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<R-OceanII>
戦いに満ちた街で彼等が鉢合わせたのは偶然だった。
「……ふむ、やはり無事だったか」
「心配してよ」
「信用しているんだ」
平素と変わらない淡々とした口調で言い切った『普通の少女』ユーヌ・プロメース(BNE001086)に、『縞パンマイスター竜』結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)は軽く頬を掻いて少し気恥ずかしそうな顔をした。
1999年の過去世界で始まった破滅的動乱――その対処に乗り出した2014年のリベリスタ達の戦いは、まず第一の難関を越えようとしていた。ミラーミスR-typeの出現によって変異を余儀なくされた『赤の子』達の鎮圧は、ここまで素晴らしい首尾で進められていたからだ。
「そっちの調子はどうだった?」
「絶好調だね。後は――アレを何とかするだけだ」
竜一の言葉に空を仰ぎ見たユーヌは「そうだな」と首肯した。
真夏の陽炎のように聳える冗談のような光景は――余りに不出来な現実である。流石のリベリスタ達でも、全長が一キロ以上にも及ぼうかという巨大敵と合間見えた事は無い。
「状況は……」
「これから、攻撃の為の再編成だそうよ、頼もしい援軍さん」
「……君は」
声を掛けられた竜一が振り返った先にはロゼット・真白が居た。
「赤の子達の被害はある程度未然に防がれた。
予想された致命的被害は出ていない――様子だわ。
……それでも、状況はかなり悪いと言えるけど。
最悪とかなり悪いなら、後者の方が大分マシよね」
「ロゼット、か」
「どういう経緯かは分からないけど、今日は妙に名前が売れてるみたいね」
ユーヌの問いにロゼットは少しの冗句混じりに頷いた。
「……これから、あの化け物に対しての大作戦が始まるようね。私達はそれぞれが参戦したフリーのリベリスタだけど、貴方達――『謎の援軍さん』からは纏まった意志を感じるわ。
だからという訳じゃないけど、私達は可能な範囲で貴方達に協力する事にした。貴方達の正体は知らないけど、貴方達がどういう腕を持っているかは分かっているから。
今、こづかさんが情報を纏めて……個々の戦力を纏めている所よ。
幸いにアレが動き出すにはもう少しの時間があるみたいだから……
貴方達側の攻撃準備も含めて、これは好都合だわ。
ちなみに、全部が全部じゃないけれど、貴方達を信じる人間は多いみたいね」
例えばクェーサー辺りが勝手に動くのは想定の範囲である。
「……まぁ、それはさて置いて。助かるよ」
竜一は、一瞬イヴの事を考えた。
彼が普段から気にかける神託の少女が失った――母親を前にすれば感傷だけは否めなかった。
(優しいな、竜一は)
ふ、と幽かな笑みを見せたユーヌは、敢えて彼には構わずにロゼットに水を向ける。
「それで。私達に伝えに来ただけか?」
「いいえ。それは貴方達に……というか、貴方達の上に伝えたい事。
そして、私には真に尋ねたい事が別にある」
ロゼットは確信めいた表情でユーヌに尋ねる。
「貴方達には――あるのよね、アレを何とかしようっていう『切り札』が」
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