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TOP(2012/04/15) <アーク本部>
種別: 全角200文字、改行無し    レス:500件

影の継承者(ID:BNE000955)
斜堂・影継

2012/04/16(月) 00:07:23 
http://bne.chocolop.net/img/top_bg/BNE_bg_20120415ex.JPG
<アーク本部>


 天を引き裂くような咆哮。
 それは時に埋もれた鬼の怨嗟と無念の慟哭――

 大変な騒動の後に激動の夜は明け、三高平は漸く人心地を取り戻していた。
 しかして、一夜の悪い夢は醒めたとしても、流石にまだ心休まる程でも無く。深春・クェーサーは本部司令室で向かい合う沙織に皮肉な一言を吐き出した。
「……全く大山鳴動して鼠が一匹とは良く言ったものだ」
「神秘なんてものはそんなもんさ。連中の――お前達の非常識さにはもう慣れた」
 前半は揶揄、後半はむしろ厳し過ぎる条件の作戦を完遂したリベリスタ達への賞賛の意図だろうか。 肩を竦めた沙織は小さくかける椅子を軋ませた。
「信じられない位に穏やかだ」
「ああ」
「まるで戦いがあったのが嘘のようで……いや、そんな筈は無いのだが」
 苛烈を極めた決戦は、『鬼ノ城』そのものの崩壊で幕となった。不具合な運命の綾に導かれ、前触れ無く復活した鬼道は一夜の決戦を経て再び歴史の彼方へ姿を消した。岡山県総社市に突然現れた――『鬼ヶ島』は既に忽然と姿を消しているのである!
「アザーバイド共の事は良く分からないが……」
 沙織はそう前置きをして言葉を続けた。
「鬼ノ城は或いはあの温羅と何らかのリンクを持っていたのかも知れないな。確か禍鬼が言っていた筈だ。自分の刀はそれそのものがアザーバイドである――とか何とか。温羅の現界と共に此の世に出現したあの大城が温羅の影響を受ける存在だったのは想像するに難くない。さて、真相は分からないが――少なくとも幾らか後始末が楽になったのは間違いない」
「確かに。ミラーミスの落とし子――温羅の撃破は確認されている。
 復活した四天王の内、風鳴童子と禍鬼、鬼道官吏・鬼角の撃破も又然り。しかし、幾らか残存した鬼道が戦場より逃れたという情報もある」
「……少なくとも烏のお姫様は健在だな。
 勢力の核を失った鬼共がこれまでのような大脅威を発揮するとは思えないけどね。
 ……ああ、そんな顔をしなくていい。無論そちらには追撃を出すから」
 自分の顔を凝視する深春に沙織は苦笑い交じりで応えた。
 画竜点睛を欠くでは無いが、決戦に勝利して詰めを誤ってはたまらない……そう考えるのはどちらも同じである。ましてや敢えて口には出さぬまでも。知った顔さえ、何人も戻らなかった戦いなのだ。誰に報いる為にも、誰に恥じぬ為にも鬼道の始末も混乱した世情の後片付けも――アークには完璧に果たす義務がある。
「取り敢えず、情報は収集させ続けてる。
 神秘に拠らない現代社会への釈明も含めて――まだゆっくり休む暇は無い感じだけどね。
 完全に心置きなくゆっくりとは言わずとも、お前達も何日かは静養するべきだ」
 沙織は今すぐにでも飛び出したがっている――そんな深春に釘を刺す。
「糸はピンと張り詰める程強く見える。でも、張り詰め続けた糸はやがて負荷と緊張に切れちまう。お前の好きな論理を借りるなら、休む時は休む方が効率的で理に叶っているのさ」
「……うむ」
 些か不満気ながらも一応納得した様子の深春に沙織は続ける。
「宜しい。その位の方が可愛気があるってモンだ。
 それにさ。お前には時間だって必要なんだろう?
 これからのお前がどうするのか、より理想的にクェーサーの勤めを果たすにはどうするべきなのか。言われて聞くタイプでも無いだろ。是非、ゆっくりと考えてくれよ」
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