ほどほどに振り回されてる。
南紀白浜三日目。
帰り支度をしなければいけない日ですがめんどくさくなったのでもう一泊延長。もっとゴロゴロしてたい。
だが娘はそうはさせてくれないのだ。
サンダーは今日も朝早く起きて水着を着てうろうろしていました。
自己主張が強くなったのは良いことだけど、我がままに増長させてはいないか、とも気になってしまいました。
本当の親でもないのに。
ともあれ、幼子に不当な我慢をさせる趣味は無いので、朝ご飯を食べたらすぐに浜辺へ。
ところが今日のサンダーは様子がおかしい。
波打ち際をチャプチャプしたと思ったら戻ってきてごろごろしてみたり、食事処の前をうろうろしてみたり、落ち着きが無い。
そんな様子を1時間ほど見続けてきた結果、どうやら奴は海に飽きたらしいと結論に達しました。
遊ぼうと思えば幾らでも遊べるのが海ですが、遊ぼうと思わなければ全く遊べないのが海でもあります。サンダーの飽きにはとても強く同情できる。
わたしは数年ぶりに海でまだ行きずりの恋の一つもやってないのですが、まあもともとそんな素養もないので諦めは早々に付きました。
温泉に入って寝て、サンダーと一緒に最後のホテルの夕食を戴きました。
「楽しかったか?」
食事の席でわたしは思わず訊いてはいけない問いを発してしまいました。
ノーと答えたら空気が悪くなる。そんなの子供だってわかる。況や、親の機嫌を損ねることがどれほど自分に不利益をもたらすかを頭ではなく体と心で知っているサンダーをや。
「楽しかった!!」
笑ってそう世辞をくれた彼女を、不覚にも抱きしめたくなってしまったのですよ。
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