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大御堂重工の一日・4
種別: 全角200文字、改行無し    レス:500件

(ID:BNE000609)
大御堂 彩花

2011/02/06(日) 22:39:46 
●大御堂重工の午後・1
「オーウェン様が逃げました」
開口一番、モニカが告げた言葉はその一言のみ。
「……は?」
書類に目を通していた彩花の顔が、本日何度目かの素っ頓狂な表情に染まる。
「私が地下に行った頃には既にいなかったのよ。で、こんな書置きが残されていて……」
まるで説明責任を担うつもりの無いバカメイドに代わってミュゼーヌが事情を説明し始める。
午後からオーウェンが忽然と姿を消した事。
書き置きが残されており、そこには『自分探しの旅に出る故、探さないで頂きたい』という文章と、ご丁寧に逃亡先を記した地図が書き記されていた。
「これはボク達への挑戦状だね!? きっと! あのオジサンなんか怪盗っぽいし、間違いないよ!」
「あのおっさんも中々面白い事やるねぇ~。最初会った時はとんだ堅物だと思ってたどさ」
何か勘違いしつつやる気満々のせいると、面白半分どころかオール面白気分で首突っ込む気満々のシルキィ。
「道理で俺がいくら叫んでも助けに来ないわけだ……」
突っ込みたいが、シルキィに散々ヤられて既に突っ込む気力も無いらしい慎也。
「それにしても……この地図、本当のご自分が随分お傍にいらっしゃったのですね……」
「はは、まさか。そう簡単にはゆかぬでござるよ。男とは人生、一生をかけて本当の己を探すものでござる」
そして、何処かズレた会話を繰り広げるフライエンジェのコンビ。
「皆さん、惚けた事を言ってる場合ではありませんわ!!」
そんな呑気な社員を一喝する彩花。
「勤務中の無断失踪など言語道断! 一刻も早くとっ捕まえてしょっ引いて差し上げますわ!」
バッと勢い良く立ち上がり、グッと握り拳の彩花様。
「一番ズレているのはこの人ですね」
モニカの皮肉は彩花の一方的な熱意にあっさりと流された。

一同が指定場所――三高平の港湾部の倉庫街へ到着する。
ここであればある程度の大立ち回りも問題無いというオーウェンの計画的行動だろう。
「暴れる気満々ね、あの人。確かにここでなら問題は無さそうだけれど」
「オーウェンさんって、真面目なのか不真面目なのかよく解らなくなる時がありますわね……」
「まるで私ですね」
「不真面目100%がどの面下げて言うのよ」
スターサジタリー2名を率いるは代表取締の大御堂彩花。
「余興とはいえこの街では初の実戦でござるか。腕が鳴るでござるよ」
「お気を付けて……お怪我をなさった時は私がちゃんと治療しますので……」
「ボクも腕が鳴るよ! 犯人は必ず探し当て――って、犯人はオーウェンなんだよね。んじゃ捕まえるだけか。探偵の出番としてはちょっと物足りないかも?」
戦力的には兎も角、他の意味でなんだか物凄く不安なフライエンジェ&ビーストハーフのトリオ。
「何でこの組み合わせなのーッ!?」
「解らんかい慎也。これも愛ゆえにだよ、愛!!」
そしてもはやお約束と化したこの二人。
計8名が大御堂重工に反旗を翻した(という事に彩花の脳内ではなっている)オーウェン追撃隊の面々である。

「あわわわわわっ!?」
倉庫街を失踪していたせいるが突如、足元を滑らせ盛大に体勢を崩す。
「せいるさん!?」
「油責めでござるか。意外と古風な手口でござるな」
せいるの後方に続いていたシエルと頼義の身体は宙に浮かんでいた。彼らフライエンジェの特性である飛行能力だ。
「な、なんのっ! 名探偵の!」
堪えていた体勢を敢えて勢いに任せ回転。
「追跡はっ!」
そのまま宙返り。
「こんな程度じゃっ!!」
今度は両手両足を地面に付けて四足動物の如く着地。手がヌメヌメするのは我慢。
「振り切れるもんかーっ!!」
オイルトラップの範囲外まで滑り込み、手足の油を振り払いつつ屋根へと昇るせいる。
超人的な身体能力を誇るビーストハーフならではの荒業である。
「あわわ……あ、あまり無理はなさらないでくださいね……?」
「ほう。凄まじい体術でござるな……あれに当てるのは拙者も難儀しそうでござるよ」
心配顔のシエルと、武人として興味津々な頼義であった。

一方、いつもの二人は別のトラップに嵌っていた。
「お、おいシルキィさん! あんたさっき煙の中でも動けてただろ! 早く追えっ!」
「無理! オーウェンに対しては愛がないから見えない!」
通路のど真ん中に無造作に置かれていたバッグに、小麦粉とガスが仕込んであったのだ。
視界が悪い上、散らばった小麦粉に目をやられたせいで目前まで追い詰めながら見事に足止めを喰らっていた。
二人の目前にいたオーウェンが飄々と涼しげな顔で解説をはじめる。
「これはだな。空気中に充満している粒子により光の折射が……っと、講義の時間ではない。逃げなければな」
思わず職業病が出そうになったオーウェン。咄嗟に今の立場を思い出し我に返り逃走再開。
「こんなもんに効くか分からないけど、やってみる! ブレイクフィアー!」
状態異常を解消するブレイクフィアーを放つ慎也。
さすがに視界の悪さは変わらないが、おかげで小麦粉にやられた目は回復した。
「よくやった慎也! やればできる子! 喰らえぇぇぇぇっ、ハイアンドロー!」
身体中から蒸気をまき散らしつつ突進するシルキィ。
そして一撃必殺のハイアンドロー。オーラの爆弾がオーウェンを襲う。
「ちぃッ!!」
咄嗟にトラップネストを放ち、爆弾を弾くオーウェン。
そしてハイアンドローの爆発。辺りを再び舞い散る小麦粉。
「予測を上回る動きだ。ここは痛み分け……といったところか」
相変わらず冷静ながらも、若干動揺の色を見せ始めたオーウェンが辛くも逃げ切りこの一勝負は幕を閉じた。
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