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親に都合のいい最適化が、社会にとって都合がいいわけねえだろ。
種別: 全角600文字、改行50回まで    レス:500件

クオンタムデーモン(ID:BNE004018)
鳩目・ラプラース・あばた

2013/08/04(日) 02:38:35 
公益と私益が一致するのは喜ばしいことです。


我が家には本以外の家具があまりありません。
ざっと見まわす限り、机とパソコン、食事用テーブル、本棚、あとは台所の冷蔵庫ぐらい。
衣服はクローゼットに押し込んでおり、それ以外は押し入れの中。

物に執着が無い、というのもあるのですが、それ以上にわたしが掃除嫌いだからです。

埃が溜まる隙間を無くせばルンバを走らせておくだけで掃除が終わるので、そうしているのです。


今日部屋に戻ると、ルンバが死んでいました。
フローリングの上で力尽き、うんともすんとも言いません。
バッテリー切れかとも思いましたが充電ユニットに戻しても反応なし。
裏面を見ると、タイヤが陥没していました。

同居人に声をかけました。

「サンダー、ルンバが動かないのですが何がありましたか?」
「知らない。」

知らない訳がありません。目を合わせようともしないし、指が所在なく動いて、その場から逃げたいと言うことを示しています。嘘を吐いているのは明白です。

しかし一度「知らない」と言わせてしまった以上、ここからは彼の「知らない」という嘘を暴く必要が出てしまいました。
質問の仕方を誤ったと自覚しました。

少し黙考。

「わたしはルンバが故障した原因を知りたい。
でなければ、業者に頼む時にどうして壊れたのかを説明できないから。
知っていることがあったら教えてほしい。」
「知らない。何も知らない。」

いい歳した大人なら殴っているところでありますが、この子はまだ小学生。
親にネグレクトを受けていたこともあり、出来得る限り自分の責任を回避し、親から責められる原因を排除しようとするのは、最適化の結果とも言えます。

そして、それは我が家に置いては悪しき最適化。
是正する必要があります。

「それは困ったな。家に居るサンダーなら何か知っていると思ったんだけど。
いや、単刀直入に言おう。多分君が乗ったんだと私は考えている。
乗りたくなる形だし、君は子供だし、自分の体が小さいことを自覚しているし、わたしが君ぐらいの年齢だったらそれぐらいの興味は持っただろうから。」
「……。」
「乗ったか、乗ってないか。イエス・ノー。」
「……。」
「イエス・ノー、どっち。」
「……イエス。」
「そうか。」

それだけ聴ければ満足です。
わたしはルンバの下へ戻り、改めて裏返してタイヤ部を確認。やはり完全に陥没しており、過重を受けたのは疑う余地がありません。

「言いにくいことを正直に応えてくれてありがとう。
今後は悪いことをしたら、悪いことをしたと正直に報告してください。
その方が後始末に助かるので。」
「……。」
「不服か?」
「ううん。」
「言いにくければ、手紙にでも書いておいてくれればいい。別に殴ったり怒鳴ったりしないから。」
「うん。」

とは言え、幼少期から刷り込まれた「親の機嫌を損ねない」「出来るだけ知らぬふりでやり過ごす」という習性を引き剥がすには、二度三度繰り返し言い聞かせる必要があるでしょう。

「自分の落ち度を正直に告白しても怒られない」。そういうことを学んでもらわなくては。


ちなみにルンバはバラしました。興味本位で。
こんどサンダーと一緒に買いに行きます。
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