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TOP12/12/31 <倫敦の闇は深く……>上
種別: 全角200文字、改行無し    レス:500件

影の継承者(ID:BNE000955)
斜堂・影継

2012/12/31(月) 23:22:08 
http://bne.chocolop.net/img/top_bg/BNE_bg_20121231ex.JPG
<倫敦の闇は深く……>


「そうか」
 薄闇に包まれた地下の穴倉、大英帝国帝都の底の底に眠る時を忘れたその場所で電話を取った一人の老紳士は短く何度も頷いていた。
『……日本、三ツ池公園における抗争は『教授の見立て通り』アーク側の勝利に終わりました。倫敦側の被害は些少。ミス六道の側はそうはいかなかったようですが……』
「結構、結構」
『モリアーティ・プランの達成率は87%といった所ですか。この先に多少の軌道修正は要るでしょうが、細かい修正材料は後で送信させて頂きます。まぁ、教授なら問題はありますまい』
「無論。私もこの世の中の全てを『計算のみ』で支配出来るとは思っていないよ。蜘蛛の頭はその脚があるからこそ機能する。今回は、良い仕事をしてくれた。ありがとう、ポーロック」
 受話器の向こうから丁寧に状況を伝えてくるのは彼の部下。聞き役に徹する老人は『謙遜』したその言葉とは裏腹に気難しそうな老人の表情をほんの少しだけ緩めて『ほぼ全てが自分の予定通りに進んだ――何時もの未来』を当然の事のように受け止めていた。
『……恐縮です。細かい話はさて置いて、それで簡単な状況ですが。  ミス六道の『キマイラ』は以前よりも格段にその完成度を向上させておりました。彼女は教授のアドバイスを仕事に生かしたようですね』
「さもありなん。彼女はカレッジの頃から素晴らしい才能の持ち主だった」
『教え子の自慢話は良く伺っていますからね。
 ……ともあれ『キマイラ』は実用段階に入っている。とは言え、時間をかけて用意していた中核戦力は今回の件で消滅、言わば彼女の手足となる研究者達は相当数が死亡と。彼女が再起するには相当の時間が掛かる見込みでしょうな』
 乱戦の中で紫杏派の一部を暗殺したのは『倫敦』派の仕事である。まるで他人事のようにそう言うポーロックが報告を受ける老人の意向を最大限に汲んでいる事は言うまでも無い。老教授の台詞の端々に滲む教え子への愛情は本物なのである。全く愛情とそれ以外を切り分けて、自分のプランを優先させているだけだ。『世界で最も秘匿された場所の一つ』であるこの『本部』から情報を掠め取れる存在があろう筈も無いが、もし部下が直接的表現を使ったならば彼の眉は気難しく動く事になっただろう。その辺りも部下は良く『出来ている』。
『アークも直接見てきましたよ。これについては後程、大佐の方から詳しい報告が上がるでしょうが――少なくとも我々が相対した連中は中々やる。それ以外についてもミス六道を退けたのですからそれ相応でしょう。突出した戦力は無いが、作戦遂行能力は極めて高い。『まるで運命を味方にしているような』その戦い振りは件の万華鏡の成せる奇跡なんでしょうね。この点も教授の慧眼の内ですな』
 モリアーティ・プランに従い動く倫敦派と神の目の導きを持つアークの動き方は奇妙に符合する部分があったのは確かである。倫敦派は最初からある程度最終局面の状況を見越して動いていたし、逆を言えばその援軍は最初から『こうする為の』ものだった。
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