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【告解】夜の礼拝堂
種別:
全角600文字、改行50回まで
レス:500件 |
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小石の塔(ID:BNE003548)
朝町 美伊奈
2013/08/16(金) 23:44:14 |
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時刻は夜中の10時前。良い子は寝ている時間。
なら、今まだ起きているこの少女は悪い子なのだろうか。
誰もいない礼拝堂の中、立ち並ぶ椅子の一つにたった一人で座り。
祈る様に手を組んで目を閉じている。
その顔に映るのは羞恥、焦燥、僅かな期待、それから、覚悟。
何時か踏み出さなくてはいけない一歩を、今夜踏み出す。その覚悟。
待ち人は、未だ来らず。
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朝町 美伊奈(ID:BNE003548) 2013/08/16(金) 23:51:51
……
(入口に背を向けて座り、けれどその入口に全神経を集中させ、
入口の開く音を一日千秋の思いで待つ。恐怖はある。同時にある種の開き直りもある)
……
(分かっている。知っている。彼は自分の事を異性として見ていない。
だから結果がどうなるかは火を見るより明らかだ。それは、分かっている。知っている)
……
(けれど)
……
(それでも)
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楠神 風斗(ID:BNE001434) 2013/08/17(土) 00:07:35
(礼拝堂の扉が開く)
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楠神 風斗(ID:BNE001434) 2013/08/17(土) 00:10:31
ええと……あ、いた。どうしたんだ美伊奈。こんな時間に呼び出しとは……何か相談ごとでもあるのか?
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朝町 美伊奈(ID:BNE003548) 2013/08/17(土) 00:15:14
(扉の開く音にガタッと立ち上がる。
勢いよく立ち過ぎたせいでバランスを崩しかけ、
慌てて翼を少しはためかせて事なきを得てから)
…あっ
………!(緊張と焦りで少し絶息)
…あ、あの。ふ、風斗おに、お兄さん……!
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朝町 美伊奈(ID:BNE003548) 2013/08/17(土) 00:19:17
(舌が回らない事を自覚し、一旦深呼吸)
……あ、あの。
来てくれて有難う。嬉しい……です。
それで、その……
(とてとてと入口に歩み、後ろ手に扉を閉める。
鍵も締める。閂も入れる。ガチャンと)
……私、風斗お兄さんにどうしても言いたい事、あって……
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楠神 風斗(ID:BNE001434) 2013/08/17(土) 13:14:34
お、おい大丈夫か? 慌てなくていいから、ゆっくり落ち着いて話せ。
(……なんで扉を閉めたんだろう。よほど聞かれたくないことなのか?)
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朝町 美伊奈(ID:BNE003548) 2013/08/17(土) 14:27:21
は、はい。ありがとうございます…
(スーハーと息を整える)
……あの、風斗お兄さん。
初めて会った時の……(言葉を止め、小さく首を振って)
ここに風斗お兄さんが初めて来た時の事、覚えてますか?
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楠神 風斗(ID:BNE001434) 2013/08/17(土) 21:43:44
はじめてここに来たときのこと? どんなだったかな……イマイチ覚えてないな。いつの間にか、ここにいるのが当たり前みたいになってたから……
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朝町 美伊奈(ID:BNE003548) 2013/08/17(土) 22:04:13
……そう。そっか。それはそれで何だか嬉しいな……
(柔らかく少し笑み崩れ)
でも、私は覚えてるんだ。丸で昨日の事みたいに。
(少し後ろを振り返り、扉を見つめる。
その先、あの日初めて出会った孤児院の玄関を見通すように)
……時村室長さんが来てて、お兄さんたら何だか物騒な勘違いをしてて……
(クスクスと思い出し笑い)
それで、私が私が渡したお茶を……褒めてくれたの。
『いいお茶だ』って……
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楠神 風斗(ID:BNE001434) 2013/08/18(日) 22:55:54
あー……そういえばそんなことがあったかな……セリフまでは覚えてないけど……うん、なんだか懐かしいな。
美伊奈のお茶は好きだぞ。とても気持ちが落ち着くんだ。
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朝町 美伊奈(ID:BNE003548) 2013/08/19(月) 00:34:15
そうなんだ……うん。有難う、お兄さん……
(かみしめる様にお礼を言ってから、少しまた言いよどむ)
……
あの時ね、私。嬉しくて。
それで、良いなあって、思ったんです。
その……こんな人が、お兄ちゃんだったら良いのにって。
エリ姉さんもそんな態度だし。
お兄さんは、とても優しくて、素敵で、頼りになって……
だから、ずっと、風斗お兄さんは、私達の理想のお兄さんで……
私達皆の大好きなお兄ちゃんで……
(言葉がまとまっていないのか、少し要領を得ない言葉。
けれど何とかして形にしようと、ポツポツと話していく)
…………それで、幸せだったの。本当よ?
でも……
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朝町 美伊奈(ID:BNE003548) 2013/08/19(月) 00:36:03
何時から、かな。何時の間にか……
それだけじゃ、足らなくなっちゃった。
………………きっと私が、わがままだから。欲深いから。
けど、それでも……
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楠神 風斗(ID:BNE001434) 2013/08/19(月) 21:34:00
(黙って聞いている)
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朝町 美伊奈(ID:BNE003548) 2013/08/19(月) 22:06:51
何が足りなかいのか。ずっと、悩んでたの。
でも……本当は、たぶん最初から、分かってたの。
ただ、それを認めたら、何かが変わってしまうから……
気づきあない振りをしていれば、その間は、今のままでいれるから……
でも、もう、それは無理。無理、なの……
(うつむいていた顔を上げ、真っ直ぐに風斗お兄さんを見上げ)
ねえ、お兄さんには、分かりますか?
何が足りないって、私が、何が足りないって思っているのか。
私が、望むもの。
私の、求めるもの。
(言葉一言ごとに歩みを進め、風斗お兄さんの目の前まで近づく)
ねえ、風斗お兄さん。
私が、欲しいもの。何か、分かる?
(見上げる瞳は、少し潤んでいる)
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楠神 風斗(ID:BNE001434) 2013/08/19(月) 22:57:56
う、ぉお?(雰囲気に飲まれ、言葉に詰まる)
お前の欲しいもの……オレに求めているもの……
……本当の家族になってほしいとか?
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朝町 美伊奈(ID:BNE003548) 2013/08/20(火) 21:51:31
うん、それも、ある意味では正解だけど。100点じゃあないかな。
(すっと右手を伸ばす。風斗お兄さんの頬に向けて)
……でも、お兄さんが分からないのは、当たり前なの。
(左手が風斗お兄さんの胸元に伸びる)
それはきっと、私には未だ不相応だから。
(避けないなら、右手は頬をガラス細工に触る様に淡く優しく撫で、
左手はその胸元の服を、幽かと言って良いほど弱い力でキュッと掴むだろう。
避けないなら。)
相応になるまで待つ……そう言う道も、本当はあったと思う。
けどね。それじゃきっと……
それじゃあきっと、私は結局、伝えることすら出来なくなる……
だから、不相応でも、早くても、伝えたいって。
私の、気持ち……
(風斗お兄さんを見上げる目が更に細く、潤む。頬が朱に染まる。
今その瞳に映るのは、ただ風斗お兄さんだけで、他には何も……)
私が欲しいのは、貴方。
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朝町 美伊奈(ID:BNE003548) 2013/08/20(火) 21:58:42
貴方が好きです。
……貴方が、大好き。
家族としても、お兄さんとしても、好きだけど。でもそれだけじゃないの。
私は、朝町美伊奈は。女の子……いええ。女として。
私は女性として、男性である貴方の事を。
貴方を、楠神風斗を、お慕いしています。
恋として。愛として。それにきっと、欲としても。
(その瞳は、『風斗』をただまっすぐに見つめ、一切逸らされない)
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楠神 風斗(ID:BNE001434) 2013/08/20(火) 22:39:59
(動かず、いや動けず、触れられるままに)
………
(つぶやくように)ああ、そうだったのか。
オレのことを、そんなにも好きでいてくれたのか。
ありがとう美伊奈。すごく、すごく嬉しい。
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楠神 風斗(ID:BNE001434) 2013/08/20(火) 22:51:10
(美伊奈の視線から目を逸らさぬまま)
……でも、ごめん。オレは、お前を「女」としては見れない。
(己の頬と胸元を掴んでいた美伊奈の腕を掴み、ゆっくりと己から遠ざける)
お前のことは好きだ。とても大事に思っている。でもそれは、妹に対する想いであって、異性としての気持ちとは違うんだ。
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朝町 美伊奈(ID:BNE003548) 2013/08/20(火) 22:59:46
…………………………
(抵抗せず、遠ざけられる)
…………………
(頬を撫でていた右手は遠ざかった事で空に取り残される)
…………
(右手を、そして左手も、静かにおろす)
……
うん。知ってた。知ってた、よ。私……
私…………(声に揺らぎが入る)
……風斗……お兄……さん……
あのね。……私。わたし……………だから……だから……
(震える声を必死に紡ぐ。何かに飲み込まれそうな声を、懸命に絞り出して)
お兄さん。
あのね……

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朝町 美伊奈(ID:BNE003548) 2013/08/20(火) 23:01:14
……ありがとう。
(零れ落ちる滴を止める事は出来なかったけれど。それでも)
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楠神 風斗(ID:BNE001434) 2013/08/20(火) 23:17:15
……(その涙を拭おうと手を伸ばそうとして、止める)
うん、オレからも、ありがとう。
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朝町 美伊奈(ID:BNE003548) 2013/08/20(火) 23:28:18
(こぼれ続ける涙を自分でぬぐいながら。
身体が離れた今、寄りかかるでもなく自分の足で立ちながら)
……本当、ごめ、んね。わ、がまま、言って。
(しゃくりあげながらの言葉はたどたどしいけれど。
それでもちゃんと通じる)
ねえ、風斗お兄さん、あの、っ、ね。
も、し、もし、何時か、私の事を……女と……
(言葉を止め、首を振って)
ううん。
何でもない。なんでも、ない。ただ、私ね?
あのね。風斗お兄ちゃん。
私……もう一つだけ、わがまま、言って、良いかな?
(呼び方が変わったのは、意識してか、それても無意識か)
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楠神 風斗(ID:BNE001434) 2013/08/20(火) 23:46:08
ん、ああ、言ってみろ。
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朝町 美伊奈(ID:BNE003548) 2013/08/21(水) 00:00:44
……(一歩踏み出し、服の裾をギュッと掴む)
……お願い。
今日は、一緒にいて……下さい。
(今度は胸じゃなくて服の端、だけど、掴む力はさっきの比ではない。
まるで縋り付くように。まるで、これを離してしまえばもう全てが終わってしまうとばかりに、必死に)
……明日の朝になったら。何時も通りの私に戻るから。
(俯いた顔は、相手からは表情が見えない。
ただ、ブルブルと震えているのは、一目瞭然)
きっと、今まで通りに戻るから。
……だから、お願い……今日だけ……
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楠神 風斗(ID:BNE001434) 2013/08/21(水) 12:53:11
……わかった。今日は、一緒にいよう。
(服の裾を掴んでいる美伊奈の手を、柔らかく包むように握る)
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朝町 美伊奈(ID:BNE003548) 2013/08/21(水) 21:08:07
……ありがとう。本当に。
(その手を握り返す。淡くでも、強すぎるでもなく、自然に)
お兄ちゃんは、優しいな。だから、私は……
(涙を拭って)
……
ありがとう、だいすき。
(そっと歩き出す。出口に向かって)
いっぱい、お話、させてね?
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