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【展示】 今日の一冊
種別: 全角200文字、改行無し    レス:500件

ホリゾン・ブルーの光(ID:BNE003658)
綿谷 光介

2012/04/22(日) 21:05:03 
壁際の本棚に差し込まれた、統一感のない書物の数々。
文庫の小説、艶やかな絵画集、古びた魔導書……。
手を伸ばせばそこには、未知の世界が広がっています。

◆店内にある本の内容を紹介していくスレッドです(不定期更新)。
◆文中の一節、書籍の装丁などを淡々と記していきます。
◆感想などございましたら、「カフェスペース」の方でいただければ幸いです。

(基本的には、店員の手による更新を想定しています)


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2012/04/22(日) 21:13:56
「余はもっともっと珍しいものを見たいのじゃ!」「お、王様、では、アベコベトカゲなどはいかがでしょう? 話によるとそのトカゲ、尻尾をざくりと落としても、ものの数秒で新たな尻尾を生やすとか」「それじゃ!」「かしこまりました。例のトカゲをここへ!」「でかしたぞ、大臣! それでは切るぞ……えいやっ!」「お、王様……アベコベだけに、そちらは頭でございます」「……」   >童話『アベコベトカゲの尻尾』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2012/04/26(木) 00:24:38
十人十色、百人百様。美的センスは人それぞれ。たとえば野に咲くスミレの花々。あたしはあれが大嫌い。緑に映える紫の点々。さもしい男と寝た翌日に、あたしの首元にできる痣にそっくり。   >自伝『依子のあだ花物語』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2012/04/28(土) 00:41:39
「剃っているのではない! ハゲているのだ!」「逆にっ!?」   >小説『その男、いさぎよし!』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2012/05/02(水) 21:02:51
(本を開くと、かわいらしい一輪の花が咲きます。開いた人の頭頂部あたりに)   >魔導書『花笠』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2012/05/17(木) 22:56:38
小さな土筆のささやかな夢――それは空を飛ぶことでした。彼方に見える燕のように、大空を舞ってみたかったのです。焦がれ続けて、はや数年。朽ち果て、大地の精と化してからも、土筆はあきらめきれません。でも、あるとき土筆は気がつきました。いつの間にか、体が薄紅色に染まっていることに。幾度めかの春――大樹に吸い上げられた土筆は、桜の花びらに姿を変えて、華麗に空を舞ったのです。   >童話『土筆の願い』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2012/06/07(木) 00:06:33
鳴いても殺そうホトトギス。   >教養新書『強者の理』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2012/06/16(土) 17:56:58
(1年前のいま考えていたことが、強制的に頭をよぎります)   >魔導書『気分転換』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2012/06/23(土) 05:20:20
(カップに入ったコーヒーが少しずつ目減りしていくだけの写真集。ラテアートかと思いきや、コーヒーの現代アート。それなのに総数57ページ。ページによっては、めくってもどのくらい減ったのかわからないときも)   >写真集『コーヒーアート』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2012/07/06(金) 03:29:28
即興とは選択に過ぎない。ほとばしる刹那的なバッセージが、きわめて数列的な組み合わせであることは、コルトレーンの証明した通りだ。では選択に創造性はないのか? 否、構成要素が既存のものゆえ、そこにオリジナリティが生まれないというのは早計であろう。だがしかし、その創造的な営みすら、文化背景に縛られた数列の範囲内であることはあり得ないのか?   >思想『創造の幻想、幻想の創造』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2012/07/08(日) 16:28:18
「美少女しか、食パンをくわえて登校してはならないというのかっ!?」「……お好きに」   >小説『その男、いさぎよし!』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2012/07/21(土) 20:56:54
鉄棒よりものぼり棒の方がエロいのは当然として、ジャングルジムの角張った造形よりも、グローブジャングルの曲線に欲情できるようなら、あなたは本物である。え、太鼓橋? それならあなたは変態だ。   >教養新書『無機物のエロス』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2012/07/31(火) 23:43:07
(アウトドア、もしくは中華料理に最適)   >魔導書『火柱』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2012/09/04(火) 18:10:13
「なんで……なんでよ……あなたのこと信じてたのに! 生まれて初めて、ただの『人間』を信じてみようってそう思えたのに!」「い、いや」「言い訳しないで! ねぇ、なんで……」「ちょっ、落ち着……」「なんであたしのパンナコッタ食べちゃったのよぉおおお!」 切なる咆哮とともに放たれる光弾。開け放たれた冷蔵庫はおろか、家屋の半分が跡形もなく吹き飛ばされる。我が家の日常だ。   >小説『同棲相手が魔女でした』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2012/09/21(金) 17:13:16
(海をこよなく愛する画家による、連作を収めた画集。テーマは「海へと続く坂道と、坂の上から見下ろす海」。アドリア海に続くクロアチアの小道や、江の島の急な坂道……それぞれの風景が、ありし日の印象派を思わせるタッチで、やわらかく描かれています)   >画集『蒼に届くまで』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2012/09/29(土) 19:27:34
「紅一点」なる言葉は、はみ出し者の象徴にもなりはしないだろうか。   >思想『鬱鬱』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2012/10/15(月) 21:04:39
夜泣き石が鳴いたなら、彼方へ逃げねばなりません。夜泣き石は殺します。人も獣も殺します。   >民話集『霞屋民潭』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2012/10/23(火) 22:19:07
その男、扇風機を前にして。「ワレワレハ~、ウチュウジン、カ?」「……知らねぇよ?」   >小説『その男、いさぎよし!』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2012/12/02(日) 16:55:45
70年代とともに、革新の時代は終わった。俺らはふと足元を見た。気づけば、俺らが足蹴にしてきた膨大な量の遺産が、きちんと地層を作ってやがった。ただの地面じゃねぇ。ダイヤモンドよろしく……目がやられちまうほどに輝かしい地盤さ。だから、俺らは後ろを向いた。堅っ苦しいスーツを着込んで、堂々ともう1回始めてやることにしたんだ。「古き良きジャズ」ってやつを。   >自伝『後ろ歩きのジャズマン』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2013/01/11(金) 18:40:58
たとえば「人魚」について、考えてみましょう。上半身が絶世の美女で、下半身だけが魚といわれると、これはもう相当に神秘的な生き物に思えてくるわけです。マーメイドやメロウの世界です。ところが、上半身が魚で、下半身がたくましい男性だったとしたらどうでしょう? それはもう、ただの珍獣です。   >教養新書『逆転の発想?』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2013/02/17(日) 20:45:07
「ほいよっ」「お、さんきゅ」友人から投げ渡された缶を、片手で華麗にキャッチする。我ながら上出来。ありきたりな青春ドラマのワンシーンのようだ。が、しかし。「……おい」ありきたりな昼休みは始まらなかった。ひんやりと主張する、緑色の缶飲料。購買暗黒メニューの1つ――『爽快キャベソーダ』。「どったの?」「……」ありきたりな味覚を持った友人が欲しいと、切に思った瞬間だった。   >小説『日常コンフリクト』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2013/03/13(水) 04:44:23
至高神フォトスの勤勉な娘である、女神シュネ。彼女は、誤って流出させてしまった不完全な神格世界を、自身の涙とともに神性領域の外へと捨て去った。打ち捨てられた混沌は自主的に蠢き、創造神ゲーネスを生んだ。そのゲーネスの働きにより、混沌は泥の世界――すなわち我々人間の世界と化した。そして最後に、シュネの涙の一粒一粒が、泥人形たる人間たちの胸に宿った。   >フォトス教聖典『ラムス教典』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2013/03/14(木) 02:26:22
(部屋いっぱいに、イワシの大群の幻が現れます。ぐーるぐる、ぐーるぐる)   >魔導書『爆釣気分』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2013/04/12(金) 17:52:11
(何気ない日常の風景が、それぞれ、少しだけ意味ありげに描かれている――そんなイラストカード集。光差し込むオープンカフェの一角。夕暮れ時の遊歩道。雨の日の駅舎。めくりめくれば、素敵な何かが始まる予感)   >ポストカードブック『恋患いの予感』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2013/05/17(金) 23:25:15
物言わぬ雪雲に恋をした、悲しい淡雪。時がたてばたつほどに、雪は雪雲から遠ざかるしかありませんのに。叶わぬ恋――それは、空に生まれた「雪」の宿命ともいえましょう。それでも雪は奇跡を信じて、「好き」の言葉を念じます。100回念じることにします。「憂いのある灰色が好き」「包み込むような体つきが好き」……そうして100個目を念じ終えたとき、雪は地表に辿り着きます。満足げに消えてゆきます。   >童話『淡雪恋慕』


綿谷 光介(ID:BNE003658) 2014/02/17(月) 06:14:58
「……酒」「は? 氷なんて作ってないわよ?」「生(き)で構わねぇだろ」起き抜けのしわがれ声でそう言いつけると、女は呆れたようにベッドを降りた。見送った俺は、再度枕に頭をうずめる。見栄じゃない。本当に構いやしないのだ。気付けですらなく、ただの習慣。味の機微などわかりはしない。結局のところ――何を飲んでも、何を抱いても。心が死んでいれば、すべて等しくまずいのだから。   >小説『長すぎた死に際』
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