避け得ぬ災厄。
塩辛食べながらビール。塩辛が強すぎてビールが水の味しかしません。
ふわふわとした心地の中で時々おもうのです。
このわたしの異能は、あまりにも夢の中のようで。
一体いつから夢の中にさまよいいでて、どこに出口があるのか。
そうして何時も、出口などないということに思い至り酔いから醒める。
わたしの望む出口は、「まともな人間」。
でも、そこに戻る道などないのです。
なぜならわたしは、まともな人間だった時期などないから。まともでない人間だった時期ならあるけれど。
どうしてわたしはこうなのか。
なんでわたしはああじゃない。
答えはずっと前からわかっている。お酒を飲むと忘れてしまうだけで。
あのときわたしに勇気があったら。
いや、そんな勇気があるならそもそも苛められたりはしない。
あのときわたしが強く拒んだら。
いや、拒むことのできないわたしだからこそ親はわたしにああ接した。
過去は既に決まっています。
未来もきっと決まっています。
今この時さえ、きっと計算で求めることができる。
それでも自分の意思で動いて戦う。自分の意思がある感触を心から味わう。
ただそれだけが、意思あるものにできる唯一で最高の価値のあることなのだと。
娘のおねしょふとんを見ぬふりしつつ次のビールを開けるのです。
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