追い込むかについては考える必要があるだろう。 「中に搭乗しているのもフィクサード。 追い込まれたら出てくるはずだから」 さらりと告げられた事実も、これまでの所業を考えれば納得といえる。 どちらにせよ看過は出来ない。超常の力によるものが大きいとはいえ、暴走する彼の発明品によって傷つく者はリベリスタだけで十分だ。 運が良ければ彼を止める事も出来よう。 「どっちも何とかしてきて」 イヴはリベリスタに告げ、モニタを改めて見る。 『ハイパーマシロンドV1』と名付けられた巨大ロボ。 そのイメージ図を見て、イヴは呆れたようにため息をつくのだった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:カッツェ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2011年11月21日(月)23:30 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 2人■ | |||||
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●デッドヒート・オブ・ご町内 無限軌道がアスファルトを削り、驀進していく。 その音が刻一刻と、目的地に向かっているのが嫌というほどよく聞こえる。 「分からないでもないけどね……火力もそこそこあるし」 ここはとあるビル建設予定地。『殲滅砲台』クリスティーナ・カルヴァリン(BNE002878)を始めとするリベリスタ達はこの場にはた迷惑な発明品――もといエリューションこと『ハイパーマシロンドV1』を誘い込むべく、期を伺っていた。 メンツを見るかぎり短期決戦が免れそうにないのが運の尽きか。ともあれ、まずは同じルートをグルグルと回っているハイパーマシロンドV1を引きこまなければなるまい。 次第に近づく音、囮役にと志願したニ人が互いに顔を見合わせ、その内の一人――『音狐』リュミエール・ノルティア・ユーティライネン(BNE000659)が道路に飛び出す。 「ほら、こっちにコイ!」 かけ出すと同時に、通り過ぎる巨大な質量。 それは轟音と共に、明らかすぎるほどの異彩を放って彼らの前を通りすぎた――。 「……あー……あ”!?」 通り過ぎて数秒後、『蒼雷』司馬 鷲祐(BNE000288)がその姿に驚愕とも怒りとも取れる声を漏らす。 黒のワンピースに薄紫の長髪。 巨大な部分に目をつむれば、間違いなくその後ろ姿は真白イヴ。 しかし、近づいてみたならば……目は車のライトだし継ぎ接ぎも目立つ。 「……随分と変わった感性と趣味の持ち主みたいですね」 『鋼鉄の戦巫女』村上 真琴(BNE002654)のニュアンスは柔らかいものの、言ってしまえば『これはひどい』の一言に尽きる。そんな理想と浪漫と、そして妥協の産物。 イメージ図でもまだマシな外見だったが――そこは彼女の尊厳もあるので目を瞑るとしよう。 「ロボットかっこいいー!!!!」 とはいえ、鉄骨置き場の影で様子を見ていた『おじさま好きな少女』アリステア・ショーゼット(BNE000313)は至って好印象の様子。 こんなロボットはそうそうお目にかかれないからね。 「おー……ニテネェ」 リュミエールが後ろを振り返りつつ、速度を維持したままハイパーマシロンドV1の前方をリード。 見せびらかすように握られているのは正真正銘イヴの写真。 それが功を奏したかは分からないが、ハイパーマシロンドV1の速度が上がった気がする――そうリュミエールは感じ取り、更に脚力を上げる。 第ニのカーブ、面接着を駆使して塀を駆け抜け、そのまま直線へ。 やや遅れて出た鷲祐も当該機を抜け、リュミエールと合流する。 「こちらには気づいていると見ていいようだな」 「アァ。それにしても、司馬の速度はアイカワラズダナ……」 速度で言えばニ人とも同格。むしろリュミエールのほうが素の速度では若干ではあるが利がある。 だが、リュミエールがハイスピードに対し、鷲祐の持つトップスピードの前では立場が大きく逆転することとなる。 そう。鷲祐は今、そのトップスピードを使ってここまで追いついた。まだまだスピードを出そうと思えば十二分に出せる。 (抜かれたくはナイナ) このままでは追いつけなくなる。第三のカーブ、壁を大きく踏みしめてリュミエールがハイスピードを発動させる。 少しでも速く、そして、ライバルに負けないために――! 残り約150m、鷲祐・リュミエール両者とも最後のカーブに向けて速度を上げる。 ――もちろん、ハイパーマシロンドV1を置いていかないように。 そして、本領を忘れぬよう、鷲祐はAFからナイフを一本取り出した。 ●怒りのメカマシロ(旧名:ハイパーマシロンドV1) 「これは上手く行きそうね」 上空を旋回するクリスティーナが、最終コーナーに差し掛かろうとするニ人と一機を確認。彼女も上空で戦闘準備を行う。 既に地上班は準備を終えて待機済み、あとは主役の登場を待ち侘びるのみ。 「そろそろ一周スルゾ」 「ここらで当てるか」 最終コーナーを抜け、鷲祐が軸足を踏みしめ、体を逆方向に捻る。 慣性、風圧、衝撃、全てを切り裂くかの如き豪脚と力強き蜥蜴の尾。 その速度のまま、コーナーを曲がろうと減速するハイパーマシロンドV1に飛び込み、刃を奮う! 「ガガ、ガガガ!?」 速度の乗った大きく巨体がゆらぎ、ニ度目で塀に身体をぶつけ、ギシギシと悲鳴を上げる。 「ななな、何が起こった!?」 エリューションによる自律駆動と化し、操縦席でぼんやりとしていた元凶こと路傍・誠作にも衝撃は伝わる。 「オォ、目が光ッタ」 キャラピラを高速回転させ、態勢を立てなおしたハイパーマシロンドV1の目が赤く灯ったのを確認し、ゴールである建設現場へと急ぐ。 面接着による壁走り、トップスピードを維持した躍動。 「来た――ひゃあっ!」 リュミエールと鷲祐が目的地に飛び込むと同時に、ハイパーマシロンドV1も塀を轢き壊し、資材を撒きちらしながら現場へと飛び込んでくる。 「……何というかすごくゴテゴテしているネ」 「これで火力がもう少し強ければ完璧なのにね」 『盆栽マスター』葛葉・颯(BNE000843)は身を守りつつも滑稽な外観に呆れ、降り立ったクリスティーナは改めてその外見を一瞥する。 初めて見る者にとって、これほどエキセントリックなメカも珍しい。 しかし、初見ではない者にとっては碌でもない迷惑兵器にしか見えない。 「これで三度目ですよ、ここらで終わりにしませんと」 『宵闇に紛れる狩人』仁科 孝平(BNE000933)は呆れながら見上げる。 暴走の尻拭いをさせられる身にもなって欲しい――と言わんばかりの顔だ。 「肖像権で訴えられても仕方ない外見ですね。さっさとこのメカマシロを現世から抹消しましょう」 ハイパーマシロンドV1改めメカマシロに『九七式自動砲』を向ける『デストロイド・メイド』モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)。 色々突っ込みどころが満載だろうが、怒り心頭のこのロボをまずは止めなければなるまい。 「ギガゴゴゴー!」 奇怪な音と共に砲塔から放たれる黄色の光を皮切りに、巨大ロボとリベリスタの戦いは幕を開けた! この起動音も何とかならなかったのだろうかね、ホント。 ●フルボッコタイム 「き、貴様ら! 俺を殺す気か――あだっ!?」 「おっと失礼、まだ生きていたのですか」 頭部から這々の体で現れた何かに1$シュートをぶち込み、再び機体内へとお帰り願うモニカ。 「中の人までボッコボコじゃない、おとなしく降伏したらどうなのョ」 「ふざけるな! 俺……私の発明品をボコボコにされてハイそうですかと――」 「そろそろ懲りぬか、止める身にもなってみろ」 銃声の後に響いた破断音に、メカマシロの体が大きくたわむ。 『我道邁進』古賀・源一郎(BNE002735)のバウンティショットが、再三の攻撃を受けて磨耗しきった片方のキャタピラを打ち砕いたのだ。 「ぐ、ぐぬぬぬ……アークめ、私の才能に嫉妬しているとしか思えん」 そんなことは断じてないが、ここまでの経過をざっと説明しよう。 光波を浴びたリュミエールだったが、アリステアのブレイクフィアーによって体制を立て直した後は、待っている間に集中に集中を重ね続けていた待機組の猛反撃だった。 「まあイヴさんからリクエストもありますから」 『デモンスリンガー』劉・星龍(BNE002481)が先駆けてキャタピラを狙うと、これに続けと楓もまた、資材を足場にメカマシロの動きを撹乱する。 「今度こそ脱走されないようにしないと」 「そういえば一度逃げてんだなこいつ……」 タイミングを測ってのダブル・ソードエアリアルが更にキャタピラを痛めつけ、仕上げとばかりに身の丈とはアンバランスな火力を持つ2人組が狙いを定める。 驚くべき事に、今回の射撃組は速度が50以下、加えて得意とする攻撃力が150を超えるという火力偏重っぷりがメカマシロを泣かせる。 「その顔どころか全身穴だらけにしてやる。なんとなく」 「あ、砲塔は残しておいてね」 キャタピラだけでなく全身くまなく銃弾を浴びせかけられ、追撃の雷光がメカマシロを射ぬく。 「精密機械は電気に弱い……何て、セオリー過ぎるかしら?」 なんて言葉に呼応するかのように、中からアババーッ! という悲鳴が聞こえ出す始末。 メカマシロはともかく内部には効果があったようで、その一撃に目の部分がパカリと開き、中から這々の体で誠作が這い出したところだった。 ――こうして、メカマシロは容赦ない攻撃に晒されて今に至る訳だが、まだ終わったわけではない。 むしろ、誠作が出てきたこれからが本番といっても過言ではないだろう。 ●暴走機への餞 「ともかく、断じて降伏はせんぞ! かくなる上は――」 キャタピラが破壊され、誠作が白衣から何か取り出そうとした、その時だった。 「ギゴゴゴーッ!」 そうはさせまいと急旋回したまま口から冷気を吐き出し始める! 「ちょ、ちょっと待てこんなものつけた覚え……さぶっ!」 振り落とされたと同時に冷気をモロに浴びた誠作が一瞬にして霜だらけの寒そうな姿に変じる。 「あほな機会なのに地味に強力な兵器だよねー困ったョ」 「作ったヤツはそこで真っ白になっているシナ」 「真白だから冷気を浴びて真っ白……」 そんなどうでもいい事が楓の脳裏をよぎりながらもリュミエールは背部を、楓は継ぎ目をナイフでえぐり、破壊していく。 「大体ねこねこ何とかの時は二足歩行だったじゃないですか、なんで退化しているのですかコレ」 「ここここんな巨体に二足歩行が使えるか!」 霜を振り払った誠作が顔を真っ赤にして怒る、真っ赤なのは単なるしもやけだが。 「ならせめてホバーとかにしましょうよ。足なんて飾りですから」 「ええい後だ後! こうなればかくなる上は――」 マシロンドの胸部ハッチが開き、大量のミサイルが射出! 「おあーっ!?」 異物を排出して本領を発揮したメカマシロは更に暴走の度合いを強めていき、誠作どころかリベリスタも翻弄される一方。 「さすがに連続して食らうと痛いな」 「大丈夫、痛いのは全部治すんだからっ!」 アリステアの明朗な声が歌声に変じ、戦場に癒しを与える歌となる。 「いい年した大人が懲りずにこんなもの作りやがって……あと何個残ってるんだ」 「ぐぬぬぬ……もう何個もないわ。後はドヤ顔うさぎに搭載したミサイルと――」 高々と箱のようなものを取り出し、掲げる 「この自爆スイッチを押せば内部から指向性の爆薬が作動し、部品が四散して半径200mに被害を与えられるって寸法よ!」 黄色い金属製の箱にアンテナが伸びており、ボタンにもドクロマークが描かれている。 漫画などにありがちな本格志向な自爆スイッチだった。 「今回は悪かったが私はこれを糧として進もう!」 そのボタンに、手をかけようとした。その時―― バキョッ。 「……」 重い衝撃と共に鉄がひしゃげる音が響き、誠作が手を見る。 何もない。 「…………」 宙を見回すと、何かが舞っている。 側面から横薙ぎにされたかのように、真っ二つにちぎれ飛んだ自爆スイッチだったものが――。 「アーッ!!??」 今、地面に落ちた。 「うまくいくかどうかと思いましたが、あれだけあからさまだと……」 破壊せざるをえない。誰だってそうしただろう。 「き、貴様らー!!」 「つくづく折り合いの付けられない人ですね。そろそろ諦めたらどうですか」 「コケにされて諦めきれるほど愚か者ではないわ!」 その言葉に星龍が一射し、誠作の肩を居抜くも反撃とばかりに知性の奔流を周辺に巻き起こす。 「それにもはやハイパーマシロンドV1の暴走は止まらんぞ、私は責任もてんぞ!」 逆ギレとも取れる彼の激昂に反応するかのように、ドヤ顔うさぎの口が開き、そこから胸部よりもさらに細かなミサイルが吐き出される。 「アブねぇなコイツ!」 「こんなふざけたロボットに、やらせはしませんよ」 どれほど搭載したかと言わんばかりの大質量。 リュミエールはワイヤーを引いてメカマシロに肉薄する形で避け、孝平はクリスティーナを庇って直撃を受け、身を崩しかける。 クリスティーナは考えた、マナブーストによる魔力活性はまだ維持している。 メカマシロの装甲も欠落部分が多く見え始めている。 上手く行けばあと一撃――今ならきっと決められるはず! 「回避に自信が無いなら下がりなさいっ!」 運良く急所を外して立ち上がった孝平を始め、メカマシロの近くに居た面々が火線から離れていく。 「おのれ、失敗作だろうがこのままむざむざと壊させはせんぞ!」 無論それを一人と一体が許すわけもなく、誠作は跳びかかり、メカマシロは砲身を向けるも―― 「その大して綺麗でもない顔をフッ飛ばしてやる」 重い衝撃音と共に火花が舞うメカマシロの額。 大きくたわむ体は、長髪を重力に引っ張られるかのように後方へと引っ張られ、加粒子を上空に打ち上げるとその余波が止めとなって、凄まじい衝撃音と共にひっくり返る。 ビルの倒壊を思わせる凄まじい轟音が、現場に響く。 こうなっては立ち上がるのは困難。だが、クリスティーナは最後まで手を抜く事無くスペルを紡ぎ上げる。 「全く懲りないのね。でも――」 「なっ!?」 放たれた炎塊は跳びかかる誠作と横転したメカマシロを容易く飲み込み、轟音と共に地面に着弾! 「自爆だなんてつまらないわ。 正義の味方と相対した悪の狂科学者(マッドサイエンティスト)の最期は何時だって大爆発――」 そうでしょう? そう告げると同時に、メカマシロが炎の中で悶えるように小規模の爆発を起こし始める。 「な、ぬぁんてこった!!」 次第に爆発は頻度を増し、そして―― グオオォーーン…… 轟音と共に立ち上る一本の火柱。 その轟音に、四十男の慟哭が聞こえた気がした。 ●路傍・誠作(42)の主張 「これってまだ使えるのかしら?」 「そのままだと使えないでしょうね。何かしらで加工すればなんとか」 クリスティーナがメカマシロだった物の残骸から掘り出したのは、彼女の背丈ほどある2本の砲塔。 元々加粒子が撃てるようなシロモノではないが、それでも大口径の実弾を発射できる程の耐久性はあり、使いこなせば称号通りの『殲滅砲台』となることだろう。 「はん、今回ので大体はわかったわ。今回はこれぐらいにしてやる」 一方、メカマシロ……もといハイパーマシロンドV1を完膚なきまでに破壊され、恨めしそうにリベリスタを見る誠作はボロボロの白衣を肩にかけ、両手を上げて降伏の意を表したまま事の真相を星龍から説明を受けていた。 「まあ、その年までそういう生き方をしてきた落伍者には、もう社会復帰は無理ですね」 勿論、正鵠を射た発言を尽く言われるおまけ付きだ。 「ぬぐっ! ……言うだけ言うがいいわ」 フレアバーストに巻き込まれ、身につまされるお説教を受けてもそれでもまだ動けているのは、間違いなく彼の身に宿るフェイトの賜物だろう。 「やはり対人関係が苦手でコミュニケーションが上手く取れないから、ロボットにのめり込んでいるのですか?」 「冗談じゃない、そんなコミュ障のジャリと一緒にしないでもらいたい」 そこから一転、誠作が語りだす――が、全文打つとそれだけで1000文字をゆうに超えるので要約するとこうなる。 「古来より巨大兵器や大火力には夢や浪漫があった。若かりし頃は志を共にする同志も多くいたものだ。 ――それが何だ! 最近は小型化だの精密化などでロマンがなってないし、人間に近いロボだといってあれやこれや出している。そんなものは邪道だ邪道!」 一息ついてフンッ、と視線を向ける先に見えるのはモニカ。だが、当の彼女は一瞥すらしない。 良くも悪くも時代に取り残された存在、それが彼の正体と言っていいのだろう。 ――この騒動を三連続も引き起こす段階で十二分に悪しき存在ではあるが。 「確かに判らなくもない……巨大かつ大火力は男のロマンだ」 「おぉ、そうだろう! どうやら貴様らだけは――」 「けどな、これはド直球すぎるダメだろ」 続けざまの言葉に、誠作はずっこける。 「でもいいなー、ロボット」 私も操縦したいなー、いつか開発されないかなーと黒焦げのスクラップと化したメカマシロ……もといハイパーマシロンドV1を眺めるアリステア。 「まずは小型のロボから認めさせて、大型化はそこからでだって遅くはないだろう?」 「…………」 現在の功績は未来への礎となる。そして、望む未来の為にはまず足がかりが必要。 その必要性を、鷲祐は誠作に説いていく。 「ましてあんたには才能がある、その技術を生かして改めてちゃんとしたものを作ればいい。 そしたら、アリステアが乗っても暴走しないようなロボットを生み出す事だってできるはずだ」 名を呼ばれ、目を輝かせて見つめるアリステア。 その輝きは、ロボットに対する期待に満ち溢れている――ように誠作には見て取れた。 (私のロボに、期待している者がいるというのか……!) うむ、うむと何度も頷き、目頭を少し抑え、そして決心したかのように告げる。 「あい分かった、ならば私はこれからも作り続けるぞ! まずは軽微なものから作り、そこから巨大なものにシフトしよう。 私、いや俺様の知性の前にエリューションなど恐るるに足らんわ!!」 「その気概はありがたいのですが、まずはアークまで同行願えませんかね」 ……は? 言うだけ言って逃げる気満々だった誠作がぽかんとする。 「そりゃそうでしょう」 「そうでしょうって、これらはエリューションによる不可抗力であって…… 問答無用。孝平がニッコリと微笑み、それを皮切りに各々が武器を構える。 「って、何をする貴様らー!」 そして、これまでになく迅速かつ厳重に誠作を包囲し、拘束した。 するのではなく、した。たった一行でまとめ上げられる程にリベリスタ達は迅速だった。 「やめろー! 離せー! 私はあんな薄い食事と退屈な部屋で無為な時間を過ごすのは懲り懲りだー!!」 「ホント、懲りない男だョ」 連行される誠作、彼らがどうなったのか語られる日は果たしてあるのだろうか。 あっても無くても、これで彼の引き起こすトンデモメカによる騒ぎは終息を迎えるだろう。 「覚えてろー!」 「覚えていませんから」 「この砲塔、どう使おうかしら?」 「ハラヘッタナー」 おわれ。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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