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どこかの秘密基地
種別:
全角600文字、改行50回まで
レス:500件 |
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ヒューマン(ID:BNE000166)
ヘルマン・バルシュミーデ
2012/10/28(日) 23:30:28 |
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三高平のどこか。
誰も使っていないらしい倉庫の扉が開いていたので、中にゴザやら拾ってきたちゃぶ台やらをこっそりと持ち込んで秘密の場所として使っている。
もちろん不法占拠であるので、この場所を後にするときは必ずちゃぶ台の上に
「管理人さんへ
不法占拠してごめんなさい、ついにばれてしまいましたね。
勝手に持ち込んじゃったものはなくなるとちょっとかなしいので、まとめて倉庫のそとに置いといてくれるとうれしいです。
だめだったらそうしなくてもいいです。
ひみつのわたくしより」
と書かれた紙を広げて置いている。
設備:人が座れるゴザ、ちゃぶ台、懐中電灯、筆記用具、壊れた電気ポット(気分を盛り上げる専用)
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ヘルマン・バルシュミーデ(ID:BNE000166) 2012/10/28(日) 23:53:47
(こっそりと倉庫の引き戸を開ける。足音を忍ばせているつもりらしいが、やや高めのヒールがコンクリートの床を叩く音は必要以上によく響いた)
……。
(ちゃぶ台の上の紙がそのままにされているのを見て頷く。どうやらここはまだ誰かにばれてはいないようだ。ゴザに座り込み、どこかで拾ってきたらしい古ぼけたラジオをちゃぶ台の上に置く。電源を入れる。動かない)
……ふふ。
(何が嬉しいのか、小さく笑ってカチカチと様々なボタンを押していく。しばらくしてから満足したように息を吐き、ポケットから小石(これもどこかで拾ってきたらしい。なんとなく形が猫の顔に似ている)を出して倉庫の隅に積む)
……うん、
(頷く。左腕の時計をちらりと見て、ちゃぶ台の上の紙の位置を直してから倉庫を後にする)>入退室
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ヘルマン・バルシュミーデ(ID:BNE000166) 2012/11/17(土) 14:14:27
(薄暗い中、ぼんやりとちゃぶ台に肘をついている。ごしゃごしゃと普段置いている紙をどけて、替わりにシンプルなデザインの便箋を置いた。こつこつと鉛筆の先で便箋を叩きながら何事か考える)
……。
(さら、と鉛筆が便箋の上を滑る音が響いた。こなれていない、丁寧ではあるが下手くそな字)
『有川 博文さま』
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ヘルマン・バルシュミーデ(ID:BNE000166) 2012/11/17(土) 14:56:25
『お久しぶりです、お元気でしょうか。こちらは色々ありましたが元気にやっています。
最近はハロウィンパーティなんかもあって、ここはいろいろな行事にさんかすることができて楽しいなあとおもいます。
この間、自分が人間じゃないって思ってる人のことをお手紙にかきましたじゃないですか。
あのあともう一回会って、少しだけお話をしました。
なんだか悩んでいるみたいでした。難しいことを言われたのでよくわからなくて、うるさいな人間なんだよ! みたいなことを言っちゃったんですけど、
だって人間が人間なのはほんとだし。
そう、そしたらその人、結局わたくしを殺さなかったんです。その人はすごく強くて、たぶんわたくしを好きに殺せるくらい強かったと思うんですけど。
その日はそのあとすぐにわたくしが逃げちゃったんですけど、なんか、言いたいことがあるみたいな、やりたいことがあるみたいな、そんな気がしたので、もう一回お話したいなっておもったんです。
多分あのひとからしたらわたくしのこと殺すべきだったんでしょうけど、結局殺さなかったし、たぶん、もう一回話したらなにか見えてくるような気がしたんです。』
(鉛筆を置いて、ふう、と息をつく。二枚目に突入した便箋を眺めてなんだかぐちゃぐちゃな文章だなあと首を傾げ、倉庫内のがらくたに目をやって、考え込むようにこめかみをとんとんと掌で叩いた。そうしてから、また鉛筆を手に取る)
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ヘルマン・バルシュミーデ(ID:BNE000166) 2012/11/17(土) 15:40:22
『なんか自分でもなにかいてるのかよくわからなくなってきたんですけど、有川さんならたぶん許してくれるとおもうのでこのまま続けます。
ついこないだ、その人のご主人さまを見ました。その人のご主人さまはその人のことを懐刀?(懐の字が間違っている)みたいな感じで扱ってたみたいなんで、そのご主人のうしろには当然その人、えーと、もうややこしくなってきたので名前出しますけど、スタンリーさんというひとです。そのスタンリーさんがいるとおもってたんですね。
そしたら別のひとがいました。
びっくりしました。新しい懐刀(やはり懐の字が間違っている)とか言っちゃって、あれっスタンリーさんは?ってなりました。
だからもう気になって気になって、気になってしょうがなくて、最初はそのスタンリーさんのご主人には会わないつもりでいたんですけど、やっぱり会いたくて、聞きたくて、結局会いにいってしまったんです。
そうしたら、人がたくさん死にました。
わかんないです、わたくしが会いに行かなくても人はたくさん死んだのかもしれません。でも、なんか、あそこでわたくしがわがまま言ってなかったら、もしかしたら死なずにすむ人がいたのかもしれないっておもって、そうしたら、なんか、
』
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ヘルマン・バルシュミーデ(ID:BNE000166) 2012/11/17(土) 15:40:31
(鉛筆が止まる。薄暗いひとりきりの空間に、ひぐ、とみっともない嗚咽が響く。小さく息をついた拍子に便箋にはたりと雫が零れたのを見て、慌ててぐっと息を詰めて顔を拭う。
息を吸って、吐いて、寄せた膝に顔を埋めて声を殺す。しばらくの間の後、長い息を吐いて顔を上げ、また鉛筆を手に取った)
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ヘルマン・バルシュミーデ(ID:BNE000166) 2012/11/17(土) 15:42:00
『はなしがだっせんしたのでもどしますね』
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ヘルマン・バルシュミーデ(ID:BNE000166) 2012/11/17(土) 16:12:56
『それで、えーと、スタンリーさんのご主人に、話をききました。スタンリーさんは研究所?にいるらしいです。
生きてるっていうのはほっとしたんですけど、なんか、やっぱりそのご主人はスタンリーさんのことをどうも人扱いしてないっていうか、なんか…
なんかね、わたくしのご主人さまとちょっとだけにてるっておもいました。いや、ご主人さまはあんなふうにいっぱい人を殺したりしないですけど、なんだろうなあ。
大切にしてるのかもしれないけど、大切にしてないっていうか。捨ててないつもりなのかもしれないけど、捨ててるっていうか。
あのふたりのこと、わたくしはよくわかんないんですけど、いらないって言われるのはすごい怖いことで、自分に代わりがいるっていうのも、すごい怖いことだとおもいます。
こわかったです。
研究所ってことは、そのご主人の趣味とか考えると、たぶんひどいことされてるとおもうんです。
そんで、スタンリーさんはわたくしの名前を呼ぶらしいんです。うわごとみたいに。
なんか、もう、
なんか、
スタンリーさんは、わたくしを必要としてくれてるんでしょうか。いまあの人がどんなこと考えて、どんなきもちでわたくしの名前を呼んでいるのか、そういうのはぜんぜんわかりません。
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ヘルマン・バルシュミーデ(ID:BNE000166) 2012/11/17(土) 16:13:31
でも、名前を呼ぶってことは、必要としてくれてるってことなんだとおもうんです。
わたくしは、いらないって言われるのがすごくこわいです。だから、必要としてもらえるのはすごくうれしいです。名前を呼んでもらうのがすごく好きです。
そんで、誰かの名前を呼んだときに、そのひとが来てくれると、ほんとに、すっごくうれしいです。
だから、できることなら、行ってあげたいとおもうんです。またお話したいとおもうんです。
もしわたくしのこと必要としてくれるんなら、こんなわたくしの名前をうわごとでまで呼んでくれるんなら、それはすごくうれしいことで、わたくしはすぐにでも、彼のところに行きたい。
まだ、いけないけど。
これ以上ひとが死なないように、こんどは、こんどこそはぜったいにうまくやりたいんです。
そんで、スタンリーさんともう一度お話しがしたいです。
うーん。
なんていうか、なにが言いたかったのかな、
多分わたくしは、あの人をひとりにしたくないのかなあ。
もちろん悪いこといっぱいしてきたひとですし、ぶち蹴ってやりたいともおもいます。
でも、やっぱり、どんな悪い人間でも、ひとりでいるのは、すごく、よくないことなんだとおもいます。
わたくしは、ひとりになったとき、有川さんがとなりにいてくれて、ほんとうにうれしかったです。
だから、できることなら、となりにいたいなあとおもうんです。
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ヘルマン・バルシュミーデ(ID:BNE000166) 2012/11/17(土) 16:13:46
うーん、なんか、えらそうですね。
ほんとはなんともおもわれてなかったらかなしいですねこれ。さびしい。
そうだ。
もうすぐ年末ですね、年が明けたら、ちょっとだけそちらへおじゃましたいとおもっています。
めいわくでなかったら、家にいれてくださいね。
おみやげもっていくので。
ヘルマン・バルシュミーデ』
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ヘルマン・バルシュミーデ(ID:BNE000166) 2012/11/17(土) 16:24:09
……ふー。
(読み直すことすらせず、自分の頭の中で渦巻く事象を書き連ねただけの手紙を丁寧にたたんで封筒に入れる。きっちりと糊で封をして、宛名を書く。
切手はコンビニで買えばいいや。そう考えながら机の上を片付けて、いつもの紙を定位置に戻す。
すっかり暗くなった倉庫の中でううんと伸びをして、もう一度目尻を拭ってから、出て行った)
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