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TOP(2012/08/04) <果断なる者達> 下
種別: 全角200文字、改行無し    レス:500件

影の継承者(ID:BNE000955)
斜堂・影継

2012/08/04(土) 01:27:37 
http://bne.chocolop.net/img/top_bg/BNE_bg_20120804ex.JPG
<果断なる者達>

「今度は正面衝突か。確かに分は悪い。
 分は悪いが、手段が無い訳じゃない。要するに背に腹は変えられないって事だろ」
 沙織はモニターにラ・ル・カーナ橋頭堡周辺の地図を映し出す。
「まず、現状を整理しよう。ラ・ル・カーナ橋頭堡はバイデンの攻勢により失陥した。実際に確認しなければ分からないがバイデンの戦力はこの橋頭堡ないしはその周辺に駐屯していると考えていいだろう。こちらの橋頭堡を落とした以上は世界の継ぎ目の拠点を放棄する意味は無いからな」
 頷くリベリスタ達に沙織は「宜しい」と続ける。
「つまる所、橋頭堡周辺に進撃すれば否が応なくバイデンの部隊に発見される。それは間違いない。ラ・ル・カーナに進撃する場合、橋頭堡及びリンク・チャンネル付近での戦闘は避けられないだろう」
「それで?」
 促したリベリスタに沙織は一つ頷いて答える。
「俺はこの戦いにフォーチュナを投入する」
「それは――」
 非戦闘員でありリベリスタの中でも特別な才覚を要求する彼等を危険な戦闘地域に派遣する事は巨大なリスクを伴う。それは考えるまでもない事実ではあるのだが――
「フォーチュナはボトム・チャンネルの外では『万華鏡』によるサポートを受けられない。つまる所、相対的に機能が低下する訳だ。その上、連中は基本的に戦闘能力がないから非常に危険だ。それは道理だがな。俺の知り合いにその全ての問題をクリアする女が一人だけいる。そいつはラ・ル・カーナでも機能が低下せず、守る必要もない位に強力だ。唯一つ、出来れば……いや、絶対に借りを作りたくないヤツでもあるけどな」
「――――!」
 リベリスタはこの時点で敢えて遠回りな物言いをした沙織の意図を理解した。成る程、自前のアーティファクト『24、The World』の力を以って探査する『塔の魔女』アシュレイならば『万華鏡』の有無は関係ない。危険をものともしないのも道理である。彼女の存在がどの程度機能するかは難しい所だが、高度探査が可能ならば作戦行動に一定の寄与が果たされるのは間違いなかろう。
「……ま、その辺の『交渉』は既に済んでる。気休め程度にはなるだろう」
 沙織の言葉は何よりも如実に『彼自身が今日の選択肢』を見越していた事を――或いは期待していたかも知れない事を意味していた。
 小さな笑みを零すリベリスタ。
 馬鹿という沙織がまずは馬鹿なのだ。
 積極的に肯定しないまでも、感情の面では十分付き合っている。同時に翔太が望んだ通り、可能な範囲で足掻いてくれるのも助かる所。
「忙しくなるぞ、これから」
「何も出来ないよりずっといい」と誰かが笑う。
「簡単にはいかないだろうが――」
「望む所だ」と誰かが笑う。
 リベリスタ達の決断はラ・ル・カーナを巡る攻防に新たな波紋を引き起こすだろう。果断なる者達のコイン・トスが表を引くか裏を引くか、誰も保証出来るものではなかったが――
「さあ、早く行きましょう。『ついでに』駕籠に堕ちた子達も救いに」
 ――満足そうに言ったこじりの言葉に一同は小さく頷いた。
 箱舟が臨むのは戦争である。戦争には犠牲が付き物だ。
 しかし、『ついでに』仲間も助けなければ。
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