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TOP(2011/12/23) <BaroqueNight in the Witch II> 上
種別:
全角200文字、改行無し
レス:500件 |
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影の継承者(ID:BNE000955)
斜堂・影継
2011/12/23(金) 22:08:03 |
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http://bne.chocolop.net/img/top_bg/BNE_bg_20111223ex.JPG
<BaroqueNight in the Witch II>
「南無阿弥陀仏――」
如何な悪徳も果てれば彼岸。
『彼女』を悼む者は山と居よう、されど孤独な彼に手を合わせる者は僧侶の自分以外にはあるまい。
「――ええと、まぁジャックでいいか」
目を閉じて、 焦燥院 フツ(BNE001054) が合掌する。
かつて倫敦を、現代日本を、三ツ池公園を覆った無明の霧が晴れていた。悪辣な歪夜の主の『呆気無い』とも言える最後を境に深く傷付き、疲れ果てたリベリスタ達の間には刹那の安堵が広がっていた。
しかしそれは単なる事実への反射反応に他ならない。
「『これから』よ――」
彩歌・D・ヴェイル(BNE000877) の青い瞳が『ジャックが居なくなった今も変わらず、この場に『赤く赤く蟠る次なる闇』を見据えていた。
「フフ。本当に、今夜は得難い夜なのね。
後、どれ位の『特別』を私に見せてくれるのかしら――」
「現界に在りながら深淵に到り、またその深淵を覗き込む……
珍しい経験だが、させて欲しいとは思わないわなぁ――」
フランツィスカ・フォン・シャーラッハ(BNE000025) と 富永・喜平(BNE000939) の言葉はそれぞれの立場から愉悦と辟易をそれぞれ抱えてはいたが――その意味合いは概ね同じ一事を指していた。
「『穴』が――!」
レナーテ・イーゲル・廻間(BNE001523) の声に緊迫が走る。彼女の視界の中で脈動したそれは不吉な赤い闇を何処からかこの世界に吐き出していた。それは、言われるまでもない現実。目の前には『儀式の主』を失って尚、その勢力を拡大せんとする『穴』がある。『塔の魔女』が言った穴がある。激戦の終わりに浸る暇も殆ど無く――リベリスタ達は『次』へと意識を切り替える事を余儀なくされていた。
「あらあらまあまあ」
戦いの空気の爆ぜた戦場、新たな緊迫感を湛え始めた戦場にアシュレイの気楽な声が場違いに響き渡る。ジャックとの戦いでは成り行き上『味方』となった魔女だが元はと言えばこの事態は彼女が招いたものとも言える。
リベリスタ達は気を許す事は無く、魔女に対して構えを取った。
その、一方で。この穴を『閉じないもの』と称したのはこの魔女自身である。故に彼女は少なくともリベリスタよりは今夜の状況を知っている。これをどうすればいいかを知っている可能性があった。それは間違いが無い。
「責任、取って欲しいんだけど」
「全くっす」
その顔に色濃く消耗を貼り付けた アンナ・クロストン(BNE001816) が苦笑を浮かべ、つい先刻自身が言った言葉の繰り返しに 宵咲 刹姫(BNE003089) は大きく一つ頷いた。
唯、立っているだけで異質を感じる空間である。
『ジャック』という動の異物が消え失せれば、否が応なく際立つのは穴の魔性――静の違和感ばかりであった。
「何とか、ならないの?」
「これがしたかった事……には思えないんだが」
目の前の女をどうも憎み切れない理由は同じか。 御厨・夏栖斗(BNE000004) が問い、 結城 竜一(BNE000210) が続けた。
「儀式は成立。ジャックは死亡。最後の一ピースは何処にある?」
駒井・淳(BNE002912) の言葉にもアシュレイは微笑を漂わせるのみ。
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