脂身と赤身のステーキを別々でお出ししてほしい。
とんかつを食いに行きました。
正直脂身の美味しさはそんじょそこらの店だと違いがわからないのでとびきり上等なお店に、サンダーと二人で。
露骨に「娘さん二人?」みたいな目で見られたので無言で免許証を提示しつつ
「子連れですけど、大丈夫でしょうか?」
と告げると、ええ大丈夫ですよ、ときらめく営業スマイルで応答してくださった店員さんは本当にプロの鑑だと思いますがわたしの免許証を見て一瞬ぎょっとした顔をしたのは忘れませんよ。
二人してとんかつ定食を一つずつ。
流石に高級とんかつ専門店だけあって副菜が充実しています。し過ぎています。
複数種類のおしんことサラダを見てサンダーは困惑していました。
「食べきれなければ残してもよい」と告げるとサンダーは遠慮なくカツとご飯とみそ汁だけ平らげやがりました。まあそうですよね。
サンダーが残したおしんこと野菜をやっつけつつ、これではカツの味が消えてしまうと一品料理のカツを追加注文。
サンダーが物欲しそうに、しかし遠慮がちでばつが悪そうに、恋する乙女のような目線でカツを見つめていました。いやしんぼめ。
「まあ落ちつけ。おなかが苦しくないかどうか確認せよ。」
そう告げるとサンダーが自分の腹をさすり始めたのでその間にカツをもぐもぐと食べきりました。
おかげでまだ野菜が残っている。
致し方なくもう一回カツを追加。
「仕方ない、手伝ってもらおう。」
今度こそサンダーにカツをおすそ分け。
満腹を通り越してちょっと苦しいぐらいの腹を抱えつつ退店。そんなわたしを尻目にジャンプしながら走ってはしゃいぐサンダー。
吐くサンダー。
言わんこっちゃない。
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