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TOP(2012/07/29) <荒野の咆哮>
種別: 全角200文字、改行無し    レス:500件

影の継承者(ID:BNE000955)
斜堂・影継

2012/07/30(月) 01:05:46 
http://bne.chocolop.net/img/top_bg/BNE_bg_20120729ex.JPG
<荒野の咆哮>

「冗談じゃない」
 そう言ったのは肩で息をする 『正義の味方を目指す者』祭雅・疾風(BNE001656)だった。
「冗談じゃない。そんなに簡単に負ける訳にはいかないんだ!」
 耳をつんざくような轟音が入り乱れての戦場を支配する。
 血臭が夜霧のように煙り、間近に差し迫った死が抗う者共を哄笑している。
「全く、やってられないぜ」
 冗句めかして嘯いて黒耀ノ翼より血を払う。 『chalybs』神城・涼(BNE001343) もその消耗を隠せない。吐き捨てるように 『ソリッドガール』アンナ・クロストン(BNE001816) は言う。
「どれだけ、いるのよッ!」
 長く、短い戦いだった。
 疲労の中、消耗の中、緊張の連続、刹那『生』を選び続けなければならぬ二択の連続である。神経をすり減らす戦いに正しい時間経過を意識していた者は居なかった。
「幾ら居ても、的に困らないというものなのだわ!」
『BlessOfFireArms』エナーシア・ガトリング(BNE000422) の銃口が例外なく敵を狙い、強か叩く。
「おおおおおおおおお!」
 血で血を洗う戦場で敵に負けじと吠えるのは 『赤い墓堀』ランディ・益母(BNE001403)。
 ――それが如何程のものかは兎も角、時間が過ぎたのは確かである。
 過ぎ去った戦いの先に『結末』が現われようとしていたのは確かだった。

「――オオオオオオオオ!」

 やがて、獣の重低音がときの声を上げた。
 バイデン側が繰り出した攻城部隊の多くはリベリスタの決死の防御に阻まれはしたのだが―― 『グレイト・バイデン』 なる彼等の切り札はその防御に大きな風穴を開けていた。橋頭堡内部に侵入したバイデン達をリベリスタ達は良く防御したが、あの 『イザーク・フェルノ』 をはじめとする精強な精鋭の幾らかは粘り強いリベリスタ達さえ圧倒した。
 戦闘は一定の拮抗を見せたが、決定打は別の場所に存在した。何より最大の問題は――リベリスタ側の迎撃部隊の対応したバイデンの大軍勢の威圧であった。
 古来より城を攻め落とすには三倍の兵力を要するという。防壁に取り付き、或いは侵入したバイデン達は環境の不利が否めなかったが、野戦のバイデン達はその実力をより如何なく発揮出来る環境にあったという事であろう。リベリスタの奮闘虚しく、各所で敗れた迎撃部隊はその過半数が崩される格好になっていた。結果として迎撃部隊を押し切り後詰めとして橋頭堡を攻撃した『外』の大軍勢に遂に拠点は屈する事になったのだ。
「く――」
 呻き声を上げたのは誰だっただろうか。
 それ以上、そこに留まる事は徒に危険だけを背負うまさにナンセンスである。波が引くように橋頭堡を――何とか脱するリベリスタ達。
「このままでは、終わりませんよ――」
 雪白 桐(BNE000185) が小さな声で呟いた。
 目前の敵の得物を払い、身を翻しかけた彼は――閃く剣劇の音色に酔いしれるバイデンの思いも寄らぬ言葉を聞く事になった。
「無論だ! これで終わってくれるな、外の戦士。
 全てはこれからなのだ。俺達の闘争も、貴様等の闘争も!」
「――――」
 バイデンより発された『意味のある言葉』は桐の理解し得るものだった。見ればあちこちで似たようなやり取りが起きている。何故このタイミングで『言葉が通じた』のかは現場のリベリスタ達には知る由も無い情報ではあったのだが――シェルン・ミスティルを通じて世界樹に伝達された情報が『同じ枝分かれ』であるフュリエとバイデン(と知性は低いが或いは巨獣)にボトムの言葉を与えたというからくりである。
 しかし――どうあれ、最早猶予は無かった。
 この期に及べば語り合う言葉も無く、戦いは終わりに向けて唯加速するのみ――

 ――バイデンの猛攻により陥落した橋頭堡。
 リベリスタ達の大半は互いに支え合い、死力を尽くす事で辛うじてボトム・チャンネルまで撤退する事に成功したが――
 参戦したリベリスタの内、 ヘクス・ピヨン(BNE002689)、 御厨・夏栖斗(BNE000004)、 羽柴 壱也(BNE002639)、 レイライン・エレアニック(BNE002137)、 リンシード・フラックス(BNE002684) 、 設楽 悠里(BNE001610) 、 スペード・オジェ・ルダノワ(BNE003654)、 新田・快(BNE000439) の姿はその中には無かった。

 異世界における情勢は混迷。
 アークの初めて喫した敗北は乾いた砂の味がした。
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