より明日強くなるために 今日をもっと そして辿り着いた今日だ
朝の鍛錬に向かう車の中、自問します。
果たしてこんな体になってしまった自分に、人間的な、余りに人間的なトレーニングなど意味があるのだろうか。
そんな思いを払拭するように、わたしは拳を突きます。
風を切る音がはっきり聞こえる速度。
人間だった頃にはついぞありえなかった拳速。
それでもなお全く足りぬエリューション界隈。
目指す場所ははっきりしています。
何のために鍛えているのかもわかっています。
けれどこれは遅々として目的に進まない。
わたしが求める全てのエリューションを凌駕する力は、この方法で間違いなく手に入るけれど、このスピードではまるで間に合わないのです。
焦れながら打ち出す拳。
站椿功を練りながらめぐらす思索。
ギガントフレームの肉体を持った今でも、否、なればこそ尚、落ち着かない
わたしは
何のために。
海皇は言いました。
「――理合を手に入れる鍛錬
――それは筋力鍛錬の速度に比べ
――あまりに永く」
きっと同じような心もちだったのだと思います。
わたしが欲しいのは、わたしが最強である今なのだ。
きっと同じような心もちだったのだと思います。
わたしが欲しいのは
わたしたちが欲しいのは
夢じゃなく
いつだって、それが叶った今が欲しいのだ。
わたしは歯噛みをしながら、あるかどうかもわからない明日を夢見ます。
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