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<対応協議>
「という事はある程度の情報は獲得出来たという事かね? 真白室長」
「ええ。ある程度はね。頭の中を映像で覗ける連中も居ますからね。その辺りも含めて『分かる事は分かりました』よ。但し、十分じゃあない。連中の首魁が『プリンス・バイデン』なる個体である事や、バイデンの大凡の数。バイデン連中の生活がどうなっているか、憤怒と渇きの荒野に存在する彼等の集落について等は分かりましたが。何せあっちの世界に土地勘のない我々です。集落の位置を特定するには到っていない。無論『ゲルン』は捕虜の現状も知らない。唯、ヤツはプリンスが『外の戦士に興味を持っていた』事を知っておりましたな。いや、プリンス・バイデンという男、見た目に拠らず中々好奇心が旺盛なようで。以前はフュリエにも興味を持っていた様子ですよ。フュリエ連中については明るい未来では無かったようですが」
バイデンは以前フュリエを浚う事もあったとされている。
プリンスの『興味』とやらが何を示しているかは分からないが、智親が言うには捕虜は『今の所は』生きている可能性が高いと推測されるとの事であった。勿論、何処にも保証は無いのだが。
「――バイデンの個体数はフュリエと同程度。しかし、バイデンに戦えない個体は居ないだろうから、相当数の強力な戦力が存在していると断定していいだろう。バイデン連中は戦いに飢えている。そして有り難くない事にうちの連中との戦いで味を占めちまった。放っておいても態勢を整えた連中はボトムに攻め込んで来るかも知れない。
俺達が取りえる手段は二つ。
一つは戦力と態勢を早急に立て直して、電光石火の攻略作戦で穴の向こうのバイデンに挑みかかる事。捕虜連中の身柄も――リミットも気にかかる所だから拙速は巧緻よりも上手い結果を出すかも知れない。しかし、リスクは小さくない。何せ相手が相手だからね。上手くやれば素早くバイデンを追い払える可能性はあるけどね。
戦略司令室への陳情を考えても現場の一部はやる気たっぷりだろうさ。
二つ目はボトムで迎え撃つプランだ。
迎撃ならば三ツ池公園が防衛ラインだ。アシュレイに無限回廊の設置を要請したからすぐさまバイデン連中が外に拡散する事は無いだろう。迎撃した場合、それなりの有利はあるが不測の事態が起きた時の被害と混乱はぞっとするね。バックハンドブロウの風情で引き込んで叩き、攻めあがるプランだから捕虜を諦める訳じゃないが――話に時間を掛けすぎれば連中が危険に晒されるのも確かだ。
どちらにもメリットはあるしデメリットもある。難しい匙加減だよ」
沙織は掛けていた眼鏡を外してケースに仕舞った。手ぐしで荒く前髪をかき上げ、スマートな彼らしからぬ動作で頭をくしゃくしゃと掻き乱す。
「全く、したり顔して戦況を喋る自分が嫌になるぜ」
冷静な沙織の微妙な感情の色を父と年上の親友、彼を良く知る二人は敢えて見ない振りをした。何れにせよ、選ばねばならないのだ。手をこまねている暇は無く、事態は一刻を争うのだから。
→戦略司令室討議(vsバイデン)
→緊急の戦略投票が始まりました!
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