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<世界を飲み干す者>
よし、お前等準備はいいか?
ラ・ル・カーナ最大の作戦、突入準備は整った。
アークはこれより『世界樹エクスィス』を目指して攻勢作戦を開始する。
今回、我々が為すべきは『このラ・ル・カーナを救出する事』。R-typeにはハインツ、深雪、両クェーサーの借りがあるとは言わんがな。アレへの対処法を『ここで学ぶ事で、来るべき決戦への糧』に出来る可能性は十分だ。試金石としては十分と考えられる。
……『アレ』に対する個人的感情はさて置いても、フュリエ連中を見捨てるのも寝覚めは悪い。『忘却の石』の安定供給を続ける為にも、連中に今後何らかの協力を仰ごうにも世界が滅亡しちゃしょうがねぇからな。
では、プランを説明しよう。
我々の作戦の具体的目標は『シェルンを世界樹エクスィス内部に突入させ、ミラーミス(それ)に食い込んだR-typeの残滓を破壊する事』だ。この作戦に関わる大きな問題は三つ。
一つ目の障害は『憤怒と乾きの荒野』に闊歩する狂化変異体――バイデンや巨獣共が異形化した連中――だ。世界樹まで我々が到達する為には、この敵を切り開く必要がある。
敵戦力は膨大かつ強靭。それ等全てを素直に破壊するには戦力が足りないと言えるだろう。そこで私は例のラ・ル・カーナ橋頭堡を利用して、連中を撃破する作戦を立案した。知性の低い変異体共を誘導して叩くのだ。
さて、二つ目の障害は首尾良く部隊を世界樹に到達させたとしても、世界樹には親切な『入り口』等存在しないという点だ。現時点では世界樹の強度、戦闘力、抵抗等……状況は確実に読めているとは言い難い。何れにせよ、突入部隊が強行するにはこちら側の攻撃――働き掛けが必要になるだろう。作戦は世界樹の注意を『内のみに向けない』為にも重要だ。
そして、二点目より三点目。世界樹に突入したとしても、その内部を進むには相当の危険が存在する事がシェルンにより確認されている。外部に産み落とされる変異体と同じく、迷宮化した世界樹の内部には危険な生物が溢れている筈だ。加えて言うなら世界樹のコアに『忘却の石』をリンクさせる仕事はシェルンにしか出来ない。リベリスタは彼女と共に血道を開き、最奥へ到達し――更には戻らなければなるまい。大変な重労働になるぞ。
予め言っておくがこれは確実な作戦じゃない。保証は無い。
『忘却の石』による『リセット』の成功確率は、智親によれば70・485%と目されてる。
全ての結論を総合すれば分のいい戦いじゃないがここは不退転だ。押し切る。
世界樹東、世界樹の森からはシェルン様率いるフュリエの援軍が到達しています。シェルン様はこの後、指揮を離れて突入部隊と合流する予定となっております。フュリエの中では戦い慣れているエウリスさんが狂化変異体の誘導を手伝ってくれるみたいですね。
それから……
……バイデン共も部隊を展開しつつあるようだ。R-typeの影響を比較的受けていないフュリエに比べて連中は大本に『近い』からか戦力の大半を変異化と同士討ちで失っている。当然、お得意の巨獣戦術も殆ど機能しない状態だ。しかし、少数になっているとは言え、この場を逃す心算は無いようだな。流石と言うべきか愚かと呼ぶべきか、未だ健在なプリンス・バイデン、グレイト・バイデン――イザーク・フェルノを中心に憤怒と渇きの荒野西に布陣している。戦いが始まれば連中が雪崩れ込むのも間違いない。
尤も、バイデンは『強き世界樹を的にしているだけ』の戦闘狂共だ。現場の判断は尊重するが戦略的にはコントロール出来ない存在――味方ではない事は覚えておけ。
十二時の方向より狂化変異体が接近!
両翼のフュリエ、バイデン両軍も動き出した模様!
……始まります、戦端が――戦端が、開こうとしています!
時間だ。
ああ、俺にはこう言う事しか出来ない。だが、お前等なら負けねぇって信じてるぜ。
本気で言ってる。一つ派手にやってやろうじゃないか――!
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