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TOP(アーク始動!バグホールを破壊せよ!終了時)
種別: 全角200文字、改行無し    レス:500件

影の継承者(ID:BNE000955)
斜堂・影継

2011/05/02(月) 20:04:28 
<謎の男女>

<都内・某所>
 小洒落た裏路地のショット・バー。
 立地に加え、時間も時間であるから客の姿も疎らな店内に一組の男女の姿があった。
 オレンジ色のサングラスをかけた白い髪の男にウェーブがかった水色の髪の美人。流行を追ってか暖かそうなファーを首元にあしらった上着を着ている。何れもハッキリとそう分かる外国人の顔立ちである。
「……次。遅れたらぶっ殺すぞ」
 三日月形の檸檬を齧りカクテルグラスの僅かな残りを飲み干して男は一言呟いた。
「……あはは、この方、こういう人なんで、その。宜しくお願いしますー」
 こういう店は得てして人種の坩堝となるものだ。
 肩を竦めたバーテンの方はその極端な愛想の無さにも慣れたもの。同様に傍らで朗らかに笑いフォローをしてみせる女の様にも慣れたものだ。
「……で、アシュレイ。どう思う?」
「まぁ、予想以上ですかね。まさか――たった二週間ですか。全てのバグが塞がれるとは思っていなかったですし」
「へぇ、お前でも読み違えるんだな」
 差し出された新たな一杯を舐めながら男は皮肉で酷薄な笑みを口元へと貼り付けた。その声色には何処か好色な、ねちりと責め苛むような響きが込められていた。
「面目も無いです。でも私の占い『塔』しか出ないですからねぇ」
 しかし、怖気すら覚えるような男の剣呑な空気にも女――アシュレイの方は頓着していなかった。
 平素からのやんわりとした微笑は一分たりとも揺らがない。
「今回はあくまで予行演習ですよ。
 まぁ、念の為気配を殺しておいたのは正解だったと思いますです、はい」
「直接面ぁ見たがな。あれがこそつくような相手かよ」
「ごもっとも。他ならぬ『世界で一番のジャック様』が逃げ回る相手じゃあないですねぇ」
 アシュレイは不機嫌そうに言ったジャックの言葉に追従した。猫を思わせるような悪戯な美貌には些かあざとい媚びの色が乗っている。

「ですが、結局は優先順位の問題です」
 続いた切り返しは予想の範囲だったのかジャックは露骨に舌を打つ。
「大事にするのは少し先。
 そもそも『準備』が整うの自体が先じゃないですか。
『彼等』が大した障害でなくとも、シトリィン様の方は多少は面倒。それより何より問題は『外』より『内』でしょう? バロックナイツ(わたしたち)の場合」
「……しくじったら、殺すぞ。クソアマ」
「どうぞどうぞ。『絶対に失敗しませんから』」
 気楽なるアシュレイは柳に風の有様である。
「け……」
 ジャックは退屈そうに吐き捨てて再び注がれた『濃すぎるマリー』を白い喉に飲み干した。
 薄い唇を伝って一筋零れるその赤色は血のようだ。
 色合いは虚ろ夜を染める不吉のようでもあり――成功さえ華やかに汚すのだ。


斜堂・影継(ID:BNE000955) 2011/05/02(月) 20:17:32
情報を提供してくれた高原恵梨香 (BNE000234)に最大限の感謝を。
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