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TOP(2012/07/31) <対応協議> 上
種別: 全角200文字、改行無し    レス:500件

影の継承者(ID:BNE000955)
斜堂・影継

2012/08/01(水) 03:34:53 
http://bne.chocolop.net/img/top_bg/BNE_bg_20120731ex.JPG
<対応協議>

「沙織、それで状況は?」
 事実上のアーク司令として大組織を切り盛りする戦略司令室長・時村沙織にそう問い掛けたのは彼にその任を預ける『名目上の司令』父・時村貴樹その人だった。健康上の問題から普段のアークの運営に関わる事は無い貴樹だが、非常事態とあらば話は別である。逆を言えば今日、貴樹がブリーフィングルームに顔を出したという事実はまさにアークが難しい舵取りを迫られているという証左でもある。
「芳しくないね。実に芳しくない」
 嘆息した沙織は父の問い掛けに小さく肩を竦めて応えた。彼の手元のレポートにはラ・ル・カーナ橋頭堡陥落に到るまでの状況が可能な限り克明に示されている。先に戦ったバイデンの戦闘力の高さは各戦闘の勝率を見れば分かる事だった。
「リベリスタ側が押している、拮抗した戦場も多かったようだけど――何せ投入された戦力が半端じゃねぇ。うちの連中の戦い振りが悪かったとは思わないがね。負けは負け。状況は揺るがない」
 沙織の言葉を受けた貴樹は「ふむ」と頷いた。そんな父の反応に構わず沙織は尚も言葉を続ける。
「ラ・ル・カーナ橋頭堡は陥落。ボトム・チャンネル側のゲート付近――三ツ池公園にはこれまでの三倍の警戒戦力を配置したが、あの大軍勢が相手じゃ手には負えないだろうな。悪い事にバイデン連中はボトムに興味を持っているという話も聞く。
 それにそれだけじゃないよ。何より騒ぎが続けばフィクサード連中が余計な鼻を利かせるかも知れないし。前門の虎、後門の狼。加えてうちの連中が確認した限りじゃ八人もラ・ル・カーナに取り残されているらしい。生死は不明。報告書じゃバイデンに捕虜にされたって話もあるが」
 饒舌な沙織はやや疲れた顔をしている。敗戦後の状況整理と情報確認、対処の手配に追われた彼は休んでいない。それは後ろ頭をばりぼりと掻くもう一人の室長・真白智親も同じであるが。
「智親、親父に説明してやれ」
「はいよ」
 気軽に返事した智親はコホンと咳払いをして口調を変える。
「えー、時村司令。早速説明させて頂きますと。ご子息に指示を受けましてですね、『バイデンの捕虜』を今、地下施設に隔離しとります。アザーバイドは崩界を加速させますが、増殖性革醒現象は持たない。短期のリスクは織り込み済みです。非常手段で望ましい行動とは言えませんがね、戦いのどさくさでも何とか連れ出す事に成功した虎の子を逃がす訳には行かなかったので」
 智親が端末を操作するとパネルに正方形の頑丈な部屋に閉じ込められたバイデンの姿が映った。橋頭堡の戦いで囚われた彼は『辛うじて』混乱の最中にボトム・チャンネルに移送されたのだ。
「個体の名前は『ゲルン』。平均的なバイデンの個体と言えるでしょうな」
「尋問の類は?」
「勿論。あれだけ強靭な連中に自白剤の類は通用せんでしょうが、我々には神秘の力もある。
 ……唯、結果から言えば『ゲルン』は比較的大人しい様子でして。尋ねるべきを尋ねるのは出来ましたよ。交戦したリベリスタ達が認められたか余程上手い配慮でもしたのでしょうな」
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