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<クロスロード・パラドクス>
これまでの戦い、崩界度が影響を及ぼしたかどうかは定かでは無いが……
三高平市『内部』に突然リンクチャンネルが発生するという事態が発生したのは、『恐怖』との戦いの余韻もその傷も冷めやらぬ――七月後半、暑い日の出来事だった。
アーク側の調査で、リンクチャンネルが持つ『特殊な性質』は直ぐに判明した。
即ちそれはこの世界――ボトムの住人は移動経路として利用出来るが、接続された先の世界の住人はそれが出来ないという点。一方的侵略を受け続けたボトムが謂わば『上位』として扱われる事は寡聞なる話である。
だが、何故そんなイレギュラーが発生したのかとリベリスタは問わなかった。
何となく『それ』に繋がる答えを理解してしまったのだ。
「この穴の接続された経路の先は――『多分』日本だ」
沙織の言葉は頷いたリベリスタ達にとっては今更だった。
どういった理由でそれを把握したのかは自身にも分からない。
だが、彼等の認識の中には奇妙と言う他ない程に確固たる確信があった。
頭の中に入ってきた、見た瞬間に理解した、それに思いを馳せたなら知っていた――表現は何でも構わないが、神秘世界の出来事は時に理不尽で、時に酷く話が早い。
分かってしまった事実は恐らく大きく間違ってはいないのだ。
世界の風穴の先には『多分日本』がある。それもこの三高平と同一座標の――
だが、それが次元の穴である以上、行く先が特別なのは当然だ。
そこは同じようで居て違うのだ。差異がないようでいて、全くの別なのだろう。
穴の先には日本がある。
だが、その先で暦を確認したならば……彼等は改めてその意味を知る事になるだろう。
穴の先には日本がある。
1999年7月の日付を刻んだ――日本がある。
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