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大御堂重工の一日・2
種別: 全角200文字、改行無し    レス:500件

(ID:BNE000609)
大御堂 彩花

2011/02/06(日) 22:38:59 
●モニカの日常・2
再び地下室。朝までとは打って変わり人影の賑やかさがある。そして何よりの違いは時折聞こえる、爆ぜる様な轟音。
「装弾確認。標的確認。射線確認――次、いきます」
轟音の正体はモニカの機械化した右腕にジョイントされた重火器だ。
右腕ごと重火器を標的に合わせ、左手でトリガーを引く。そして再び地下室に響く轟音。
「どうでしょう。悪くはない感じですが」
「ふむ。威力は申し分無いのだが……問題点はやはり反動による命中精度の低さであろうか」
モニカの言葉に応えたのは、元物理学教授のオーウェン・ロザイク。
現在は三高平の『学生』であり、この場においては『顧客』の筈なのだが、その経験を開発部に(一方的に)買われ顧問アドバイザーとしてこの場に居る。
「やはり問題はそれですか」
「重火器の宿命であるな。威力を高めるほどに反動や負担も増加し、結果として威力と精度は反比例の関係に陥りがちだ」
「手っ取り早い解決策はありますか」
「二つあるな。一つは駐退機や砲架などの補助器具の採用。しかしこれは携行性能が大幅に損なわれる」
「もう一つは発射弾と同じ運動量を砲身後部より放出する事。所謂無反動砲だな。こちらは威力面が双方の運動エネルギーの相殺で損なわれるが……」
そう語りながら、ホワイトボードに慣れた手つきで概要を書き記していくオーウェン。
この辺りにも過去の職業柄が顕れている。
「私の右腕はある程度駐退機代わりになるのですが、それでも厳しそうですね」
「お前さんは軽量級だからな。いくら根元だけを頑丈に固定しても、全体が安定していなければ意味が無い……という事だ」
ボードに大砲ごと斜めに傾くモニカの絵が書き加えられる。意外に絵心もあるらしい。
「……ところで彼女の姿が見えないのだが?」
ふと気付いたように周囲を伺いながら問うオーウェン。
「ああ。そろそろ禁断症状が顕れたみたいです」

一方、地下室の別フロアの倉庫には慎也の姿があった。
「今日もまたすげー音してるな……相変わらずトバしてんなぁ」
部屋ごしにもビリビリと伝わる重火器の威力に当初は冷や汗かく事もあったが、今では慣れたものだ。
そもそもこの街には自分も含め、ビルごと誤爆で吹っ飛んだくらいでは簡単に死なない化物じみた人間しか存在しないのだ。
だが過信は禁物。どれほど進化を遂げようと人間は所詮人間である。
そして人間である以上、必ずしも存在するものがある。
「――うゲッ!?」
それは天敵。
「おやおや、こんなトコに隠れてたんだね……しーんやー♪」
慎也の機械の瞳に映った天敵の名は、シルキィ・スチーマー。
「折角あたいが世話してやろうってのに、こんな所に引きこもっちゃってさぁ。ホラホラ出た出た。じっくり世話してやるからさ!」
「イヤ遠慮します。つーか引きこもりってかコレ仕事でやってんですよ! いやマジで勘弁、今は仕事中だから!」
24時間機動戦士は後ずさり。
「ふひひひ……遠慮すんなって!」
一方、24時間肉食女子は得物を狙う瞳でじりっじりっと迫りくる。
「あんたの身体もあたいがバッチリ整備してやるから……隅々までねっ!!」
プシュー!と、シルキィの身体中の管から蒸気が放出される。
彼女は蒸気機関のメタルフレーム。蒸気機関が蒸気を放出する時といえば……後はわかるな?
「ちょ、マジ落ちついてっつーか助けt」
一段と激しさを増す蒸気。あっという間に倉庫に充満し、辺り一面が白い世界に染まる。
一瞬で視界を奪われた慎也は否応無く逃げ場を失う。
「いっただきまぁーっす!!!」
しかし一方でそんな障害はなんのその。慎也めがけて一直線にルパン・ダイブのシルキィ姐さん。
それは愛の成せる業(わざ)か。或いは愛ゆえの業(ごう)か。

「アッ――――――!!!」
重火器の轟音にも劣らぬ断末魔が地下室に響き渡った。
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