本当に行方不明になるかと思いました。
師匠の古巣である奈良の山里へお邪魔しました。
我が師は山育ちのエリューションですので普通に徒歩で山道を闊歩できますが、わたしには無理なので車で行きました。
死ぬかと思った。
いや、本当に死ぬかと思いました。
山道は細いわ、長いわ、人はいないわ、動物は出るわで、どこを走っているのかさっぱりわからない。
師匠からは「ここを走ってきてください、決して寄り道などせずに」と前もって複雑な道順を伺っていましたが、まさかこれほどとは。
一本でも道を間違えたら、ちょっとやそっとでは戻ってこれない……。
ガソリン積んで来いとも言われましたが納得。早朝に出発して、師匠の里に着いたのは日も暮れてからでした。その時間のうち半分以上は奈良県内の道を走っています。
荷物を下ろしがてら、師匠のお師匠様や里のお知り合いに挨拶を。
師匠に促され、わたしは積んでいた動物を下ろしました。
何でも、〆たての新鮮な料理を御馳走したいからだとか。
暴れて激しく鳴く動物の頭に師匠が一撃をくれてやると、見事にぐったり。
エリューション力(ぢから)で首をすぱっと切り落とすと、逆さに釣るして血抜き。
概ね血が出切ったところで解体です。
師匠の解体は早くて正確。勿論これもエリューション力によるものですが、見事な手並みには違いありません。
里のみなさんで焼いたり煮たり刺身にしたりして余すところなく頂きました。
わたしは吐きました。
今帰路です。二回ほど遭難しそうになりましたが帰ってまいりました。泣きそうです。
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