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揺れる天秤

 とりあえず、金城 穣太郎(かなぎ じょうたろう)は日々を無気力に生きる自宅警備員に近いフリーターだった。
 そんな彼だったが、どんな因果を持ってしてそうなったのかさっぱり理解が出来ないが、世界の神秘に近いフェイトを取得して革醒してしまったことは事実で、その力をどうしたらいいのかもさっぱり分からず、結局自宅警備員をしている日数が増えただけだった。
「はぁ…」
 鏡の前でため息をつく彼の姿は、いわゆる萌えっ子と呼んでも差し支えないもので、散々童顔だの女顔だのといじめられた記憶だけがぼんやりと蘇る。
「どうしてこんな……」
 彼にとって、リベリスタという存在もフィクサードという存在も知るはずが無く、突然頭に生えたケモミミをもてあますばかり。
 はまったネトゲが悪かったのか、ノートにケモ娘ばかりを描いていたのが悪かったのか、それは分からない。
 父親からはそんなカチューシャさっさと外せと怒鳴られ、母親からはとうとう本格的な引き篭もりになってしまったと泣かれ、もうほんと何が何だか。
 そうして、穣太郎は今日もまた自宅警備員として過ごしていくのだった。



●本部にて


「凄く不確定な未来なのだけど」
 フォーチュナの『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、リベリスタたちを前にして相変わらずの無表情で告げる。
「自宅警備員がフィクサードになるのを止めてほしいの」
 誰もが一瞬言葉を失い、眼を点にしてイヴを見返した。
「彼は、このままだと流されてフィクサードになってしまう。その前に、止めたい」
 要するに、その彼がフィクサードになるきっかけが訪れる前に出向き、リベリスタにしろと、イヴは言っている。
「あなた達に与えられる期間は後3日。3日以内に彼を説得して、ここへ連れてきて」
 誰もが何故? と、首を傾げる。
「その期間を過ぎてしまったら、不確定が確定になって、家が崩壊する」
 そんなにその彼が心配なのかと思わせるほど落ち込んで見えるイヴに、誰もが心配そうな眼差しを向けるのだった。





■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:紺藤 碧  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年04月17日(日)01:28
●ゲスト情報
革醒でビーストハーフになってしまった青年、金城 穣太郎(かなぎ じょうたろう)をリベリスタになるよう説得というか、引き込むというか、流してほしいという話です。
彼はとにかく流され易い性格をしていて、自分の興味が沸くまで流され続けるという超うざったい青年です。
見た目だけは、童顔で女顔のため、年齢と性別に反比例してとても“可愛らしい”です。この点はどうでもいい情報かもしれません。使いようといったところでしょうか。
穣太郎にとって男らしい存在は敵です。似たような男性には超好意を持ちます。
女性の好みはどちらかというと年下派です。

●その他
3日以内に、会って、話して、連れてきてください。
リベリスタについて説明する必要はありません。
同様にフィクサードについても説明する必要はありません。
流すために重要な点はそういった違いではないということです。
話す内容について言及しませんが、嘘はダメです。

ネタっぽい感じで捉えてもらって大丈夫ですが、運命の4日目はこの結果によって変わってきますので、よろしくお願いします。


参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
覇界闘士
テテロ ミーノ(BNE000011)
デュランダル
宮部乃宮 朱子(BNE000136)
ホーリーメイガス
クォンタム・ディ・トープ(BNE000475)
ホーリーメイガス
臼間井 美月(BNE001362)
インヤンマスター
神喰 しぐれ(BNE001394)
覇界闘士
★MVP
神代 凪(BNE001401)
クロスイージス
ラインハルト・フォン・クリストフ(BNE001635)
デュランダル
緋袴 雅(BNE001966)

●1日目

 目的の金城 穣太郎の家から少し離れた場所で、『祈人』クォンタム・ディ・トープ(BNE000475)が、『シャーマニックプリンセス』緋袴 雅(BNE001966)に、おろおろした口調で今回の依頼の導入となるアレを持ってきたか尋ねる。
「ああ、書いてきた」
 雅がピシッと取り出したのは、1通の手紙。
 内容は、
『ケモノミミの秘密を知ってます。相談に乗ります。
 今夜9時にこの携帯番号×××-××××-××××へ電話して下さい。
 天使』
 といった簡素なもの。
 だが、内容は簡素でも、その文字は可愛らしく丸っこい女文字でファンシーな封筒だ。しかし、これを書いた当の本人は女装した20代男子。
 そもそも差出人が、天使な時点で妖しさ満載だが、直接最初に対面する予定のクォンタムがフライエンジェで天使みたいな容姿なのだから間違いはどこにもない。
「あとは~、写真なの~」
 雅が取り出した手紙を横からひょいっと取って、『食欲&お昼寝魔人』テテロ ミーノ(BNE000011)と、神代 凪(BNE001401)は、ビーストハーフたる自分達の耳や尻尾が映っている水着の写真をそれぞれ入れる。
 情報では、彼もケモミミでそういう趣味があるようなので、効果は高いと判断した。
 そして、封を完了した手紙を、『イージスの盾』ラインハルト・フォン・クリストフ(BNE001635)に託す。
 手紙を直接郵便受けに入れるため駆けて行ったラインハルトの背中を見つめ、『From dreamland』臼間井 美月(BNE001362)はファミリアーのスキルで五感共有するペットのハツカネズミを穣太郎宅に忍び込ませる。
 手紙を郵便受けに入れようとしたラインハルトは、まだ取り出していない手紙が無いか隙間から確認。住んでいる人の名前まで出してしまうのは防犯上よろしくないとメタ的な最近のテレビでも言っていたし、表札にはもちろん苗字しか書かれていない。
 彼女がこんなことをする理由は1つ。家主の名前さえ分かれば、地域の総合電話帳や電話会社の番号検索サービスを受けられるため。
 何通か手紙が入っていることを確認すると、きょろきょろと辺りを確認して、取り出し口から手紙を素早く出し、家主の名前と思われるものを記憶して、郵便受けに戻す。
 そして、一番上に自分達の手紙を置いた。
「お手紙、見てもらえると、いいですね」
 その様子を見つめ、もじもじっと俯き気味にクォンタムが言う。
「こればっかりは、祈るしかないよね」
 自分の水着写真まで提供したのだから、逆に見てもらわなければ困る――とまでは思ってないだろうが、無駄にはされなくない凪。
 第一任務完了と、軽い駆け足で戻ってくるラインハルト。
「美月さんは、目的を達したでありますか?」
「ああ、僕の方もばっちりだ。よく見えるよ」
 たたた……と、家の中を走るハツカネズミの低い視界が美月に送られてくる。
 さてさて、現在の穣太郎はいったい何をしているのか。


●1日目・夜
 美月のハツカネズミによって穣太郎の部屋に位置を知ったクォンタムは、雅と共に金城家の前まで着ていた。
 雅は窓を開けた穣太郎に気付かれない場所に、レンタルしておいたワゴン車を停め、中からこっそりと様子を伺う。
 手には穣太郎に番号を教えた携帯電話が握られ、いつかかってきてもいいようにスタンバイ済みだ。
 デジタル時計が約束の9時を示す。
(着た……)
 掌に感じたバイブの揺れ。
 雅は着信ボタンを押した。
『あの、秘密知ってるって……』
 自分も女声という自覚がある雅。なんか、彼、ものすっごく仲間じゃない? いや、そんなことはいいとして、雅は電話口に囁く。
「窓の外を見てね。天使がお迎えに来てるから」
『はぁ……』
 あまりにもやる気の無い電話に、雅は目を細める。そして、電話を切ると、手に入れた穣太郎の携帯番号を仲間内に回し、車の窓から外を見遣った。丁度、クォンタムが窓をコンコンと叩く姿が目に入る。
 ガラッとあいた窓に、クォンタムは一瞬びくっとするが、直ぐに気を取り直して、開いた窓の向こうの穣太郎に、わざとばさばさと音を出して羽を動かす。もちろん、夜とはいえ人通りがゼロとは言い切れないので、辺りに結界を張り済みだ。
「こ、こんばん、はっ。あの、お手紙だしたもの、ですっ」
 家の中だと言うのに、窓を開けるからだろうか、穣太郎はフードを目深く被っており、そこからしてもう容姿に対してのコンプレックスを感じる。
「ケモ耳に、ついて、お話が、ありまして、ですね」
「迎えって言うと、あれですか?」
 確かに迎えに来た事は確かだが、何故だろう、穣太郎の『迎え』と自分たちが行おうとしている『迎え』に、どうしてもずれを感じる。
「……ん、まぁいいです」
 ちょっぴりシーン――……
 はっと気を取り直したクォンタムはわたわたと告げるべき言葉を続ける。
「同じ境遇の、ケモ耳さん、を、近くの公園、におよびしています、ので、来て下さると、うれしいのです、がー」
「はぁ」
 どうにも気の無い返事。答えによっては初コンタクトから失敗ということになってしまう。クォンタムの心情はハラハラだ。
「来ていただければ、ぜんぶ、知りたいこと、わかると、思います、よー」
 だいじょうぶですよーと語りかけながらも、状況の進展を待っていると、ガラッと突然窓が閉まる。
(はうっ……しっぱい、です??)
 クォンタムが道路に降り、雅が待つ車へ向かおうとすると、玄関が静かに開いた。
 信頼してくれたのか、流されているのかよく分からないが、穣太郎は嘘みたいな素直さでクォンタムと雅と共に、近くの公園まで来てくれた。
 公園で予め待っていたメンバーの中から、眼鏡の少女が一歩、歩み出る。
「……とりあえず。改めて自己紹介……しようか。私は鳳……朱子」
 相手の名前を知っているのに、自分達が名乗らないのはフェアではないと、『消えない火』鳳 朱子(BNE000136)が自己紹介をしたのを切欠に、それぞれが名前を名乗る。
「私たちと穣太郎さんが同類なのは……お察しの通りだけど。自分の体に凄い力が宿ってるのには気付いて……いる? 私たちはその力をやましい事に使わないようにと話しに……来た」
「同類?」
 どう見ても、穣太郎は朱子の姿を失礼にも上から下まで見て、怪訝そうに口元を歪める。というか、凄い力云々よりも、同類かどうかという方に重きが置かれていることに苦笑せずにはいられない。
「ケモミミは狭義的な分類で、広義的にはリベリスタと言うんだよ」
 途中、雅が助け舟を出しつつ、まずは革醒してしまった存在としての話と、立ち位置から説明をするというのはやはり必要だろうと、朱子がその違いを話す。
 内容的には、自分達のように世の為に力を使えば、楽しく給料も出て将来安泰だが、やましいことに使うと、心根も暗くなって、無職で親を泣かせ友人もいなくなる。
 そして、最悪――死ぬ。
 死ぬという言葉に現実味は無いが、今の段階でもう親を泣かせて無職の穣太郎。
 どよーんと、一気に暗雲を背負ったような錯覚。
「……大変そうに聞こえるかもしれないけど。意外と色々……ゆるい」
 何せ、こんな穣太郎みたいな男を仲間にしてこいという仕事があるくらいなのだし。
 穣太郎は暫く考え、無駄に可愛らしく小首を傾げた。
「……新手の就職詐欺?」
 うわぁ……。
 流石に朱子も固まる。
「違うの~。ミーノたちと一緒に来れば、お給料も出るし、お菓子も食べ放題なんだよ~♪」
 ひょいっと手を上げて明るく宣言したミーノに、フードから見える穣太郎の口元が明らかに綻んだ。
「突然こんなこと言われて混乱したと思う。今日はじっくり考えて、明日夜、ここで待ってるから答えを出して欲しいんだ」
 これ以上は、何かを話してもダメかもしれないと察した雅は、それだけ告げて、穣太郎をこのまま解放した。


●2日目
 フィクサードになる可能性があるということは、その存在が穣太郎に関わろうとしているのかもしれない。
 そう考えたラインハルトは、昨日の調査で手に入れた電話番号などを元に、穣太郎のアルバイト先などに電話をして、彼を調べている人間が居なかったかどうか確認する。
 正直、調べていた人間が居たとしても、それがフィクサードかどうかは確認のしようもないが、何かしらの手がかりにはなるだろう。
 穣太郎が、どんな経緯でフィクサードになるのか分からない以上、念には念を入れるに越したことはない。
 が、手に入れられた情報は、特に調べに来た人間は居なかったというものと、他と比べて仲が良いバイト仲間の女性が居たということくらいだった。
 一方穣太郎宅では、円滑に公園へと来てもらうために、アピール作戦開始である。
 ミーノに対して見せた表情からして、情報どおりケモ娘に弱い。
 ビーストハーフの面々、具体的には『白面黒毛』神喰 しぐれ(BNE001394)と美月と凪が立つ。
 美月のハツカネズミによって、部屋に篭っている事は分かっているため、手に入れた携帯番号を使って、窓から外を見てほしいと直接告げ、窓際に来た穣太郎に向けて、耳や尻尾を動かしてみる。
「!!?」
 突然、美月の表情が変わる。
 ファミリアーで伝わった視覚情報。それは、窓から離れた穣太郎が、フードを外し自分の耳を確かめた姿だった。


●2日目・夜
 他の調査に行っていたメンバーも含め、公園に全員集まる。
 暫くすると、フードを被った誰かが近づいてくるのに気が付いた。
「よく来たのじゃ!」
 ケモミミに膨らんだフード穣太郎に向けて、しぐれはにっと笑う。
「待ってるって、言われたし」
「なに、おぬしが獣耳を得たということは、選ばれたと言う事なのじゃ! 恥じる事はないのじゃ!」
「はぁ……」
 自信満々で告げたしぐれに言葉にも、穣太郎は気の抜けた返事。
「とはいえ、おぬしの悩みも分かるのじゃ。普通の人に見られれば変な目で見られかねないからのぅ」
「そう。戸惑っているのは分かるよ、僕も同じだしね」
 美月は自分のネズミの耳を指差す。
「お兄さんも、突然ケモ耳がはえてたんだよね? 私も同じ。寝て起きたらタヌキの耳がはえてたの」
 昨日の段階で顔合わせは済んでいるため、凪が一歩穣太郎に歩み寄り、告げる。
「君たちは、その耳どうしてる?」
 穣太郎からの質問に、誰もが内心ぐっと拳を握り締める。
「わらわたちは幻視というものを覚えているのじゃ! 今ならわらわたちについてくればやり方を教えてやれるのじゃー!」
「そうだよ~。幻視を覚えれば、普通の生活ができるよ~穣太郎ちゃんもみんなと同じ普通の生活が出来るよ~」
「人の目を気にしなくて済むようになるよ」
 しぐれとミーノと凪が一緒になって幻視アピール。
「それに、幻視だけではありません」
 ラインハルトは穣太郎の目の前で、自分のアクセス・ファンタズムから鎧を出してみせる。
「例えばこうした道具の出し入れが出来る様になるであります。色々隠すのに便利でありますよ」
 ラインハルトの一生懸命さちょっと可愛い。
 いや、それは置いといて、生活より何より、父親の激昂と、母親の号泣は収まりそうだ。
 ぶっちゃけ、リベリスタという存在に興味はないが、待遇には興味が沸く。
「君たちに着いていって、その幻視とかを覚えれば、家に居ても給料が入る?」
「そういう細かいことは偉い人に聞くのじゃ」
 えっへんと胸を張って答えたしぐれに続けるように、美月が穣太郎のケモミミを指差して答える。
「ゲームに例えて言うと、冒険者ギルド的な組織があるんだ」
 新規対応、人生相談、等等。そして、最たる特徴は力を悪用する存在の討伐が許されていること。
「……犯罪者が駆逐されるのは同じな訳さ。……逆に言えば、ウチに所属して居れば悪人として退治される事はまず無いと思うよ」
「だから昨日、死ぬって」
 言われたことを完全に聞き流していたわけではないようだ。
「そんなわけで、とりあえず、わらわについてくれば問題ないのじゃ!」
 言葉と同時にこそーっと無駄に威風を発揮してみせるしぐれ。
「一緒に来てくれれば、同じようにいきなり変化しちゃった人が一杯いるから安心だよ」
 うんうんと、同意するように頷く凪。

「というか耳は……まだいい方」

 熱心な勧誘を続けるケモミミメンバーに混ざって、ポツンと発せられた言葉に、全員の視線が言葉の主へと注ぎ込まれる。
「私なんか腕が……これ。……背中も。ベッドに倒れ込むと……穴が開く。携帯のボタンとか……押しにくいし。……何より体重が。増えたどころの騒ぎじゃ……ない。……正直泣きたい」
 哀愁を背負い、あまりにも淡々と告げた朱子の姿を見て、その場に生ぬる~い沈黙の風が吹き抜ける。
『すいませんでした』
 思わず一同、礼。
 なんと言葉を返していいものか、ふっと本当に微かに口元だけ諦めたように笑う朱子と比べたら、自分の悩みなど小さなものに思えてくる不思議。
 美月は、気を取り直すように、ふぅっと一息ついて、穣太郎に視線を戻す。
「ともかく、損はさせない。詳しい話を聞きに一度本部に来てはくりぇりゃいかな?」
「そこで咬まなきゃ、かっこよかったのに……」
「むぅ」
 憐憫漂う視線を受けて、軽く凹む美月であった。
「お兄さん。一緒に来て、くれるよね?」
 じっと、凪はフードの端からその瞳を覗き込む。
「…………………」


 落ちた。



●最終日
 迎えに行くと約束していた時間。
 一同を乗せたワゴン車を、門扉前に横付けする。
 そして、やっぱりフードの穣太郎を乗せて、いざ三高平市アーク本部へ。
「そのフード、鬱陶しいのじゃ!」
 穣太郎の後部座席に座っていたしぐれが、ぐわしっと後からフードを取り去る。
「……やめっ!」
 山吹色のちょっと丸っこいネコミミ?? を隠そうと手で押さえたまん丸お目目の半泣き青年に、思わず言葉がどこかへ飛んでいく。
「だ、大丈夫であります! 今は、穣太郎さんみたいな男の人は沢山いるでありますよ」
 雅さんとか。と、ナチュラルに発せられたラインハルトの言葉に、車を運転する雅本人は苦笑する。
「おぬし、いくつなのじゃ?」
 しぐれのそんな屈託の無い問いに、紅茶やお茶菓子を皆に配るクォンタムに軽くお礼を述べてから、穣太郎は小さく答えた。
「……………28」
 確かに、親泣くかもなぁ。
「気にすること無いよ。外見年齢が止まる種族もいるくらいだ。本当に、珍しいことじゃない」
 運転しているため、ルームミラーで穣太郎を一度見遣り、ふっと笑って告げた雅の言葉は、同じタイプであるためか、妙に説得力がある。
 ぐいっと身を乗り出したミーノも、にっこりと穣太郎に笑いかける。
「穣太郎ちゃんも、お仲間になったし、いつでもミーノのところに遊びに来てね、美味しいお店しってるの~。一緒にスイーツめぐりとかしようね、なの~」
「あ、うん」
 つられて、穣太郎もほわっと微笑んだ。

 アーク本部は、もう直ぐである。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
ご参加ありがとうございます。
皆さんの説得と、驚きのビーストハーフ率のおかげで強制連行や4日目に突入せずに済みました。
というか、参加者の半分がビーストハーフ年下女子な段階で完全に外堀埋められてる状態だったかと(笑)
ほわわーんとした感じで読んでもらえたらと思います。

当方このヘタレ穣太郎が結構気に入っているので、また皆様にお会いできたら大変嬉しいです。