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<争奪結果!>
「今回もお疲れ様」
任務を終えて帰還したレナーテ・イーゲル・廻間(BNE001523)と望月 嵐子(BNE002377)を迎えたのは言わずと知れた戦略司令室長・時村沙織だった。
「早速だが……『逆棘の矢』、無事に獲得に成功したって?」
恐るべき鬼道との戦いは収束の気配を見せない。復活した『鬼ノ城』に君臨する鬼ノ王『温羅』に対抗という事か。古代のリベリスタ『吉備津彦』の遺した執念(さかとげのや)は宿敵の復活と共にこの世界に現界した。かのアークの天才真白イヴと神の目『万華鏡』をフル稼働するフォーチュナ達、悪名高きアシュレイ・ヘーゼル・ブラックモアの初の協力作業によりその波動を掴んだその存在は――アークの捜し求めたまさに切り札であった。
「どれ位、信用出来るかは知らないけどね。これでしょ?」
そう言って机の上に置かれた二本の矢に視線を投げたのはこの場に呼び出された内の一人、嵐子だった。
「アタシの得意は銃なんだけどね」
千四百年の時間を感じさせない返しのついた鏃はピカピカと輝いている。その鋭さは言うに及ばないのだが、果たしてどれ程のものなのかと少女は肩を竦めていた。
「『温羅』に物凄い性能を発揮するんだって言うしね、これ」
時代がかった武器と愛銃を見比べる嵐子に傍らのレナーテが答えた。強い神秘は『兵器の通常概念』を切り崩す。一般に武器は新しい程に強力だが、これを平然と覆す。主に守り手として実力を発揮する彼女にしても『矢』は馴染みのある武器では無いのだが。
「ああ。それは間違いない。効果の程はごろうじろ……だがね。
お前達のお陰で取り敢えず状況は進んだって訳だ」
「でも、二本か」
表情を引き締めたレナーテの声に沙織は苦笑いで頷いた。
「鬼道も必死って事かも知れねぇな。その分『矢』の威力には期待が持てる」
五組五箇所で行われた争奪戦はアーク側の二勝三敗に終わった形である。残る三本の矢は『鬼ノ城』へと持ち去られた状況だ。
「完全とは言えないが、嘆くばかりの必要も無い。
元々この『矢』の存在はイレギュラーだ。向こうからすれば五本全てを奪えなかった時点で元よりは随分不利になってるのさ」
歩み寄り、やや気負うレナーテの肩をぽんと叩く。
気安い様をレナーテがどう思ったかは知れないが、顔を上げて自分の顔を見るようにした彼女に沙織は軽く笑った。
「だから、お前は良くやった。ナイスだ、ヘッドフォンクラッシャー」
「誰がよ!」
俄かに緩んだ空気は彼が意図的に用意したものなのだろうか。
「ま、いいけどね」
少し呆れたように言った嵐子にも沙織は視線を投げた。
「お前もだ。弓と銃の違いこそあれ、お前はシューター。
原点に立ち返ると思えばいいんじゃないの? それに、達人は筆を選ばない」
「気楽だなぁ」
嘆息した二人に構わず沙織は『逆棘の矢』を手に取った。
「いや、深刻さ」
何時でもクールにスマートに、『そう心がける』事は彼の矜持なのである。
「唯、楽観しているばかりでもない。
神の目を擁する俺達はひょっとしたらあの鬼達よりも『逆棘の矢』の本質を理解している。鬼道は『矢』を持ち去ったがこれを壊す事は出来ないのさ。鬼には壊せない。そういう『ルール』が決まってる。後は分かるだろ? 帳尻を合わせる方法を考えるのが、この俺だって事はさ」
※
レナーテ・イーゲル・廻間(BNE001523)と望月 嵐子(BNE002377)の二名が『逆棘の矢』の暫定使用者になりました。実際の使用ルールについては該当シナリオ発表時の指定を参照にして下さい。
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