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<R-Ocean>
破壊と破滅を司る――まさに神なる巨人が産み落とすのは世界の黄昏である。
かつて、ボトム・チャンネルより上位階層に位置した『完全世界ラ・ル・カーナ』が全滅の危機を迎えたのと同じように。圧倒的な上位に魅入られた下位は、生存の見込み等無いに等く。
通常ならば、唯搾取され、牛飲馬食の如く喰らい尽くされ。残るもの等無いに等しい。
分かり切った結末は、敢えて語るまでもなく。唯の必然に過ぎぬものだったのだが――
「まぁ、強い、怖い、勝てない――で諦めちゃそれまでだしねぇ」
――運命に抗うという意味で、この最も脆弱と称された下層世界の住人はしぶとく粘り強い意志を持っていた。
「或る意味で役得とも思わなくは無いんだ」
嘯いた『アクスミラージュ』中山 真咲(BNE004687)は、黒い髪の毛を肌に貼り付ける不快な汗に構わず、その口元には薄い笑みを浮かべていた。
「まったく、廊下は走っちゃダメ。世界は壊しちゃダメ。当たり前の事なんだけど」
「これじゃ――おちおち自習にも出来ないわ」と嘆息した『そらせん』ソラ・ヴァイスハイト(BNE000329) がやれやれとばかりに呟けば、
「うむ。イレギュラーな任務だが、請け負った以上は下手な仕事は出来ぬ身の上でな」
『T-34』ウラジミール・ヴォロシロフ(BNE000680)は年輪を重ねたその厳しい顔に本気とも冗句ともつかぬ何とも頼もしい余裕の色を浮かべていた。
R-typeとの戦闘という或る意味でアークの悲願たる大戦を迎えても、彼等一級のリベリスタ達は現状まで微塵も怯んだ姿を見せていない。それぞれが各地各所の戦闘で、獅子奮迅たる実力を見せつけ。最も色濃いやも知れない絶望を唯只管に切り払い続けている現状だ。
「R-typeの出現は終わりの始まりなのかも知れない」
それがもたらす意味を誰よりも知るセレスティア・ナウシズ(BNE004651)は敵を決して侮っていない。
「――結局、あたしの故郷は滅びなかったわ」
だが、今や戦う勇気を備え、ラ・ル・カーナならぬボトムを守らんとしているフュリエの彼女は、その現実を譲る心算は毛頭無かった。誰も彼も『貧乏籤』は承知の上。当たりが無いのも覚悟の上だ。
だが……
「もう一頑張りするとしましょうか」
ソラが普段見せない顔をすれば、今という時間の価値は嫌という程に高まるばかり。
今、この瞬間を乗り越える事が――未来を繋ぐ意味を持つ事は明白である。
「……貴方達は……」
再び動き出さんとしたリベリスタ達に声をかけた気配があった。此方も『赤の子』を打ち払い、良く健闘している事から相当の手練である事は疑う余地もない。
ワインレッドのドレスに身を包んだ――華美なる砲を備えた『少女』。
「……貴方は……」
誰かが呟いたが、それ以上の言葉は要らなかっただろう。
彼女は――真白イヴに酷く良く似ていたから。
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