●植物園 淡く優しい色をしたコスモスが秋風に揺れる。 色とりどりのランタナの絨毯。爽やかなハーブの香り。甘く繊細な花々の香り。 風に舞い踊る赤や黄、橙と鮮やかに紅葉した木々。 はしゃぐ声、睦まじい歓談が青空の下で響く。 そこでは緩やかに、穏やかに時間が過ぎていく―― 陽が落ちて冷たくなってきた風に目を細め、澄んだ紺の空を仰ぐ。 園と紅葉した山を一望できる自慢のロープウェイを止めて点検。 紙面に丁寧にチェックをして、青年従業員の現場での一通りの仕事が終わる。 さて麓に戻るかと歩きだしたとき、くいくいと裾が引かれた。 何かに引っ掛けただろうか――だが振り返っても誰も居ない。 首を傾げれば、もう一度。 「ん?」 ゆっくりと視線を下ろす。二足歩行のうさぎが並んで鼻をひくつかせていた。 ●秋のお誘い 「植物園とか、興味ありますか?」 ブリーフィングルームに誘われ集まってみれば、待ち構えていた『灯心視』西木 敦(nBNE000213)は突如切り出した。 「植物園?」 目を丸めたリベリスタは問いを込めて復唱する。 それに興味を持って貰えたかと新人フォーチュナが身を乗り出す。 「コスモスとかの花も楽しめますし、紅葉も見れますし……」 ロープウェイと、その先にある高台のカフェからは園と山々が一望できる。 高台や散策の道中にあるカフェではケーキ類や軽食、お茶などを楽しめる。 今回は特別に、高台の厨房を借りることも可能だとか。 材料もあるし、何か振舞いたい人がいればということらしい。 ――よくよく聞けばある植物園に虫食い穴が開き、来訪者がやってきたということだった。 「友好的なタイプのアザーバイドで幸いでした」 苦笑を隠さずにリベリスタとフォーチュナは視線を交わす。 アザーバイドの姿を映したとき、一部リベリスタが目を輝かせたのは気のせいだろうか。 「識別名は……『植物園のうさぎ』でどうでしょう」 ネーミングは今考えましたと識別名が雄弁に語る。 並ぶ画像には一切の捻りもなく名の通り。服を着た二足歩行うさぎの姿が5つ、映しだされていた。 「彼らの要求は『人を見たい』。 叶うならば多くの人を、人がどう過ごしているのか、見てみたいということでした」 短期間であれば彼らの滞在は世界に影響を及ぼすほどでもないらしい。 ならば、無害で温厚な要求である。 しかし、やはり存在そのものは複数体のアザーバイド。 ちょこまかとした彼らの捕物は手がかかるのは必至。外には出さずに済ませたい。 一般人の目に触れれば、不思議な兎の話は即座に広まってしまうのは容易に考えられた。 数ある懸念に対して、あらゆる面でリベリスタに任せれば『安全』である。 そして――あわよくば厳しい戦いの日々の息抜きにもなるだろうかと。 あえてそれを言にはせず、植物園のパンフレットを配り終えた敦は笑む。 「皆さんはお好きに過ごしてください。そうすれば、彼らも満足してくれますから」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:彦葉 庵 | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年11月23日(水)22:14 |
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■メイン参加者 0人■ |
■サポート参加者 20人■ | |||||
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● 「――♪」 初めてのロープウェイの中で、ミーノが鼻歌を歌う。 「食虫植物なのです?」 「……これがエリューション化したら、まさか人を」 「そうなるのかしら?」 「ゆっ、指を入れては危ないのだ!」 ニニギアと雷音とマリルの三人がはしゃぐ温室を通り過ぎ。 「桐ぽんはいつもお肉一杯だなぁ」 「肉、多いですか?」 ごく自然な形で手作りお弁当交換をしながら、光が指折り数えるのは桐の弁当の肉料理。 桐はと言えば普段と変わらない表情で小首を傾げただけ。 「仕事で血まみれになることも多いですから、補給はしておかないとは考えていますが」 リベリスタであり戦線の前に立つことも多い二人にとって、紛れもない事実である。 「さらっと言うね、桐ぽん」 のんびりとした空気の中にも身に染みついた戦いの薫りがあった。彼らはそれすら、自然と享受する。 肉料理と会話の合間、キュウリと人参たっぷり野菜サンドを光は頬張り。桐は突き抜けて高い青天を仰ぎ呟く。 「こういうのんびりした時間も大切ですからね」 くつろぐ桐と光のいる芝生エリアを通り過ぎ。 「……そういえば名前、考えたんでしたっけ」 「そう! ぶらっくうさにたれみみうさに、ぴょんきち、のんびりうさ、すぴすぴ!」 名付けに行かないと。再び口一杯に頬張る光の傍ら、桐の口角が僅か上がり微細な変化を覗かせていた。 植物園のロープウェイはリベリスタ達の頭上、空の間近を通り高台へ向かう。 赤に黄に橙に、紅葉した山をゆったりと眺める間もミーノの尾が左右に揺れ心を表す。 がたんと揺れ扉が開いたとき、真っ先に飛び出した。 「れっつごーなの~♪」 ● 「塾のテスト結果が悪かったくらいで怒らなくても良いと思わない?」 どこか遠い目で真歩路は花に語りかける。花は風に揺れるだけで答えはない。 現役受験生の彼女にとっては、たかが塾のテスト、されど一つの受験対策。 分かるからこそ、『うさぎ! もふる!』という意気込みを押し込め参考書を広げているのだが。 ちらり。 「……はっ。い、いけない」 再び参考書に目を向けて数秒。 ちらっ。ちらっ。 (ああぁあ何も頭に入ってこないわ!) 「ほわー! ほんとにもふもふやぁ♪」 彼女の視線の先には植物園のうさぎと、戯れるリベリスタ姿。 「持って帰ったらあかんのかなぁ……うちの図書館のアイドルになりそうなのになぁ♪」 待望の感触に浸り頬を緩める望と手のひらサイズの兎に頬ずりする 「お持ち帰り……」 エーデルワイスの視線の先に何故か落ちていた麻袋にも、呟きにも望は気付かない。 つい夢中になると、周りが見えなくなってしまうものでもふもふ。 何かを思いついたマリルは大きな兎を抱え、こっそりと後ろに隠れた。隠れられていないのはご愛敬。 「ボクはうさもふ王国からやってきたうさもふ王子ですぅ」 雷音とニニギアがぱちりと目を瞬かせる。目配せ。そして頷き合う。 「えーっ、うさぎがしゃべったわ。聞いた、雷音ちゃんっ」 「わ! はじめまして、朱鷺島雷音だ。あ、ライオンといっても君たちを食べることはないのだ」 (にゅっふっふ。作戦通りなのですぅ) マリルは影に隠れているから二人の様子も見えていない。 「うさもふ王子ごきげんようっ」 「!」 ニニギアがうさもふ王子を撫でると、そのままマリルの頭も撫でる。 「そういえばマリルはどこにいったのだろうな?」 「はぅっ!?」 雷音はぎゅうっと後ろから彼女に抱きつく。バレていないと思っていたのに……!? 気紛れにうさもふ王子がマリルの腕から飛び出し、ニニギアと対面したマリルは雷音の腕の中であわあわ。 「あら。マリルちゃん、見つけたわ」 少女たちの愛らしい姿に、二人の優しいお姉さんが少しだけ悪戯にくすくすと笑った。 楽しげで甘い誘惑に耐える真歩路の前を狄龍が通り過ぎる。 「おーい、何か可愛いのはいたかよー?」 「いっぱいいるのー♪」 うさぎ達を中心にしたもふりの輪から、ぴょこりとミーノが顔を出す。 彼女の腕に抱えられたぴょんきちは鼻をひくつかせる。 「でもミーノのしっぽも負けじともふもふしてるのっ」 なぜか燃やされる対抗心。 「もふもふ……ふふ、見境なんてないけんね」 「……う?」 続いて立ちあがった鈴は、キリッと引き締まった表情で瞳をきらりと光らせる。さながら狩人の如く。 視線にミーノのふわふわとした狐尻尾がぴくりと震え――もふもふもふも以下略。 「あー、耳がやわっこくてきもちいいぜー」 その賑わいを聞きながら、狄龍はおっとり垂れ耳うさぎの耳に触れていた。 内心、このもふもふ具合ならあの勢いも仕方ないかと考えながら、ふにふにと頬をつつく。 「お前ら寂しいと死んじまうってのはマジなのか? 俺みてぇだな! うひゃひゃ!」 笑う狄龍におっとりうさぎは擽ったそうに目を閉じた。 輪の外には、うさぎをじっと仁王立ちで見据えるのは鋼児がいた。 (俺みてぇな男が植物園なんざ百も承知だ。だけどよぉ、だけどよぉ! あんなに愛くるしくてもふもふなうさぎさんがいたら行きたくなっちまうんだよぉ! んだよ、あのうさぎは!? 服着てんぞ。おい! 可愛すぎんだろクソッタレがぁ!) 強面で年上に見られがちだが、照れ屋で純真な中学生な彼が、葛藤の末にくわッと目を開く。 (俺みてぇなのが『うさぎたん可愛いモフモフ! はすはす!』 ……とかしてたらよ、普通なら不審者扱いだ。分かってんだよ。 だが今は違ぇ。相手はアザーバイド。で、俺が今いるのは依頼遂行のためだ) 「ハハハ! 最高だ! ケビィイイン! 最高にハイってやつだアアアアアア!」 地面に膝をついてずざぁっと滑り込み、ケビンをもふり抱える。我慢していた分、リミットが外れて全力である。 両耳を折って短い手で抑えたケビンは、続いてもふりの輪に加わったバーを見上げた。 「ケビンというのか」 「ま、まあ、名前勝手に決めて良いって言ってたからな」 「ふむ、そうだな。だが少々味気ない。我輩も名を授けてやろう」 正座の格好で動じる鋼児をさておき、バーがすとんと横に屈む。 奇遇にも同じうさぎを一目見たときから同じ兎をもふると狙いを定めた者同士だ。 「んーと……ひらめいたぞ! 地獄のドナドナだ。感謝せよ」 もふ。お腹のもふにバーの手が沈みこむ。ふわふわ、しかもぬくい。 「じゃあ、あれだな。『地獄のドナドナ』ケビンみてぇな」 「うむ。それも悪くない。強そうだ。そしてかっこいいではないか」 「おう。可愛いよな、うさぎたn……『地獄のドナドナ』ケビンって奴ァよ」 珍しく饒舌な鋼児とバーはうさぎを介して会話が続く。 もちろんもふリストの手は一切、止まらなかった。 俺が兎を可愛がるような人間に見えない? そうかもしれないな。だがそういう気分になってもいいだろう? そう思わないか、そこの堂々と寝ている白いうさぎ君。 「君の名前はミカサだ。どうだ、嬉しいか?」 膝という寝床の主であり、今まで朗々と論じていたアーゼルハイドを白兎の目が見上げる。 彼の手は非常に優しく、ミカサは未だまどろんだまま。 「あの、その子、お隣良いですか?」 紳士然として彼は申し出を受け、真歩路はさっそく指先で額を擽ると再びミカサは顔を上げた。 「あれ、起き……?」 起きたかと思えば、隣の真歩路の膝に転がり込んで再び寝る。 「えっと」 「君はふてぶてしいな。そこが気に入ったとはいえ……」 知性もあるはずだが。何とも言えない。 言葉に詰まった真歩路に代わり、アーゼルハイドの指がミカサの額を小突いた。 ● ――僕は王子様じゃないんだ。 「君の王子様にはなれないけど、友達になれるかな?」 覚悟をしても、涙堪える姿に傷付けた痛みが過る。 傷付けてしまうけれど、せめて誠意を込めて誤解は解かなければならない。 「ごめん。王子様にはなれないけど僕に出来る償いなら何でもするよ」 少女の唇が戦慄く。 「本当のお姫さまを見つけたら二人でずっと幸せになってください」 「乙女ちゃん?」 ありがとうございますと口ずさみ、少女は身を翻した。 「でも今日はいっぱい遊びましょう? お友達です! あ、天使様も!」 涙を忘れたはしゃぎ振りにぎくりと跳ねたユーヌの肩。悠里の口元が緩む。 「いや、待て」 アークに馴染んだかと見に来ればこれだ。悠里に背を向け精神ダメージ発生源とこそこそ話す。 「私は、敵は容赦なく始末するし、罪悪感ないし、悪っぽい集まりに参加してるし。 見た目はともかく、心が綺麗なのもいるからそっちを天使と呼ぶべきだ。だから私を天使と呼……」 はっと気付けば、注がれるきらきらの視線。ユーヌの表情は変わらないが、心なしか頬の引き攣る感覚。 「私を助けてくれましたし、ユーヌ様も羽もすごく綺麗で……でもダメならエンジェr」 「……」 ぽふ、と。無言でユーヌの手が乙女の口を塞ぐ。これ以上は羞恥心のライフがマイナスになる。 「説得は失敗みたい?」 黒い瞳がむすりと悠里を睨み。かくして今夜、彼女は枕に顔を埋め足をバタつかせ羞恥心と戦うことになる。 ● 「敦くん! あったですよ!」 その声に万葉と壱也が目で促すと花束を抱えた敦は二人に軽く頭を下げ、手を挙げる天火の元へ駆けていく。 それを二人見送りながら花束を贈った万葉は、口元を抑えていた壱也に釘をさすのも忘れない。 「もちろん他意はありませんのでご心配なく」 天真爛漫な笑みで天火はじゃんっと万寿菊を示す。 「天火さんの誕生花で、花言葉は信頼。フォーチュナになった敦くんに贈るのです。お花は植物園のものなので、花言葉のみですけれど。えへへ」 歓迎の代わりに、一緒に頑張りたい気持を込めてと、少女ははにかむ。 「フォーチュナさんは必要で大切だけど、辛いお役目だと思ってるです。でも、どんな未来を視ても、天火さん達がツライを減らすですよ」 軽やかでしなやかな強さを秘めた言葉に、瞬く。 「さ! うさぎ、もふりにいこっ! アザーバイドって言っても大丈夫! あ、花も見なきゃ」 色とりどりの花が咲き誇る中、敦はわたわたとリベリスタの先輩二人に先導される。 「これから大変なこともいっぱいあるけど、一緒に頑張ろうね」 「一緒に?」 振り返る壱也の背で万寿菊が揺れた。 「戦場に出るだけがリベリスタじゃないの! 西木くんがついててくれると、心強いよっ!」 ばしっ! 背に一発渇を入れ、壱也が天火と共に先駆ける。 「改めて、これから君は数多の失意、絶望、暴威をその力で見ると思います。打ちひしがれる事もあるでしょう」 敦は背を擦りながら危機に瀕する旅に聞いた万葉の声に耳を傾けた。 「ですが希望も見えるはずですし、それを実行する為に私達が居ます。いかに厳しい現実が見えようと跪く事無く私達に任を与えてくれる事を願います。……そして私はどんな事であれ君を否定しない事を誓いましょう」 花束の中で咲くおことえしは敦の誕生花であり、万葉のある願いをもって加えられた。 「花言葉は野性味だそうです。折れる事無く強くなられることを願って」 詰まった声で、三度目の感謝の言葉を口にした。 「ふふふ、皆さんいい時期に来たのです! この国には干支というものがあるのです。そしてなんと、今年は兎が主役なのです! すごいのですよ!」 どんと胸を張った天火に追いついた万葉が呟く。 「そういえばもう年の瀬も近いですね」 「来年の干支は辰だねー!」 「う? らいねん?」 元気のいい壱也の声にフリーズする天火。 「……えっ?」 「え?」 かくり、首を傾げあう。 「来年、うさぎじゃないです?」 どうやら天火から『干支は年々巡る』ことが抜け落ちているらしい。 「お茶を飲みながら話しましょうか」 「あ! はいっ。ミーノのとくせーたっぷり生クリームケーキなの~」 「あら、皆で一緒におやつの時間?」 生クリームケーキに、ニニギアのおやつ入りバスケットが並んだ。 賑わいにつられて皆が集い出し、その中央で先生達による干支講義が始まる。 「ん? ミカサ・ねこちゃんは何処だ?」 真歩路案の名前も取り入れ命名した白兎は見渡しても見当たらず。 首を捻りつつ、また女子の膝かとアーゼルハイドは踵を返した。 一方、入り口ゲート。 「え? この袋の中身? ……桃子様への供物です、妖しくないないですよ?」 エーデルワイスの担いだ麻袋は怪しすぎて、従業員に引き留められていた。 「ダメですよ、アザーバイドなんですから」 お約束である。 「くそー、あと十歩だったのに……。我が神よ、力及ばず申し訳ないのです……」 エーデルワイスはその場でがくりと膝をつき項垂れる。 麻袋から出てくるのはまっ白な兎と、やんちゃなぴょんきち。 なんだか重いと思ったらと、彼女をさらに項垂れさせる。 「あははっ。面白い人ですね。まあ、兎より梅とか桃なお土産の方がいいんじゃ?」 「はっ! 贄モフの代わりと言ってはなんですが、それもありですね! たぶん!」 「贄モフってコイツ……あれ?」 従業員が振り返ったときにエーデルワイスの姿は遠く、土産屋に突入していた。 ● 「さあ、向こう側へそろそろ帰る時だ。 あまり不用意に迷い込むんじゃないぞ?」 「でも、また遊びに来るんやでっ♪」 見送りに忠告を添えたアーゼルハイドの背から、顔を出した望が笑い手を振った。 沈みかけの夕陽を背景に短い手を振り返し、彼らは世界に帰って行く。 ● 夜の帳が落ちて、植物園が静寂に包まれたころ。 (こんな話、誰にもできないな) 快は一人、芝生の上に寝転がり月を見上げていた。 (俺は偶然エリューション事件に巻き込まれたことがきっかけで覚醒して、アークに所属することになって) ひとつの始まり。それから、多分これまでのリベリスタとしての人生は順風満帆。偶然でも得た力を最大限に活用している。慕ってくれている人も少なからずいると思うし、そう思える人達がいるのだから。 (そして俺は、この道を進むと決めている) 揺らがない心がある。 けれど、それはあくまで『現在の実績』あってこそではないかと陰る。風が体温を奪い、背筋が震えた。 巻かれた塵に反射で目を細めれば月は朧に、まるで見えない運命とその残数に重なる。 (もし、リベリスタとして無能の烙印を押されたら、俺はどこに行くんだろう) 『フィクサード』? 『ノーフェイス』? 渦巻くこれまでの達成感。これからへの使命感。隣り合う仮定の恐怖感。 不意に、土産を買い込んでいたエーデルワイスに月光が遮られる。 「そろそろ戻らないと捜索隊が来ますよ?」 「まさか」 彼女の示す先には悠里とユーヌの姿。 軽くなった腰を上げた快は芝生を払い、迎えに来た仲間達に笑う。 「悪い、待たせたな」 後日、桐の撮った写真――各人のその日一番の表情を捉えた写真――が、リベリスタ達の手元に届く。 彼らの過ごす戦いの中の、ひとときの標として。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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