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TOP(2012/12/12) <七派会談>下
種別: 全角200文字、改行無し    レス:500件

影の継承者(ID:BNE000955)
斜堂・影継

2012/12/14(金) 22:08:40 
「まぁ、捨て置く訳にはいかないさね。
 こちとらこれでも『三尋木』って七派の金看板上げてンだ。
 あんまり見くびってもらっちゃ、下の連中だって黙っちゃいないしね」
「……貴殿はどうだ、羅刹殿」
 少しとうが立った鉄火肌の美人と言えばしっくり来る――三尋木首領、三尋木凛子の言葉に大きく頷いた斎翁は沈黙を貫いていた六人目の首領――六道羅刹に問い掛けた。
「……」
「貴殿は、どうしたい」
 たっぷりと時間をかけた羅刹は二度目の問いに重く言葉を発する。
「正直、我は『楽団』とやらに興味が無い。主等にも、不肖の妹の企み事にもな」
「……言うな、六道羅刹。それは額面通りの意味と受け取っても構わないのかね?」
 細い眉を神経質そうに歪めた黒覇は彼の真意を問い質す。彼とて羅刹が冗談を言わぬような男である事は承知の上であるから、その問い掛けは些か剣呑な事に『確認』に過ぎない。
「言葉通りの意味だ。我が進むべき六道に主等はおらぬ。当然、つまらぬ毛唐もな」
 羅刹はにべもなく言った後、しかし言葉を付け足した。
「されど、今朝――一つ報せを聞いた。新潟のある小村が死人共に襲われたという。修行時代、我に美味いおけさ柿を振舞ってくれた夫婦が住んでいる村だった。故に、六道は参戦す」
「……と、なると」
 元より考えて分かるような男では無い。羅刹の述べた『理由』には苦笑いを浮かべ追求はせず、凛子はちらりと黒覇を見た。彼が小さく頷いたのを確認した彼女は、
「取り敢えず全会一致――って訳だ。『居ないの』を除いては」
 足りない首領のそのモニターを半眼で眺めてそう纏めた。
「……あの人、勝手に飛び回ってるの」
「『ウチは勝手にやるから皆も好きにどーぞ』だって。信じられない」
 本来ならばそこに映っている筈の黄泉ヶ辻首領に代わり、肩を竦めて溜息を吐くのは『名代』を押し付けられたナツキとフユミの二人である。黄泉ヶ辻京介の迷惑な奔放さを痛い程に知る首領達は彼女等に何かを言う事は諦め、六人による結論を出した。
「七派は互いを完全休戦とし、『楽団』を共通の敵とする。だが、問題は……」
 斎翁はそこで言葉を切って、モニターの中に在らぬ最後の一人――中央で黙って話を聞いていた千堂遼一に視線をやった。
「――はい、所謂一つの正義の味方、正義マン。あのアークですね。どうするか」
『ほぼ斎翁のプラン通り』に進んでいる会談で彼が為すべき事は決まっていた。『恐山に利する要素の追加』である。百虎や一二三はいざ知らず、まともに参戦して『楽団』の火の粉を浴びる気等、斎翁には毛頭無いのだからそれは当然。汲まねばなるまい。
「僕としてはですね。アレは利用した方が得だと思いますよ。
 どうせ、僕達以上に狙われてるし、僕達以上に放っておけない立場なんだし。何なら、機を見て向こうの様子を見てきますけど。どうでしょうね?
 お任せ頂ければね。首領の皆様方としては、どうお考えでしょうか?」
 モニターの中の震える位の大物達を見回して、狂言回したる千堂は身震いがする位の興奮を感じていた。『国内主流七派とは国内の神秘勢力のバランスを司る究極の柱である』。それに伸張著しいアークを加えてBIG8。その事実は何とも全く揺らぐまい。それ等のバランサーたる自分たるや、これは究極の遣り甲斐、至高の陶酔である。
「渡りをつけますよ、宜しければ。
 連中を盾に剣に使えばいい。こう見えて、結構自信がありましてね。
 ね、御老人。試してみる程度の価値はありますよね?」
 一二三はその言葉を鼻で笑い、凛子は興味深そうに彼を見た。
 何れにせよ、事態は動き出している。ケイオスが来日したから、ではない。或いはひょっとして――『相模の蝮』が動くよりも前からだと、千堂はそう思っていた。
(君達は、手酷い運命を引き寄せる。そしてそれを沈める装置。
 まるで『バランスの良い』吸引機みたいじゃないか――?)
 彼は『静岡の友人達』を思って笑っていた。
「まぁ、取り敢えず、全ては六道の姫君の件が落ち着いてから、という事で!」
 すぐそこまで近付く嵐を千堂は気に留めて居ない。
 死なばそれまで、プランを変更するだけだと。
『薄情な風見鶏』は実に気楽に笑っていた――


※『楽団』による黄泉還り事件で日本国内の崩界度が54%→57%に変化しました!
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