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ζ呪文書-Spellbookν
種別: 全角600文字、改行50回まで    レス:500件

滅尽の魔女(ID:BNE003862)
シェリー・D・モーガン

2013/07/24(水) 20:31:45 
そっと暗澹たる闇の中に、ぽつんと僅かなかがり火が灯っている

 分厚く蒼古なその“書”は、その為だけに作られた机の上で
  静かに照らされていた       
            
 その表紙には、こう書かれている。

“一行一行に物語が詰まっている。
    そして行間には、それぞれ一千もの物語”

誰も居ないはずの“その場所”に
      影は伸びて
         ゆっくりとページをめくり始める


シェリー・D・モーガン(ID:BNE003862) 2013/07/24(水) 21:14:21
彼は、冥府の門の前で、先回りしていた老婆に道を遮られた。
『残念ながら、あなたの死への懇願は叶えられない。
 汝の来たれるところへ帰しなさい』
老婆は、生み出した風にその言葉を乗せると
彼を現世へと吹き飛ばした。
風を絨毯に寝転がると、彼は笑いながら答えた。
『俺に冥府を荒らされるのが、そんなに嫌か?』
                      ――暴君 セドリック



シェリー・D・モーガン(ID:BNE003862) 2013/08/04(日) 14:45:51
商品を詰め込んだ“袋”をかき回しながら彼は尊大に笑う。
『死に損なったんだって?セドリック
 それにしちゃ、大層な大怪我だぜ』
『見事に死なない程度に、な。なにせ俺は不死だ』
その言葉で彼は更に大笑いした。
『セドリック、そりゃ本当の死を知らない奴の台詞だ』
セドリックは眉を寄せ訝しげに肩をすくめる
『確かに死は重い。だが、動かせぬ程ではない』
彼は“袋”から秘薬の入ったコップを取り出して置くと
去り際に、賛辞と皮肉をたっぷりに言葉かける。
『それができるのはアンタだけさ。だが、一番の要因は、アンタが冥府の連中に嫌われてるからだろ?“魔女”ならアンタの存在そのものを消すことができるさ』
セドリックは彼の言葉よりも、気になることがあった。
『“これ”はタダなのか?』
まさか、と彼は笑った。

 ―値段はコップの底に書いてある。

                ――守銭奴 テイラー

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