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大御堂重工の一日・1
種別: 全角200文字、改行無し    レス:500件

(ID:BNE000609)
大御堂 彩花

2011/02/06(日) 22:38:36 
・大御堂重工のオリジナルSSです。
・本編の内容はBNE本編と無関係のアンオフィシャルです。

●彩花の日常・1
――大御堂彩花の朝は早い。

大御堂重機械工業株式会社三高平支部事務所の屋上で彩花の一日は始まる。
「ふぁ~、あ……」
なんとも間の抜けた欠伸に眠たげな眼。大財閥のお嬢様でも朝はこんなものだろうと擁護する者もいるだろう。
しかし今の彼女だけを見て『大財閥のお嬢様』のフレーズを浮かべる人間は殆どいないであろう。
白のライン入りのジャージ姿、普段目を引く黒髪はワンサイドに纏め、右手にはまるで旧世紀から持ち出したかの様な大型のラジカセを持っている。
『ラジオ体操第一~♪』
ラジオ体操の軽快な音楽と音声が、霧に包まれた朝の空に流れる。
彩花がすうっと深呼吸をすると、霧の水分を含んだ冷たい空気が胸の奥に沁み渡った。

日課のラジオ体操を終え、再び私室へ。
30分ほど経て再び私室のドアが解き放たれると、何時もの凛とした雰囲気の彩香が現れる。
「おはようございます。本日も頑張りましょう」
返事を返す者はまだいない。
その言葉を向けた先は暗くと共にする社屋へか、あるいは自分自身へか。それは彼女のみ知るところである。


●モニカの日常・1
――モニカ・アウステルハム・大御堂の朝は、そんなに早くない。

大御堂重機械工業株式会社三高平支部事務所の地下仮眠室でモニカの一日は始まる。
「……んむ」
ぱちり、と目が開く。しかし開かれるのは左目のみ。右目を閉じるという行為は彼女には不可能。
本来右目が存在する箇所はメタルフレームの機械化が発現しており、望遠スコープの様な物体が存在するからだ。
なお人間を含めた生物というものは通常、目を閉じなければ睡眠には入れないものだが、左目のスコープ機能は就寝中は遮断する事で睡眠に入れる。
「まったくもって不便な身体です」
機械化してから慣れるまでの間、これが中々できずに寝不足に陥ったのはモニカの密かな黒歴史である。

お馴染みの水色のメイド服に着替えて準備完了。
一階ロビーに降りると二人の人影があった。
「ちわっす……じゃなかった、おはようございます」
一人目は『24時間機動戦士』こと逆瀬川慎也。彼もメタルフレームであり、その影響で睡眠が行えなくなってしまった事情がある。
故に、彼にとっては24時間が常に『こんにちわ』の感覚なのだ。
「二人ともおはよう。今日も一日頑張ろう!」
二人目は『猫耳探偵』こと有沢せいる。名は体を顕し、見紛うことなき猫な耳。でもって猫な尻尾。
もう片方の名の探偵の方は現時点では重工の中ではあまり発揮されていない。
「……そのうち産業スパイでもやらせますか」
「へっ?」
挨拶どころか意味不明な呟きを返され、目をパチクリさせるせいる。
「いえ何でも。今日もきりきり働きましょう」


●彩花の日常・2
彩花の姿が再び屋上にある。無論、今度はジャージ姿でラジオ体操などという悠長な事は無い。
霧もすっかり晴れ渡り、朝の陽光が屋上を明るく照らす。
見上げた空には幾つもの雲が横たわり……その雲の狭間から、背に翼を持つ男が縫うように現れる。
「おはようございますー!」
手を挙げて軽く振る彩花。鷹の翼を持つ男、新田頼義はそれに応えよう……として急に体勢を崩す。
「え、頼義さん!?」
それに思わず身を乗り出す彩花。ガシャン、と屋上の金網が掴まれる音。
一方の頼義はというと、声を掛けられた拍子に落っことしたおにぎりを全力で追跡中であった。
しかし衝突まで随分と余裕のある距離で難なくおにぎりをキャッチ。
くるりと宙を翻り、再び上昇。その鋭敏な動作は正に鷹の翼に相応しい。右手のおにぎりが無ければ。

「もう、何やってるんですの」
「いやあ面目ない。こいつをうっかり落としそうになったでござるよ」
言葉と共に残り僅かなおにぎりの一欠けらをぱくりと飲み込み頼義。
「しかし自由に飛んで来られるのは良いものでござる……こんな事、他の都市では出来ぬでござるよな」
今まで異能者としての苦労を思い起こしたのか、労る様に自身の翼を撫でる頼義だった。

2階事務室。事務班の主な仕事場となる場所で彩花の前に、再び翼を持つ人物が現れる。
頼義の野性味ある鷹の翼とは対照的な、白鳥の如く繊細そうな純白の翼。
「あっ、彩花さん。頼義さん。おはようございます……♪」
ぺこりと丁寧にお辞儀するのは和服姿のシエル・ハルモニア・若月。
戦場では戦士達の生命線となる貴重なホーリーメイガスにして、重工では社員の健康を守る産業保健師でもある。
「おはようシエルさん。今日もよろしくお願い致しますわ」
「はい……不調な事があれば遠慮なく仰ってくださいね。私に出来る事はそれくらいですし……」
「いえ、そんなとんでもない。シエルさんの体調管理のおかげで安心して働けていますもの」
「いえいえ、彩花さんの的確な管理があってこそ当社はあるのですから……」
自然と始まる不毛な譲り合い。嗚呼、日本人の美しき伝統芸。
「おっはよー! 今日も一日……って何やってんの? まさか何かの事件!? いよいよこの名探偵せいるの出番が……!」
そんな不毛を打ち破ったのはせいるの元気一杯の姿。
「この調子を見るに、今のところは全くの問題なしのようでござるな」
そう言う頼義に、我を取り戻した彩花とシエルも思わず苦笑いを浮かべるのだった。
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