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大御堂重工の一日・3
種別: 全角200文字、改行無し    レス:500件

(ID:BNE000609)
大御堂 彩花

2011/02/06(日) 22:39:22 
●彩花の日常・3
「御免なさいね、突然お邪魔してしまって」
2階応接室。彩花が対面していたのは馴染みの顧客にして友人、公私にわたり親交の深いミュゼーヌ・三条寺だ。
「それで本日はどういった御用件で? 先日の特注銃についてはもう暫く掛かりそうですが……」
「ええ。それに関してはお任せしているから心配していないわ。今日はモニカさんにご意見を伺おうと思って。同じスターサジタリーとしてね」
「モニカに……ですか? まあ、確かに一応は仮にも同系統のクラスと言えなくもないですけれど」
「物凄く不本意そうな物良いですね。それ」
ぬっと背後から気配も纏わずに唐突に現れるモニカ。敏腕メイドは見ていた。
「ええ、全く以て不本意ながら真性ダメイドの貴女に何と御用があるのだそうよ。さっさとご案内なさい」
「ウチのクソったれお嬢様よりも断然素晴らしいミュゼーヌお嬢様のご来訪は歓迎するのですが、現在下は作業中でして。休憩をはさんで午後からでよろしいですか?」
一触即発の雰囲気な主従関係。いかにも現代サブカルチャー的な斬新過ぎる新ジャンルだ。
「えっと……私、今日はお邪魔だったかしら?」
いえいえ気にしないでくださいミュゼーヌさん。大御堂家ではよくあること。
「それでは午後からモニカに任せますので。よろしかったら、それまではお茶でもご一緒しません?」
「あら、わざわざ悪いわね……それじゃあお言葉に甘えようかしら?」
にこりと笑顔を浮かべるミュゼーヌ。実際のところ、来た目的の半分は彩花とのお茶会にあったりなかったり。
「それでは早速用意させますわね……モニカ?」
「あ、何ですか」
「……」
「……」
流れる沈黙。
「……言うに事欠いて、この流れで『何ですか』と来たわね」
「ですから何ですか」
「あなた一応女中でしょう。この展開でやる事ぐらい解っていないわけがないでしょう。悪ふざけも大概にしなさい」
「ああ、ひょっとしてお飲み物ですか。なら冷蔵庫に麦茶の作り置きがありますよ」
「…………」
客人の前でも変わらず傍若無人なバカメイドに頭を抱える彩花。
私はいいのよ、と苦笑いを浮かべるミュゼーヌ。

で、何だかんだできっちり珈琲を持参するモニカ。
「お待たせいたしました。急ごしらえで粗末なものですが」
「御苦労様。やればできるんじゃない」
「それほどでもあります。とっておきを使いましたよ」
「ありがとうモニカさん。それじゃあ頂くわね」
こうして始まるひとときの淑女のお茶会。関係ないけど珈琲でお茶会って何かおかしいなとモニカが内心思った。
「ふう……昼下がりにこうして堪能するお茶会は格別ですわね……」
ドヤ顔で芳香な香りを堪能する彩花。だがそこに罠が仕込まれていた。
「まあただの缶コーヒーなんですけどね。二週間前の」
「ぶふぉっ!?」
一転、ひどい有様でむせ返る彩花。ゲホゲホと咳を起こしながら恨めしげな視線をモニカに投げかける。
「ですから、とっておきって言ったじゃないですか」
「とっておきの意味が違うでしょっ……!」
モニカの嫌がらせを食らい、なんだかんだで自分も客人への対応を忘れかけている彩花をよそに、ミュゼーヌは口に付けた珈琲の味を堪能していた。
(とりあえず、私のはきちんとした上物よね。これ)
なんだかんだで敏腕メイドのモニカさん。『客人には』粗相の無い対応であった。


●モニカの日常・3
クソったれなお転婆猫被りムッツリスケベ黒ストしまぱんお嬢様の彩花に命じられ、モニカはミュゼーヌを地下へと案内中していた。
「こちらが試験場になります。思う存分打ち放題です」
「地下にこんな設備があったのね……よければ私も試射していって構わないかしら?」
「ええ、既に許可は下ろさせて頂いておりますので」
ミュゼーヌの要求しっかり予測していたモニカ。やればできる子。従う子。
だが大御堂彩花、テメーは駄目だ。
「私も銃器の準備をしてまりいます。しばしお時間を頂きますので、それまでご自由にお楽しみください」
一礼してその場を去るモニカ。
残されたミュゼーヌは標的の位置に向き直り、愛用の中折れ式リボルバーを構える。
「実戦までに少しでも腕を磨いておかないとね」
標的が表示された瞬間、弾丸の弾道と銃音が空間を射抜いた。

……と同時に、射撃場のドアが激しく開け放たれる。
気配は二つ。ドタバタとした足取り。姿は深い霧のようなものに包まれて確認できないが、ミュゼーヌは直感的にモニカではないと察した。
「た、た、たったった、助けてぇー!!」
「いい加減観念しろって慎也ぁー! あたいは修理屋だぞぉ? 修理させろー!」
「俺はいいから自分のアタマ修理して下さい! 切実に!!」
「……貴方達、何やってるの?」
「「あ」」
ミュゼーヌの冷ややかな視線に我に返る二人であった。

シエルは先日の社内健康診断の資料に目を通していた。
「皆様、やや睡眠時間が不足がちですね……」
怪我は魔法で治すことはできても、体調不良からくる疲労ばかりはどうしようもない。
そもそも健康というものは付け焼き刃ではなく、日々の管理が重要――というのが彼女の考えである。
「でも、逆瀬川様は……それでいいのでしょうか……うぅん……」
一方で三高平には慎也の様に特殊な身体能力を得た人間も多く、健康管理の最適な形は一概には言い切れない所がある。
そこがこの仕事の難しいところではあるが、逆にやりがいでもある。とシエルは感じていた。
「あら? 体重の記載がない方が……?」
「98kgですよ」
突如、通りすがりにそれだけ言ってそそくさと退散するバカメイド。奴の名はモニカ。
「えっ……あ、モニカさん。わざわざありがとうございます」
何時から居たんだ、とか少しは手伝えよ、といったツッコミ精神はシエルには存在せず、気紛れの善意に対し素直に感謝する。
「彩花さんの他にも98kgの方がいらしたのですね……ミュゼーヌさんも、メタルフレームの影響でこうなったのでしょうか?」
彩花の体重の事だと勘違いしたモニカ。ミュゼーヌの事だと勘違いしたシエル。
そうして、めでたく誤解は広まっていくのであった。
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