そう言えば全然触れてなかったので同居人の話をします。
サンダー(戸籍上もこの名前)と名を付けたネグレクト児童を我が家に住まわせています。
ネグレクトは今でも続いています。わたしの手に寄って。子供の育て方などわかるかよ。
どうせ朝から夕方まで義務教育に出ていますし、わたしが引き取る前にいい教育を受けたようで手を煩わせることもありません。
わたしは料理は出来ないし洗濯等の家事も人並み以下であり、金を出す以上のことはほとんどしていません。
育てていると言うよりは居候を飼っているような状態であります。それでいいとは思っていないが、出来ることには限りがあるのです。
「技術をおしえてやったらどうです」と師匠に進められたので、パソコンを買い与え回線を一つ渡しました。
まだブラウザをポチポチクリックしているだけの様子。
残念ながら生まれついての天才プログラマではなかったようです。
いや、本当はわかっているのです。師匠が教えろと言った「技術」が何なのかは。
でもそれを知った上で、師匠はわたしに何も言わない。
この子を二代目に『仕立てあげろ』とは言わない。
サンダーの顔を見ると、真剣な目つきと呆けた口でディスプレイを眺めていました。
親と言う鎖から解き放った後、わたしは彼女を自由と言う牢獄に放りこんでいます。
でもいいのだ。わたしが楽しければ。
――本当に、楽しい?
――楽しくすらないものを嫌々抱え込んで、誰も幸せにならない状態なんじゃないの?
不意に背筋がゾクりとしたので、せめて楽しくはあるように、今日はファミレスにつれて行ってあげるつもりです。サンダーはトマトをたっぷり使ったスパゲティが好きなのです。
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