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TOP(2015/03/17)<白騎士、黒騎士>
種別: 全角200文字、改行無し    レス:500件

影の継承者(ID:BNE000955)
斜堂・影継

2015/03/18(水) 01:55:26 
http://bne.chocolop.net/img/top_bg/BNE_bg_20150317ex.JPG
<白騎士、黒騎士>


 ディーテリヒの望んだ最後の審判を前に二人の騎士が佇んでいた。
 主人は最後の最後までその真意を二人には告げなかった。
 恐らくは止められる事を分かっていたからであろう。
 アルベール・ベルレアンは理解し得ても、セシリー・バウスフィールドは不可能である。孤児だった自らをその手で拾い上げ、養育し、現在の彼女のアイデンティティを築き上げた――ディーテリヒは間違いなく彼女の信仰対象だったからだ。
「……セシリー」
 荒事の気配を増す現場を遠く見詰めるセシリーに兄のようなアルベールが声を掛けた。
 受けた喪失感は等しい。しかし、アルベールには諦念があり、セシリーには無い筈だった。
 歯を食いしばり、拳を握ったセシリーの手元からポタポタと血液が零れ落ちている。
「……どうする」
 アルベールは他に何を言う事も出来ず、彼女に訊いた。
 その言葉はある意味で彼女の肯定だった。「どうするにせよ、付き合ってやる」という宣言に他ならない。
「知れた事」
 氷のような眼差しでセシリーは言った。
「あの、魔女を殺す」
「ディーテリヒ様が望んだ事だとしても、か」
「ああ」
 セシリーは迷わなかった。
「それに、ディーテリヒ様が望んだのは『最後の審判の発動』までだ。
 その結果――魔女が勝つ事は特段望まれていなかった筈だから」
 白刃が赤い光を跳ね返す。
 アルベールを振り返ったセシリーの目は大粒の涙に濡れていた。
「あの方を、唯――心から愛していた。それだけだった」
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