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TOP(2014/11/01)<黒暁>
種別: 全角200文字、改行無し    レス:500件

影の継承者(ID:BNE000955)
斜堂・影継

2014/11/02(日) 15:11:11 
http://bne.chocolop.net/img/top_bg/BNE_bg_20141101ex.JPG
<黒暁>

 彼に向けられた畏怖は数多に無数。
 彼に向けられた敵意はその十倍にも及ぶ。
 彼は他の誰よりも傲慢で、他の誰よりも悪辣で。大凡、傲慢な自己愛以外を忘れて生まれて来たかのようなその醜悪な人格は大多数の人間に蛇蝎のように嫌われていたけれど――これまで唯の一度もその存在を侵された事は無い。
「ふむ、若干の調整が必要か」
 世界最強の異名を持つバロックナイツでも有数とされる武闘派(キース・ソロモン)を退けても、彼には感慨らしい感慨は浮かんでいなかった。当然の如く仕留め、当然の如く飲み込む心算だったその結論が彼にとって些かの予定外を描いた事は、『調整不足』――つまり、自己に端を発する完成度の問題と心から言い切っている。
 元より彼は――ウィルモフ・ペリーシュは敵を敵と思っていないのだ。それがキース・ソロモンであろうと神であろうと同じ事。彼にとってはラベルの違う有象無象に過ぎない。多少の力の多寡等、元より問題にしていないのだ。
「……いや? それとも、流石にキース・ソロモンと言うべきなのかね」
 静けさを取り戻した『塔』でペリーシュは皮肉気に笑った。
『聖杯<ブラック・サン>』の機能は問題無い。キースを完全に仕留めるに到らなかったのは、偏に彼の勘の鋭さによるものだ。動物のような男だから、本能的に危険を察したのだろうが――それでも、効果は十分だった。一部とは言え、キース・ソロモンを喰らった分は並の人間、並の革醒者の何十倍、いやさ何百、何千倍の意味があったのは間違いないから。
(小生ともあろう者が、少なからず興奮を禁じ得ないのは確かだ。
『聖杯<ブラック・サン>』は凡そ完璧ではないか)
 今のペリーシュは、かのラトニャ・ル・テップですら黙らせる自信がある。それはあくまで彼自身の観測を元にした主観に過ぎないが、極端な自己愛に肥大化した尊大な人格はミラーミスであろうとも寄せ付けぬと確信している。
(こうなれば、島国の猿共も……つくづく……余計な事をしてくれたものだ)
 なれば、苛立ち混じりに彼が舌を打つのは必然だった。
 元々『その為に』目をつけていたラトニャを取り上げられたのは、『究極研究』の終着点――『神を越える』という大事業に大きな狂いを生じさせたと言わざるを得ないからだ。
 当面の的を取り上げられた以上は別のモノを代替する他無い。
 趣味でもない極東にわざわざ出向いてやるのはそれ以上でもそれ以下でも無い。箱舟なる連中が神(ラトニャ)を謀ったのは所詮弱者の戦術に過ぎまいが、他の手段(ミラーミス)を見つけるまでの実験台には足りるだろうと考えた。
(盟主気取りを先んじても良いが……
 他の使徒(かずあわせ)共のくだらん敗北への意趣返しは、あの男にも向くものだ)
 ……自身では絶対に認めない部分であろうが、ペリーシュはバロックナイツ盟主たるディーテリヒにだけはある一定のライバル意識を持っていた。ラトニャ・ル・テップを除けば自身以外の使徒を数合わせと蔑む彼は、成る程。名実共に『第一位』。
 自身の中での予定が一先ず定まった事に納得したペリーシュは、酷く性急に、そして当然のように日本を滅ぼす事を決めた。『究極研究』が成就した今、彼の中に実験に優先する事象は無い。例えこの世界の人間の大半を殺し尽くしたとしても、それは彼にとって然したる話でも無いのだ。
「D。いるのだろう?」
「……は」
 自身に影のように従う忠実なる侍従に呼びかけたペリーシュは事も無げに言った。
「理解しているなら工房の準備を整えたまえ。
 極東日本の笹舟に、『本物』を理解させてくれる」


※『閉じない穴』の影響で崩界度が2上昇しました!
 そして、ウィルモフ・ペリーシュが動き始めました……
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