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1999/08/13.――誰かのモノローグ
種別:
全角200文字、改行無し
レス:500件 |
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祈りに応じるもの(ID:BNE000024)
アラストール・ロード・ナイトオブライエン
2010/12/09(木) 05:18:24 |
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……助けて
心から呟いた言葉は何処にも届かないのだと
今更ながらに悟って
赤い夜が降りた日の事――――私が死んだ。
何が起きたのか
何でそうなったのか
私にはわからない
ただその日は■の誕生日だった事は覚えている
私よりも一つ下の■のお祝いに、一生懸命お手伝いをして貯めたお金でプレゼントを買った。
■が欲しがっていた、どこかのヒーローの人形、とても喜んでいたのを覚えている。
誰かが火事だと叫んだ
誰かが地震だと叫んだ
そんな声が色んな所から聞こえたと思う。
判るのはいろんなものが焼けて、たくさんの人が例外なく死んだと言う事
帰る場所がないと言う事
『大丈夫よ』と■さんが言った
何処に逃げれば良いのかも判らないままに手を引かれて、手を引いて焼け野原を走った。
走って走って
『助けて』と声を聞いた
立ち止まろうとしたけれど、わたしを引く手は止まらなくて。
せめて私が引く■の手だけは離さないようにしようと思った。
―――その時、遠くに見たのは、一体なんだったのだろう。
大きな、とても大きな、赤い夜と月を背負って、それは、悪い夢の様な姿で―――
『逃げろ』と■さんが言った
『助けて』と■が言った
覚えているのはそれだけで
気付いたら赤い空を見上げていた
体が動かない、■はどうしたのだろう?■さんはどうしたのだろう?
探したいのに、まるで体が自分のものじゃないみたいで
赤い、赤い空と月を見上げて続けていた
……たすけて
かすれた声でそう呟いた
うまく言葉にならないけれど、何度も、何度も呟いた
遠くで何かの遠吠えが聞こえる、何かが燃える音がする
カサリと軽い音がした、黒い掌が見える、私の手なのかもわからない
……ただ、私が贈ったヒーローのおもちゃが、こわれて、黒い掌に、ひっかかっていた。
プツリと、何かが途切れた音を聞いた
命が尽きて、心が死んだ
心から呟いた言葉は声にならず
心からの祈りは何処にも届かないのだと
今更ながらに悟ったけれど
薄れてゆく意識のなかで、ただそれだけを想った
……誰か
……みんなを
……助けて
赤い夜が降りた日の事――――私が死んだ最後の記憶
――――――――汝の祈りに応えよう――――――――――
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アラストール・ロード・ナイトオブライエン(ID:BNE000024) 2010/12/11(土) 19:04:57
ある意味初代ウルトラマン、もしくはウィツアルネミテア(謎コメンツ)
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